冒険者は最強職ですよ?
魔界に乗り込みます! 1
魔王軍襲来から約一ヶ、ジン達は、激しい特訓をし、さらなるパワーアップをしていた。
ジンは、未だに自分の力の事を隠していた。と言うよりは、誰も聞いては来なかった為、言うまでもないと判断したためだ。
あの日以来、特に攻めてくるような意思も見せず、平凡と言うには少し豪華すぎる毎日を送っていた。
そんなある日。
「レッドさん、僕前よりもかなり強くなれましたかね?」
『当たり前だ。我が鍛えておるのだぞ? 強くならない訳がない。全く、少しは自信を持ってみろ』
「そんな自分の力に過信はしたくないんですよ。自分の力に溺れていくのは絶対に嫌なので」
『釣れないやつだなぁ? 我なんて余裕たっぷりな表情で闘いに挑むがな?』
「レッドさんは強いっていう確証がありますからね? 僕なんてそこら辺の冒険者ですよ?」
『ばかもの。そんな普通な冒険者が、我に育てられてるのだぞ? 普通じゃありえん。だから誇っても良いのだ』
「はぁ……まぁ確かにそうかもですね」
『まぁ良い。今日の特訓はこれで終わりだ。風呂に行ってこい。そのあとは飯だ』
「了解です」
ジンは吹き、その場を後にしようとすると、レッドに突然止められた。
『あ、それとなぁ……』
「……はい? それとなんです?」
『う〜んとなぁ……何か話そうと思ってたのだがな……忘れた。行って良いぞ』
「なんじゃそりゃ……」
そう言い残して、ジンはその場を後にする。
「はぁ疲れた! やっぱりレッドさんは強いな〜。まだあれ本気出してないんでしょ〜? 早く"赤龍の力"を使わずに、レッドさんを本気にさせるまでにはならないと」
こんなのんびりしているように見えるが、実は少しジンは焦っていた。女神とランは大丈夫なのか? 街の様子は大丈夫なのか? など、様々な疑問があった。
「女神様とラン、まだ無事だよな……」
そんな事を考えていると、風呂場に着く。
脱衣場に行くと、一つの籠の中に、誰かの服が脱いである。
「あれ? この城に僕以外の男の人なんかいたか? あぁ、もしかしたらここの城の中で雇われてる人のかも」
そう思いながら、脱衣場から浴場のあるドアを開けると、こちらに背を向けて、ずっしりと構えて座っている人が居た。
なんか、すごい。この人から感じる力はなんだ……なんかレッドさんやホワイトさんの持つ力と似ているけど……。
恐る恐る進んで行き、体を洗ってから湯船に入る。すると、その男の人は、こちらを見て声を掛けてくる。
『お主、名は?』
突然の問いかけに、ジンは少し返事が遅れる。
「あ、はい。僕はジンです。ここでレッドさんにお世話になってます」
『ジン……お前がレッドに気に入られてる弟子と言うやつか……』
そこまで言うと、突然その男は、ジンに向かって殴り掛かる。
ジンは焦ることなく、何の躊躇いもなく放たれたその殴打を交わし、カウンターを狙う。が、そこで男の人が、前に手の平を出す。
『わかった。お主の強さは認めよう。多分今の我と同等くらいか? まぁ良い。よろしくな、ジン、若き冒険者よ。我はブラック。キル=ブラックだ』
「キル=ブラックさん……よろしくお願いします! ……それで、ブラックさんはどうしてここへ?」
『レッドの奴から聞いておらぬのか? さては彼奴、伝えるのを忘れておったな……全く、最強のくせにそこは抜けておるのぉ……』
その意見に、ジンはうんうんと頭を揺らしながら同意する。
『お主なら分かるか! 彼奴が本気で闘ったら右に出るものは居らぬのだがな……』
「魔王以外は、ですよね?」
『魔王か……どうだろうな? その気になれば魔王を殺すまでとは行かぬが、負傷を負わせるくらいはできると思うがなぁ……』
「へぇ……でも、魔王は物凄く強いんですよね? 今はそんな事は行かないんじゃ……」
『そうかもしれぬな。……良し、そろそろ上がる。お主は上がるか?』
「そうですね、上がります!」
そう言って湯船から出て、着替えを済ましてから、食事部屋へと向かう。
ブラックと喋りながら向かっていたジンは、すっかり意気投合してしまった。
部屋の前に辿り着き、ドアを開けると、レッドがこちらを見て、ハッと何かに気づいたような顔をして、大声で叫ぶ。
『あぁぁ! 忘れておったのはこれだ! すまんかった皆、今日は客が来ておる。おいブラック、丁度いいから挨拶しろ!』
『入ってきて早々これか……まぁ良い。ジンからお主らの事は聞いている。優秀な仲間だそうだな。我はキル=ブラック。黒龍と言わもしてるな。よろしく頼む』
『あぁ、ブラックは魔界の門で何かが無いか調べる仕事をしているのだ』
「魔界の門……あれ? でも確かそれって、観測不可能なんじゃ……」
『それがなぁ……我だけなら観測出来るのだ。これは我だけの特権と言うやつだ』
「じゃあ、もしかして……」
『そのもしかしてだ。心して聞いてくれ……魔王が遂に動き出すぞ。近々こっちの世界にやって来る』
「……なんだって?」
それを聞いたその場の皆は、その言葉に身体をこわばらせた。
ジンは、未だに自分の力の事を隠していた。と言うよりは、誰も聞いては来なかった為、言うまでもないと判断したためだ。
あの日以来、特に攻めてくるような意思も見せず、平凡と言うには少し豪華すぎる毎日を送っていた。
そんなある日。
「レッドさん、僕前よりもかなり強くなれましたかね?」
『当たり前だ。我が鍛えておるのだぞ? 強くならない訳がない。全く、少しは自信を持ってみろ』
「そんな自分の力に過信はしたくないんですよ。自分の力に溺れていくのは絶対に嫌なので」
『釣れないやつだなぁ? 我なんて余裕たっぷりな表情で闘いに挑むがな?』
「レッドさんは強いっていう確証がありますからね? 僕なんてそこら辺の冒険者ですよ?」
『ばかもの。そんな普通な冒険者が、我に育てられてるのだぞ? 普通じゃありえん。だから誇っても良いのだ』
「はぁ……まぁ確かにそうかもですね」
『まぁ良い。今日の特訓はこれで終わりだ。風呂に行ってこい。そのあとは飯だ』
「了解です」
ジンは吹き、その場を後にしようとすると、レッドに突然止められた。
『あ、それとなぁ……』
「……はい? それとなんです?」
『う〜んとなぁ……何か話そうと思ってたのだがな……忘れた。行って良いぞ』
「なんじゃそりゃ……」
そう言い残して、ジンはその場を後にする。
「はぁ疲れた! やっぱりレッドさんは強いな〜。まだあれ本気出してないんでしょ〜? 早く"赤龍の力"を使わずに、レッドさんを本気にさせるまでにはならないと」
こんなのんびりしているように見えるが、実は少しジンは焦っていた。女神とランは大丈夫なのか? 街の様子は大丈夫なのか? など、様々な疑問があった。
「女神様とラン、まだ無事だよな……」
そんな事を考えていると、風呂場に着く。
脱衣場に行くと、一つの籠の中に、誰かの服が脱いである。
「あれ? この城に僕以外の男の人なんかいたか? あぁ、もしかしたらここの城の中で雇われてる人のかも」
そう思いながら、脱衣場から浴場のあるドアを開けると、こちらに背を向けて、ずっしりと構えて座っている人が居た。
なんか、すごい。この人から感じる力はなんだ……なんかレッドさんやホワイトさんの持つ力と似ているけど……。
恐る恐る進んで行き、体を洗ってから湯船に入る。すると、その男の人は、こちらを見て声を掛けてくる。
『お主、名は?』
突然の問いかけに、ジンは少し返事が遅れる。
「あ、はい。僕はジンです。ここでレッドさんにお世話になってます」
『ジン……お前がレッドに気に入られてる弟子と言うやつか……』
そこまで言うと、突然その男は、ジンに向かって殴り掛かる。
ジンは焦ることなく、何の躊躇いもなく放たれたその殴打を交わし、カウンターを狙う。が、そこで男の人が、前に手の平を出す。
『わかった。お主の強さは認めよう。多分今の我と同等くらいか? まぁ良い。よろしくな、ジン、若き冒険者よ。我はブラック。キル=ブラックだ』
「キル=ブラックさん……よろしくお願いします! ……それで、ブラックさんはどうしてここへ?」
『レッドの奴から聞いておらぬのか? さては彼奴、伝えるのを忘れておったな……全く、最強のくせにそこは抜けておるのぉ……』
その意見に、ジンはうんうんと頭を揺らしながら同意する。
『お主なら分かるか! 彼奴が本気で闘ったら右に出るものは居らぬのだがな……』
「魔王以外は、ですよね?」
『魔王か……どうだろうな? その気になれば魔王を殺すまでとは行かぬが、負傷を負わせるくらいはできると思うがなぁ……』
「へぇ……でも、魔王は物凄く強いんですよね? 今はそんな事は行かないんじゃ……」
『そうかもしれぬな。……良し、そろそろ上がる。お主は上がるか?』
「そうですね、上がります!」
そう言って湯船から出て、着替えを済ましてから、食事部屋へと向かう。
ブラックと喋りながら向かっていたジンは、すっかり意気投合してしまった。
部屋の前に辿り着き、ドアを開けると、レッドがこちらを見て、ハッと何かに気づいたような顔をして、大声で叫ぶ。
『あぁぁ! 忘れておったのはこれだ! すまんかった皆、今日は客が来ておる。おいブラック、丁度いいから挨拶しろ!』
『入ってきて早々これか……まぁ良い。ジンからお主らの事は聞いている。優秀な仲間だそうだな。我はキル=ブラック。黒龍と言わもしてるな。よろしく頼む』
『あぁ、ブラックは魔界の門で何かが無いか調べる仕事をしているのだ』
「魔界の門……あれ? でも確かそれって、観測不可能なんじゃ……」
『それがなぁ……我だけなら観測出来るのだ。これは我だけの特権と言うやつだ』
「じゃあ、もしかして……」
『そのもしかしてだ。心して聞いてくれ……魔王が遂に動き出すぞ。近々こっちの世界にやって来る』
「……なんだって?」
それを聞いたその場の皆は、その言葉に身体をこわばらせた。
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