冒険者は最強職ですよ?
それは突然の出来事で 2
「あれ? ジンどうしたの? その顔」
「あ、あぁ……まぁいろいろありまして」
「???」
ジンの右目がぷっくり膨れており、レベッカが何故か怒り気味な事に、マーシュは首を傾げる。
「で、ここに来たのはいいのだけれど、これからどうするのかを決めましょ」
「そうですね。とりあえず僕達は、魔王討伐優先で冒険をした方がいいと思います。昨日話した通り、僕はとある女性に、魔王倒せと言われましたので」
「そうねぇ……だけど、倒すのを目標とするのはいいのだけれど、何処にいるのかまずわからない。それに、魔王幹部もいる。それだけではなく、他にも多くの強敵がいるはずよ」
「そうなると僕達三人だけでは厳しいですね……やっぱダイコさんとランを仲間に加えてから、魔王討伐へ向かった方がいいですよね……」
「そうねぇ……」
ジンとレベッカが悩んでいると、マーシュが二人へ訊く。
「あのぉ……二人は喧嘩でもしてるんですか? それとも何か……」
「なんでもないですよ! 本当に……」
ジンは早口に言う。レベッカも頷いて肯定し、「そうよ。何もなにのよ?」と、言う。
マーシュは、絶対何かあったなと心の中で思ったが、それは口にせず、「話を続けましょう」と、促す。
それからも、暫く話し合いをするが、特に案が出るわけでもなく、時間ばかりが過ぎていってしまった。
魔王幹部と魔王の討伐。簡単なものではなく、もしかしたら全員殺されるかもしれない。ジンもレベッカもマーシュも、そればかり考えていた。
もし死んでしまったら? もし倒す前に魔王軍が攻めてきたら? 様々な考えが、三人の頭の中を、縦横無尽に駆け回る。
今日はそのまま答えは出ず、夜を迎えた。
その夜
ジンは急に目が覚める。が、そこは今いる家の中ではない、どこか暗い場所だった。
この感覚はどこかで……
ジンは前に一度来たことのある、暗闇の世界へ来ていた。
『あ、そうだ。ここは一度死んだ時に来た場所か……でも、なんで突然この世界へ……』
ジンはそう思いながらも、前と同じように、ただ前へ歩き続けた。
すると、前と同じように、椅子があった。
ジンはその椅子へ座る。
突然目の前に、光が現れ、そして姿を変える。これも前と同じだ。
現れたのは、やはり女性であった。
「あなたは……あのときの」
「えぇ……久しぶりですね、ジン」
「貴方は何者なんですか?」
「もう気づいているでしょう? ジン」
ジンは鼻で薄く笑い、やっぱりなと思いながら答える。
「えぇ……。女神様」
「はい。私は女神。今回は貴方にお願いがあって、少しここへ、ジンをお連れしました」
「お願い? それはなんです?」
「はい。そのお願いは……魔王幹部の一人の討伐です」
その言葉を聞き、ジンは自然に、少し身体に力が入る。
「そう力まないでください。落ち着いて聞いてください」
それを言われ気付き、ジンは力を抜く。
「……で、魔王幹部の討伐とは、突然な話なんですが、それはどういった理由で?」
「はい。大事な事なのでしっかり聞いていてください」
女神の目は、力強く、どこか優しさを感じるような瞳だった。
「以前、魔王幹部達が襲撃したことがありますね? そのせいで多くの犠牲が出ました……。そしてまた、その時が来ようとしているのです」
「それは……本当ですか? どうして分かるんです?」
「はい。私はこの世界全体を、魔法で見ることが出来るんです。そして、邪悪な気を感知することができるのです」
「それで、邪悪な力を感知したと……」
女神は頷き肯定する。
「まだ動き出してはいませんが、着々と準備を進めています。このままだと、二週間後にリベンド国が襲撃されます」
「そんなことまでわかるんですか?」
「えぇ、魔王幹部が、手下を何度か派遣していますので。それを私は見ていたので」
「……で、リベンド国っていうのはどこにあるんですか?」
「オーキ国から、ジン達の最高速度で走って、約一週間半の距離にあります。今はまだ、その国の勇者は、ハークス町で会議をしていて不在です。力のあるものはかなり居るのですが、それでも多分撃退はできません」
まだハークスで会議してんのか!?と思いながらも、ジンは答える。
「一週間半ですか……もし魔王幹部が、出発を早めて遅れてしまったとしたら……?」
「……諦めてもらいます」
「そん事は絶対しない」
「ジン、貴方は本当に強くなりました……私は貴方に期待しているのです。だから加護を与えているのです。だから、私の期待を裏切るような事はしないで下さいよ?」
「あたりまえっすよ」と、女神にグッドサインを出す。
女神は笑顔で「それでこそジンです」と、答える。そして最後に「そろそろ時間です。本当に頑張ってください」と、力強い目で応援をする。
ジンも、薄れていく意識の中で、「頑張ります」と、言う。
そして暗闇の世界から、ジンは消えた。
「あ、あぁ……まぁいろいろありまして」
「???」
ジンの右目がぷっくり膨れており、レベッカが何故か怒り気味な事に、マーシュは首を傾げる。
「で、ここに来たのはいいのだけれど、これからどうするのかを決めましょ」
「そうですね。とりあえず僕達は、魔王討伐優先で冒険をした方がいいと思います。昨日話した通り、僕はとある女性に、魔王倒せと言われましたので」
「そうねぇ……だけど、倒すのを目標とするのはいいのだけれど、何処にいるのかまずわからない。それに、魔王幹部もいる。それだけではなく、他にも多くの強敵がいるはずよ」
「そうなると僕達三人だけでは厳しいですね……やっぱダイコさんとランを仲間に加えてから、魔王討伐へ向かった方がいいですよね……」
「そうねぇ……」
ジンとレベッカが悩んでいると、マーシュが二人へ訊く。
「あのぉ……二人は喧嘩でもしてるんですか? それとも何か……」
「なんでもないですよ! 本当に……」
ジンは早口に言う。レベッカも頷いて肯定し、「そうよ。何もなにのよ?」と、言う。
マーシュは、絶対何かあったなと心の中で思ったが、それは口にせず、「話を続けましょう」と、促す。
それからも、暫く話し合いをするが、特に案が出るわけでもなく、時間ばかりが過ぎていってしまった。
魔王幹部と魔王の討伐。簡単なものではなく、もしかしたら全員殺されるかもしれない。ジンもレベッカもマーシュも、そればかり考えていた。
もし死んでしまったら? もし倒す前に魔王軍が攻めてきたら? 様々な考えが、三人の頭の中を、縦横無尽に駆け回る。
今日はそのまま答えは出ず、夜を迎えた。
その夜
ジンは急に目が覚める。が、そこは今いる家の中ではない、どこか暗い場所だった。
この感覚はどこかで……
ジンは前に一度来たことのある、暗闇の世界へ来ていた。
『あ、そうだ。ここは一度死んだ時に来た場所か……でも、なんで突然この世界へ……』
ジンはそう思いながらも、前と同じように、ただ前へ歩き続けた。
すると、前と同じように、椅子があった。
ジンはその椅子へ座る。
突然目の前に、光が現れ、そして姿を変える。これも前と同じだ。
現れたのは、やはり女性であった。
「あなたは……あのときの」
「えぇ……久しぶりですね、ジン」
「貴方は何者なんですか?」
「もう気づいているでしょう? ジン」
ジンは鼻で薄く笑い、やっぱりなと思いながら答える。
「えぇ……。女神様」
「はい。私は女神。今回は貴方にお願いがあって、少しここへ、ジンをお連れしました」
「お願い? それはなんです?」
「はい。そのお願いは……魔王幹部の一人の討伐です」
その言葉を聞き、ジンは自然に、少し身体に力が入る。
「そう力まないでください。落ち着いて聞いてください」
それを言われ気付き、ジンは力を抜く。
「……で、魔王幹部の討伐とは、突然な話なんですが、それはどういった理由で?」
「はい。大事な事なのでしっかり聞いていてください」
女神の目は、力強く、どこか優しさを感じるような瞳だった。
「以前、魔王幹部達が襲撃したことがありますね? そのせいで多くの犠牲が出ました……。そしてまた、その時が来ようとしているのです」
「それは……本当ですか? どうして分かるんです?」
「はい。私はこの世界全体を、魔法で見ることが出来るんです。そして、邪悪な気を感知することができるのです」
「それで、邪悪な力を感知したと……」
女神は頷き肯定する。
「まだ動き出してはいませんが、着々と準備を進めています。このままだと、二週間後にリベンド国が襲撃されます」
「そんなことまでわかるんですか?」
「えぇ、魔王幹部が、手下を何度か派遣していますので。それを私は見ていたので」
「……で、リベンド国っていうのはどこにあるんですか?」
「オーキ国から、ジン達の最高速度で走って、約一週間半の距離にあります。今はまだ、その国の勇者は、ハークス町で会議をしていて不在です。力のあるものはかなり居るのですが、それでも多分撃退はできません」
まだハークスで会議してんのか!?と思いながらも、ジンは答える。
「一週間半ですか……もし魔王幹部が、出発を早めて遅れてしまったとしたら……?」
「……諦めてもらいます」
「そん事は絶対しない」
「ジン、貴方は本当に強くなりました……私は貴方に期待しているのです。だから加護を与えているのです。だから、私の期待を裏切るような事はしないで下さいよ?」
「あたりまえっすよ」と、女神にグッドサインを出す。
女神は笑顔で「それでこそジンです」と、答える。そして最後に「そろそろ時間です。本当に頑張ってください」と、力強い目で応援をする。
ジンも、薄れていく意識の中で、「頑張ります」と、言う。
そして暗闇の世界から、ジンは消えた。
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コメント
牙羅守
何もなにのよではなく何もないのよ
そん事ではなくそんな事では?
ノベルバユーザー135113
起こり気味ではなく、怒り気味では?