京極さんと童話荘の人々と。
初めまして童話荘。
  まだ肌寒い2月の半ばくらい。
「たしか、ここら辺に不動産屋があるはずなんだけどな。」
   この青年は誰に話しているのか分からない独り言をぶつぶつと言ってスマホの案内アプリを使い歩道を歩いている。
   この青年の名前は京極誠。この物語の主人公的なポジョンだ。
「ここが、不動産屋なのか?」
   看板は右に傾き、薄いトタンの壁にと窓ガラスは割れている。
    簡単に簡潔に述べれば『ボロい』のだ。あえて京極は口にしなかった。
    あの壁なら外の微かな音でも耳に入ってしまいそうだったからだ。
   京極は勇気を出して不動産屋の引き戸を開けた。
「あの〜すみません」
  戸が固く最後まで引けずに少し開いた隙間に体を小さくさせてなんとか中に入った。
   京極の体が一瞬だが凄く震えた。
   こ、これは、僕の体が危険信号を発している!?
  ヤバイ!帰らなければ!!
「お客さんですか?いらっしゃいませ。」
  店の奥からお爺さんがヨボヨボと歩いてきて椅子に座った。
「こちらのお店の方ですかね?」
「そうですが?なんのようですかね?」
「私は今アパートを探しているのですが。」
「ならば、こっちにきて座って話をしましょう。」
  京極は机を挟んだお爺さんの目の前の椅子に座った。
「どのようなお部屋をお探しですかな?」
「三木田産業から近いところでお願いをしたいんですが。」
「なら、少しお待ち下さい。」
  お爺さんはゆっくりと立ち上がり奥から図鑑くらいの厚さの本を持ってきた。
  どうやら中にアパートの情報があるらしい。
「三木田産業さんの近くだとこの3つの物件があります。」
   一つ目は1LDKのお高いマンション、二つ目は安いのだが風呂とトイレは共同で使う。そして3つ目は値段も安く風呂とトイレが付いているという何か訳有りのような感じがする物件だ。
   値段的にも環境的にも3つ目が最適なのだが何か怪しいと感じた京極は怖いが質問をぶつけてみた。
「3つ目の所は幽霊とか変な事件とかはなかったですかね。」
「たしか、変な事件は無かったとおもいますが、」
  京極は固まった。
  えっ?変な事件は無かったけど言うことは幽霊はいるの?マジで!?
  答えを聞くのは怖かったがもう一度質問をしてみた。
「事件は無いけど幽霊は?」
「幽霊は...」
  京極は息を呑んで答えを聞いた。
「幽霊もでません。」
 京極は胸を撫で下ろした。
 答えを聞いて京極は即決をした。
「僕、ここに住みます。 契約をお願いします。」
「分かりました。では、契約書を持ってきますね。」
  それから2ヶ月後...
  桜の花びらが僕の入社を祝ってくれているかのように僕の新たな住み処の前に舞っている。
  少し古い建物だが二階建ての各階五部屋のアパートだ。
「ここが、童話荘。」
 童話荘を眺めていると引っ越しの業者が到着して荷物を部屋へと運び出した。
   京極も手伝いをしたが錆びた階段を登り降りを二往復するともう息が上がってしまった。
「大変ですね。いつもこんなに重いものを運んでいるんですか?」
「そうですよ。仕事ですから。」
  部屋に荷物を全て入れると引っ越しの業者は帰っていき部屋はダンボールの山になっていた。
    引っ越しは夜まで長引いてしまったので一息ついたときには深夜になっていた。
「明日も早いしもう寝るか。」
  京極は布団を敷き、パジャマに着替えてもう布団に入るだけだった。
   ピンポーン!ピンポーン!
  呼び鈴が鳴った。
「こんな遅くに誰なんだろう?」
京極は恐る恐る玄関に向かい扉に耳を当てた。
「帰って参りましたですの〜!!」
扉の向こうからはすっかりとできあがった酔っぱらいの女の人の声が聞こえた。
京極は扉を開けて注意をした。
「あの、ここは僕の家なんですけど。」
「はれ?なんでボーイさんが私の家にいるんですの?」
扉を開けると金髪で後ろでお団子状の髪を纏め、水色のドレスを着た瞳の青色の女の人が立っていた。
酔っぱらっていて話が通じていないらしい。
「ですから!!ここは僕の家なんです。」
深夜ということをすっかりと忘れて京極は大声を出してしまい慌てて小声にボリュームを下げた。
「分かりましたですの〜。」
やっと分かってくれたのかと安心している間にその女の人は京極さんの部屋へとズカズカと入っていき、京極を入れずに部屋の鍵をかってしまった。
「へ?あの〜扉を開けてください!!あの〜!!」
もうどうでもいいと扉を強く連打し大声で叫んだが部屋の中からは応答がない。
「ヤッターですの!布団が敷いてあるですの!!」
部屋からそう聞こえてくると部屋の電気が消え起きている気配がなくなった。
「ど、どうしよう....」
京極はパジャマだけで深夜の外に投げ出された。
4月といってもまだ少し寒く引っ越しの時に物を包んだ毛布が柵に干してあったのでそれで体をくるんだ。
「やっぱり、あの時の身震いは悪いことが起きる前触れだったんだ。」
そう言って童話荘を選んだことを少し後悔してました。
 
 
「たしか、ここら辺に不動産屋があるはずなんだけどな。」
   この青年は誰に話しているのか分からない独り言をぶつぶつと言ってスマホの案内アプリを使い歩道を歩いている。
   この青年の名前は京極誠。この物語の主人公的なポジョンだ。
「ここが、不動産屋なのか?」
   看板は右に傾き、薄いトタンの壁にと窓ガラスは割れている。
    簡単に簡潔に述べれば『ボロい』のだ。あえて京極は口にしなかった。
    あの壁なら外の微かな音でも耳に入ってしまいそうだったからだ。
   京極は勇気を出して不動産屋の引き戸を開けた。
「あの〜すみません」
  戸が固く最後まで引けずに少し開いた隙間に体を小さくさせてなんとか中に入った。
   京極の体が一瞬だが凄く震えた。
   こ、これは、僕の体が危険信号を発している!?
  ヤバイ!帰らなければ!!
「お客さんですか?いらっしゃいませ。」
  店の奥からお爺さんがヨボヨボと歩いてきて椅子に座った。
「こちらのお店の方ですかね?」
「そうですが?なんのようですかね?」
「私は今アパートを探しているのですが。」
「ならば、こっちにきて座って話をしましょう。」
  京極は机を挟んだお爺さんの目の前の椅子に座った。
「どのようなお部屋をお探しですかな?」
「三木田産業から近いところでお願いをしたいんですが。」
「なら、少しお待ち下さい。」
  お爺さんはゆっくりと立ち上がり奥から図鑑くらいの厚さの本を持ってきた。
  どうやら中にアパートの情報があるらしい。
「三木田産業さんの近くだとこの3つの物件があります。」
   一つ目は1LDKのお高いマンション、二つ目は安いのだが風呂とトイレは共同で使う。そして3つ目は値段も安く風呂とトイレが付いているという何か訳有りのような感じがする物件だ。
   値段的にも環境的にも3つ目が最適なのだが何か怪しいと感じた京極は怖いが質問をぶつけてみた。
「3つ目の所は幽霊とか変な事件とかはなかったですかね。」
「たしか、変な事件は無かったとおもいますが、」
  京極は固まった。
  えっ?変な事件は無かったけど言うことは幽霊はいるの?マジで!?
  答えを聞くのは怖かったがもう一度質問をしてみた。
「事件は無いけど幽霊は?」
「幽霊は...」
  京極は息を呑んで答えを聞いた。
「幽霊もでません。」
 京極は胸を撫で下ろした。
 答えを聞いて京極は即決をした。
「僕、ここに住みます。 契約をお願いします。」
「分かりました。では、契約書を持ってきますね。」
  それから2ヶ月後...
  桜の花びらが僕の入社を祝ってくれているかのように僕の新たな住み処の前に舞っている。
  少し古い建物だが二階建ての各階五部屋のアパートだ。
「ここが、童話荘。」
 童話荘を眺めていると引っ越しの業者が到着して荷物を部屋へと運び出した。
   京極も手伝いをしたが錆びた階段を登り降りを二往復するともう息が上がってしまった。
「大変ですね。いつもこんなに重いものを運んでいるんですか?」
「そうですよ。仕事ですから。」
  部屋に荷物を全て入れると引っ越しの業者は帰っていき部屋はダンボールの山になっていた。
    引っ越しは夜まで長引いてしまったので一息ついたときには深夜になっていた。
「明日も早いしもう寝るか。」
  京極は布団を敷き、パジャマに着替えてもう布団に入るだけだった。
   ピンポーン!ピンポーン!
  呼び鈴が鳴った。
「こんな遅くに誰なんだろう?」
京極は恐る恐る玄関に向かい扉に耳を当てた。
「帰って参りましたですの〜!!」
扉の向こうからはすっかりとできあがった酔っぱらいの女の人の声が聞こえた。
京極は扉を開けて注意をした。
「あの、ここは僕の家なんですけど。」
「はれ?なんでボーイさんが私の家にいるんですの?」
扉を開けると金髪で後ろでお団子状の髪を纏め、水色のドレスを着た瞳の青色の女の人が立っていた。
酔っぱらっていて話が通じていないらしい。
「ですから!!ここは僕の家なんです。」
深夜ということをすっかりと忘れて京極は大声を出してしまい慌てて小声にボリュームを下げた。
「分かりましたですの〜。」
やっと分かってくれたのかと安心している間にその女の人は京極さんの部屋へとズカズカと入っていき、京極を入れずに部屋の鍵をかってしまった。
「へ?あの〜扉を開けてください!!あの〜!!」
もうどうでもいいと扉を強く連打し大声で叫んだが部屋の中からは応答がない。
「ヤッターですの!布団が敷いてあるですの!!」
部屋からそう聞こえてくると部屋の電気が消え起きている気配がなくなった。
「ど、どうしよう....」
京極はパジャマだけで深夜の外に投げ出された。
4月といってもまだ少し寒く引っ越しの時に物を包んだ毛布が柵に干してあったのでそれで体をくるんだ。
「やっぱり、あの時の身震いは悪いことが起きる前触れだったんだ。」
そう言って童話荘を選んだことを少し後悔してました。
 
 
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