世界最強も異世界に連れてかれると生きるのは本当に難しい

霊怜

第三章 お母さん

樹威のお母さんの名前は、朱鳥美咲。誰とも結婚せず、生涯独身を貫こうとしているらしい。

「レイス君の特技って何?」

「...刀、です」

「...そう。凄いね」

「あれ、この世界って、刀ないんですか?」

「あるけど、使わないよ。銃刀法違反ってのがあるからね」

「そうですか」

するとレイスは、何か異変があることに気付き、確かめるために、『レイス・ライラス』と、ラグイラで使われていた文字を使って書いた。

「これ、読めます?」

「君、もしかして、気付いちゃった?」

「グレイス家、ですよね?」

「あらまぁ、もう気付かれたか」

「すみません、おそらく、貴方とはお会いしたことがあるので」

「グレイス家ってわかってて、よくそんなこと言えるね」

「俺、『覇王』なんです」

「えっ!?」

「だから、会ったことあるのも分かるはずです」

「...そう」

グレイス家、それは、ラグイラの中で最高の神族とされ、グレイス家を知らない人は居ない。そして、『覇王』とは、レイスが覇王決定戦で優勝し得た称号。ラグイラ、いや、その世界で最強と言われる程の実力者。
そう、この家には、ラグイラ最高神、世界最強の2人が揃った、何とも言えぬ威圧感が部屋を支配した。

「お母さん、お風呂入ってくる」

「はーい。レイス君も入ってくる?」

「はっ、あっ、いえっ」

急に女の子と一緒の風呂とか言われ、レイスは驚きを隠せなかった。

「レイス君、お風呂の使い方分からないかもしれないから、今日は一緒にはいろう?」

ちょっと待て、女子から風呂に誘うとかあるか?と、葛藤しながら樹威に手を引かれて風呂へ向かった。


レイスは、さっさと洗い終えると、目の前にあったタオルで目を隠した。

「樹威、出る時はいってくれ。出来るだけ早く...」

「レイス君、今日、私を助けてくれたよ、ね?」

「...あぁ」

「私、一目惚れしちゃったの。顔も格好良いし」

「なっ...!」

「ねぇ、タオル、外していいよ?私の体、見ていいよ?」

樹威はそう言いながら、レイスの目を隠しているタオルを外した。

「...あ、のわぁっ!?」

一瞬だが樹威の体を見たレイスは、思わず目を瞑り、そして後ろを向いた。
17歳だとは思えない胸の大きさ、そして、美しすぎる体の線。魅力的な要素しかない。

「...もう。見てって言ってるのに...」

「で、でもさぁ」

「わかった。私出るね」

「あ、あぁ」

レイスは、少し心残りがあるものの、良かった、と思い、そのまま湯の中で心と体を休めた。

「なんで、転移させられたんだろう」

考えることが多い、と、レイスは悩みまくっていた。一つ、考えつくことはあるが、それは忘れるようにしていた。

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コメント

  • 翠恋 暁

    面白いです。
    続きが気になります。
    俺が書いているのは、日常系なんですが、読んでもらえると嬉しいです

    0
  • 山木  美涼介

    全話読ませてもらいました!
    僕、こういう系大好きです!
    僕も同じような作品を出したてなので、ぜひ見てください!!

    0
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