努力次第で異世界最強 ~喰えば喰うほど強くなる~
10話:再会と真実
「なぜ妾を連れて行かなかったのだ!」
現在レンは拗ねたメルに正座をさせられている。
達也たちはバイアス山脈の麓にいきなり連れてこられて色々と聞こうとしたのだがメルが拗ねているのを発見したレンがメルに土下座をして謝っているのを見て何も言えずにいるのだった。
「いや、だって寝てたし、起こすのも悪いと思ったから……」
実際のところレンはただメルの事を忘れていただけなのだがそんな事を言うと余計に拗ねてしまうので謝ることしかできないだった。
「でも、妾を仲間外れにしてジークと出かけたのであろう?」
「それは、急いでたから…」
「うぅぅぅ〜〜」
ついに泣いてしまったメルをレンは慰めようとするが差し出した手を叩かれてしまいメルは洞窟の奥へ走っていってしまった。メルは見た目はナイスバディなお姉さんだが精神年齢は人間でいうところの小学生くらいなので気持ち的には小学生を大人気なく泣かせてしまった気分になるレンであった。そして、3人からもジークからもゴミを見るような目で見られるのであった。
◇
何とかメルを慰めて落ち着かせたレンは詳しい話をするためにジークと共に3人を連れて洞窟の奥で話し始めた。ちなみにメルはレンの膝の上に座っている。
そして話を聞いた3人は別段驚いた様子もなくただ静かに話を聞いていた。
「まぁ、あの時の反応の事を考えるとなぁ」
「あの時?」
「俺達が王様にレンを助けるために軍を出してくれって頼んだ時にさ、いきなり罰当たりだの神に逆らう反逆者だの言って俺達を捕まえようとしたんだよ」
「そうよ、だから私達は3人で逃げてきたのよ。他のクラスメイトも王国側についたのよ」
「そこから逃げるように迷宮に行く途中にワイバーンに襲われたって事だよ」
3人の話を聞いたレンは少し考える。
レンは死んでいるだろうから軍は出せないというのなら理解できるが提案した途端に反逆者扱いされるのは普通ならありえないだろう。しかも一般人ではなくわざわざ召喚した勇者達をだ。
「あの国が信奉している神の名前ってなんだっけ?」
「創造神デウスだったはずだよ。レンがいなくなってから俺たちは教会に連れていかれて教祖様に教えを説いてもらったんだよ」
「だったらその事で反逆者扱いされたのかもしれないな」
「でも、私達は教徒になりますか?って聞かれたけど断ったよ?」
「まぁでも受けた時点で教徒にしたつもりだったんだろう」
レンは大体の話を聞いて恐らくあの国は神の教えを説いてもらっておいて国の命令に逆らうというのは反逆者扱いするのに十分な理由だったのだろう。
『おいクロよ、少し奥へ移動するぞ。そこの3人はそこにいてくれ』
「え?あ、あぁ」
◇
『あの3人は操られている』
「え?どういう事だ?」
『恐らくあの3人には居場所を伝えるアーティファクトのようなものが付けられているのだろう。ここに向かって軍隊が接近している』
「それでも操られているって事にはならないだろ?」
『クロは気づかなかったのか?教祖の話をする時に不自然に敬語になっていただろう。それにあの3人は洗脳魔法で自我を破壊された後に脳を改造されているな。魔力は元々体に残っているものを使っているから[竜眼]で見ても分からないが儂に元々宿っている竜神眼は誤魔化しは効かない。ここに向かっている軍隊に入っているクロのクラスメイトとやらも同じようにされているな』
「そ、そんな……」
『どうする?もしクロが自分で殺す事ができないと言うならば儂が変わりに殺してやることも出来る』
「俺の[再生魔法]でどうにかならないのか?」
『それは無理だな、破壊された自我を元に戻すなど神にすらできない』
レンは自分でどうにかしてクラスメイトを元に戻す方法を考えるが[再生魔法]以上に効果的な方法が思いつかなかった。でもレンはクラスメイトを殺す事、ましてやジークに任せるなんて選択肢はレンの中には無かった。
しかし、自分にどうこうできる範囲を超えている事をできるとは思えなかった。
まさに八方塞がりの状況だった。
『儂はクロの手で終わらせてやるのが一番だと思うのだが、まぁ見知らぬ者ならまだしも旧知の仲の者達を自らの手で殺すなどできないか。しかし、儂もあまり長くは待ってはやれんのだ。儂はここに住んでいる竜たちを束ねている、儂にはここを守る責任があるのだ。分かってくれ、クロよ。クロに考えを任せている時間も恐らくそう長くはやれないだろう。だからこの外の世界よりも時間が遅く流れる場所でじっくり考えるがいい。時間は儂が稼いでやるからタイムリミットがきたら呼びに来る。その時は覚悟しておいてくれ、儂がクロの友人をこの手にかける事をだ』
「あぁ、ありがとな、色々と…」
『気にするな、儂とクロの仲ではないか。それに礼を言われる事でもない、儂はクロに対して残酷な選択を迫っているのだからな』
レンはジークに対して言葉には表せないほどの感謝を込めて礼を言った。
◇
レンは今までの自分が歩んできた人生を振り返っていた。
今まで生きてきた中で一番長く共に過ごしてきたのは家族を除けば香織だった。
いつ気づいたのかは忘れたがレンは香織の事が好きになっていた。小学生の時、レンは香織よりも身長が低かった。その事で引け目を感じていたレンは香織に告白しようにも出来なかった。中学生になってやっと香織よりも身長が大きくなった。これでやっと告白できると思っていたら周りの男子がどんどん香織に告白していっていつも香織は断っていた。それを見ていたレンは自分が告白しても振られると思って告白が出来なかった。そのまま高校生になってしまい、高校でも毎日のように香織は告白され振っていた。でもレンはそれでいいと思っていた、いつもレンは香織の近くにいられたから、いつかは自分も告白をして付き合えると思っていた。しかし、2年生になりこの世界に召喚された。
最初は不安がっている香織を守ってやれると思っていたがステータスは自分の方が圧倒的に低く逆に守ってもらっていた。
そしてジークの修行を受け、やっと自分の手で香織の事を守ってやれると思っていたのに、自分の知らない間に香織は香織ではなくなってしまっていた。
達也と桜坂さんも中学生からの仲だが今までに4人で何度も一緒に遊び、喜び、怒り、哀しみ、楽しんできた。
そんな4人を自分の手で殺すなど考えられなかった。
人の手で殺されるなど考えられなかった。
その考えと共に王国を憎み、その教えを説いている神を酷く憎んだ。
そして、そんな4人を救えない今の自分を酷く恨んだ。
少し展開が早すぎる気もしますがそこは気にしないで見ていただけると幸いです。
皆さんのおかげでノベルバランキングで1位を取ることが出来ました。ありがとうございます!
小説家になろうにも同じ題名で投稿していますのでそちらもよろしくお願いします。
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