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闇と雷の混血〜腐の者の楽園〜

音絃 莉月

5話〜【アフェルガ】の神話〜

3歳になった。

精霊王達と会った時から特にイベントは起きてない。あの後なんで泣いたのか母様に問い詰められたけど。あの時もし、精霊王達に虐められて泣いたんだったら精霊王ですら消しそうだったなぁ。

それと、ついに身体を走ったり片足立ちしたり自在に動かせるようになった。とは言ってもストレッチを続けてやっとなんだけど。

あの日からの日常は勉強して食べて寝てただけだったな。あと運動と。

毎日続いた読み聞かせの結果、魔人族語と獣人族語は完璧で人族語を少し話して読む事が出来る様になった。

「アル?君は本当に植物が好きだね。まあ、魔大陸の植物は変わった物が多いしね。でも絵本とかは読まなくていいの?」

2歳から入れる様になった書庫の中央にある丸い机の反対側の席で、10センチほどの分厚さがある本を閉じて父様が話しかけて来る。

「えほん、よみおわったよ。母さまがよんでくれた。この本おもしろい。」

子供っぽく喋る。
......別に普通に喋れない訳じゃないよ?
子供っぽい演技をしてるだけだよ?
未だに発音に慣れなくてしっかりした文章を喋るのが面倒な訳じゃないからね。

絵本はこの書庫に50冊あって、そのうち20冊が神話の本。20冊が英雄譚。10冊が恋愛物。絵本は全て読んでもらった。ちなみに、全て暗記済みである。

今のブームは植物図鑑だ。地球と似た様なのもあったりするけど、魔大陸の植物が変なのが多くて面白い。肉食だったり、刺激を与えると霧になったり。ファンタジー感が凄いのだ。

今まで習った神話を纏めると。


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創造神が無の空間と世界の核を作った。
そこに光神が光を照らし、闇神が影を落とし、水神が海を湧き出し、土神が大地を生み出し、火神が熱を宿らせ、風神が大気で世界を包み、雷神が微弱な雷を纏わせた。その全てを魔力で済ませた為に世界のありとあらゆるものに魔素は存在する。

光神、闇神、水神、土神、火神、風神、雷神を纏めて【素の神】または【始まりの神々】や【属性神】と呼ばれる。

彼らはこの世界の調停者として【神龍】を創り出した。光龍、闇龍、水龍、土龍、火龍、風龍、雷龍は自分達の力の一部を分け、竜種を生み出した。
そうして生まれた白竜、黒竜、青竜、茶竜、赤竜、緑竜、黄竜は様々な進化を繰り返し、種類を増やしていった。

世界の核から生えてきたといわれる【世界樹】は世界の魔素を循環させ、微精霊を管理している。精霊王達は世界樹が初めて生み出した微精霊が集合し生まれた存在。
この世界の魔素は全て核に少しずつ吸い寄せられていく。生き物も死ねば魔素となり、地の底にある核へと行き着く。だが、それを放っておくと全ての魔素が核に集まり、地上の魔素が無くなり全ての生命が枯れてしまう。

【世界樹】はこの世界が維持し続ける為に、核から根を通し魔素を吸い上げ、葉から魔素を地上へと散布している。微精霊が生まれるのは花が咲いている期間に葉ではなく花からも魔素が溢れていて、花から出た魔素が属性を宿すからである。

ちなみに、エルフの森にあるとされる【聖樹ユグドラシル】は世界樹の枝が高い聖属性の魔力と妖精族の力で育てられたものだと言われている。

そしてこの世界の主神とされる二柱の神々がやってくる。それが、太陽神へリスと月の神シンナだった。彼らは人族を創り出した。
後に人族の英雄の魂がこの世に留まり生まれた聖人族アンジェロ
人族の悪意が固まり生まれた悪魔族デーモン
獣が進化した獣人族ガブラス
魚が進化した魚人族マーマン
竜種と人族の間に産まれた竜人族ドラゴニュート
人族の赤子が無垢なまま死に、その魂が世界樹に導かれ生まれた妖精族フェアリー
妖精族と鍛治好きな人族の間に産まれてきた岩人族ドワーフ
妖精族と自然好きな人族の間に産まれてきた森人族エルフ
それらの種族が産まれてきたのだ。

その種族は属性が決まっており精霊王達は自分達と同じ属性の者達を見守る様になった。
火の精霊王は竜人族ドラゴニュート
水の精霊王は魚人族マーマン
風の精霊王は森人族エルフ
土の精霊王は岩人族ドワーフ
雷の精霊王は獣人族ガブラス
光の精霊王は聖人族アンジェロ
闇の精霊王は悪魔族デーモン
妖精族フェアリーは精霊達と仲が良く、皆が見守っていた。後に悪魔族デーモンは光を嫌い闇の世界へ引籠る様になり、闇の精霊王は新しく産まれた魔人族リベラを見守る様になったという。

二柱の神々へリスとシンナは子を成した。
産まれたのは三柱の月の神々。彼らは地上に【三幻獣】【三神獣】と呼ばれる三本の尾を持ち身体に薔薇の紋様の浮かぶ宝石を埋めた獣の姿で現れる。それぞれが赤、青銀、黄金の色を宿している。

三柱の子に月の神としての役割を任せたシンナは恋人であるへリスの隣に寄り添う様になった。その為この世界では角度によって少し欠けて見える太陽と三つの月が現れる。

この世界の宗教は基本的に一つだけだ。
この世界を管理する二柱の神々を始め、世界樹、聖樹、三神獣、属性神、創造神、精霊王、精霊達、神龍を主に崇めている。
種族によって主に信仰する神が違ったり、育った環境などにより魔獣や魔物を崇めていたりもするが。

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読む本によって少し美化されていたりもするが、大体はこんな感じだった。

そして、この勉強をして一番驚いたのは、この世界の主神のへリスとシンナは両方ともが男だということだ。
そしてこの世界生き物は同性愛が基本らしいのだ。

同性でも子が産まれ、さらには異性愛の方が産まれてくる子の能力が低かったり、障害を持って産まれてくる可能性があるらしい。


............なにその楽園。


腐った者からすればこれ以上幸せな世界はないよな。

ファンタジーの世界という理由以外にこの世界を見て回る理由ができた。萌えを求めて。

「アルく〜ん。あ〜そ〜ぼ〜!」

母様が書庫の扉を勢いよく開けて飛び込んできた。そのまま抱き上げてくる。

「母さま。今日はなにするんですか?」

母様は日課であるダンジョンの点検が終われば、こうして飛んでくるのだ。
昨日は迷路探検で、一昨日は1/100である当たりの宝箱を探す遊びだった。
迷路はダンジョン内に創られたもので、よくある迷宮の小さい版みたいな感じで罠もあった。
宝箱の遊びは確率が低い上にハズレの宝箱にはあらゆる嫌がらせが仕掛けられてたな。

そして半年程前に気付いてしまった。
......母様、鬼畜だ。
ゲームバランスがおかしすぎるのだ。
さて、今度はどんないじめだろうか。

「今日は、アルくんのステータスを見ようね〜。」

「すてーたす?ぼくの?」

ちなみに一人称が俺から僕になったのは、今世の見た目でこっちの方が似合うと思ったからだ。

「アルくんは才能が沢山あるからね〜。」

この世界のステータスは所謂Lvや能力値は表示されない。ステータスで表示されるのは、名前、年齢、性別、種族、そして【能力スキル】と【称号】だ。

能力スキル】はまぁ簡単に言えば技だな。
自分が練習して習得したものは【技能】で、元々持って産まれたものは【才能】となる。
【技能系能力スキル】や【才能系能力スキル】とも呼ばれる事があるらしい。

【才能系能力スキル】には種族の【固有能力スキル】か、親の【技能系能力スキル】が遺伝で引き継がれたもの。あとは、元々その魂が習得していたものとされている。
物凄く低い確率で【特異能力ユニークスキル】という世界で一つだけの能力を持っている場合もあるらしい。

ステータスに関する知識を引き出している間に母様にダンジョンコアの前へ連れて来られた。母様が手を翳して暫くすると空中にステータスプレートが浮かび上がった。


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アルブム・ノベル・ロクト   3歳   

種族:魔人族(吸血鬼 真祖)
        獣人族(赤猫族)
        混血

【能力】

【技能】:

【才能】:【調合】【刀術】【調理】【悪魔契約】【虚偽】【隠密】【従魔契約】

【固有能力】:【魅了】【吸血】【眷属化】【黒霧】【分裂】【変身】【血魔法】【影魔法】【死魔法】【闇魔法】【自己再生】【年齢操作】【雷舞】【獣化】【超感覚】【直感】【雷魔法】【植物魔法】【風魔法】【聖魔法】

特異能力:【貪欲な主グリードテイマー

【称号】:【***】【虹薔薇の所有者】【不老】【吸血鬼の真祖】【先祖返り】【欲深き者】

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「あるぶむ・のべる・ろくと。」

僕に姓あったのか。初めて知った。

「『アルブム』は君の名前。『ノベル』は魔人族リベラの間で高貴な身分であることだ。」

「そして『ロクト』は吸血鬼である事の証であり、誇りなのよ〜。」

「種族によって名前の構成は変わるけど、君の場合は魔人族リベラの付け方だね。名前・身分・種族の順で名乗るんだよ。」

へぇ〜、そうなのか。じゃあ、なんで。

「なんで、父さまじゃないんですか?」

「僕の場合は家とは縁を切ってるからね。元々名乗っていた家名ももう名乗れないんだよ。」

あぁ、そういえば魔人族リベラ獣人族ガブラスは混血が嫌われるこの世界の中でも特に仲の悪い種族だって本に書いてあったな。
異種族の異性愛という母様と父様の関係を疑問に思ってたけど、駆け落ちだったのか。

......ん?
『ノベル』魔人族リベラの高貴な身分である証。
ということは......。

「母さま、きぞくなの?」

「まぁね〜。私は面倒くさかったんだけど、魔王様の指名だったからね〜。」

『魔王』魔大陸にある魔国の王様のこと。
破壊衝動がある訳でも世界征服を目論んでる訳でもないけど、魔人族リベラの中で一番強い者がなるらしい。
でも、独裁国家とかでもない。そんな政治をすれば、模範を起こされるから。

まぁこの際それは置いといて、【能力スキル】多くないですかね?これ普通なの?
何気に【特異能力ユニークスキル】持ってるし。

「ぐりーどていまー?ってなに?」

母様が特異能力の欄に触れると説明文が浮かび上がった。

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特異能力:【貪欲な主グリードテイマー

【***】の力で獲得した能力。本来、主従の契約をするには【名付け】が必要になり、その行為は主の素質によってリスクや行える回数が限られてくる。だがこの称号を持つ者は貪欲の名の通り互いの承認さえあれば、幾らでも従う者を増やすことができる。

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......モフモフし放題になるのか。
よし、どんどん手懐けていこう。

それにしても【***】ってなんだろう。
母様が触れてもなにも反応しないし。

【才能】に関しては前世に習得してたのだろう。【調合】は父様のを受け継いだとして、【悪魔契約】は何だろう。
【固有能力】多いな。

「【植物魔法】【風魔法】【聖魔法】があるね。そんな気はしてたけど。そのうち、挨拶に行かないとね。」

「あいさつ?」

「君の種族の欄に『赤猫族メラクチン』ってあるよね?その一族に会いに行くんだよ。【聖魔法】の才能があるのは特別だから。それにしても、君は本当に特殊だね。」

父様が優しい笑顔で答えてくれる。でも、その目は冷たく僕の心を覗こうとする様で。

......やっぱり、疑われてるよな。
普通じゃないのは自分でも自覚してるけど。


仕方ないか。そろそろ限界だろうし。

子供の仮面を外して、本来の『俺』の笑顔で父様を見据える。


「......ねぇ、父さま。お願いがあります。」





ステータスは頻繁には出さないので安心しておくれ。

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