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闇と雷の混血〜腐の者の楽園〜

音絃 莉月

3話〜七霊王〜

「頑張ってね〜。アルくん。」

お母様のその言葉に思わず声が漏れたところで、俺は光に包まれた。
詳しく言うと、祭壇が佇む場所は半径4m程の円形の台座の真ん中で、台座の隅には祭壇を囲むようにして透明の水晶のような柱が7本立っていた。
その柱がそれぞれ、黒、赤、青、緑、黄、茶、白に光り輝く。
そしてそれに追随する様に台座に光り輝く柱と同じ七色の光を発する魔法陣が浮かび上がる。魔法陣はとても複雑でお父様が見せてくれたこの世界に存在する全ての言語が刻まれていた。

とはいえ、読む事は出来ないからその言語がもつ独特な雰囲気で判断してるんだけど、さっき見たときに一瞬で魔法陣の形や刻まれていた文字は写真みたいに覚えたから、いつか解読したいなぁ。

展開に追いつけず混乱した頭で、一種の現実逃避の様なことを考えながら、辺りの眩しさに眼を閉じた。

暫くして光がなくなり、周りが異様に静かなことに気付き眼を開けた。 
そして、周りを見渡したとき辺りの異様さに恐怖を抱き、この光景を生み出したであろう魔法陣とその術者に感嘆した。
台座の外の時が止まっていた。お父様もお母様も二人が驚いた様子のまま止まり、薔薇園の青薔薇も空を飛ぶ青い鳥も、全てが。
暫くその光景に魅入っていると、音一つ無いこの空間に声が生まれた。

『なあ、お前!契約する奴だよな!』

突然生まれたその声は、鼓膜は通らず直接頭の中に響いた。
......途轍も無い大音量で。
ガンガンと響く頭を押さえ蹲る。そして、怒りに任せ、声の主に心の中で抗議した。

(誰だか知んないけど、自分の声量ぐらい、調整しろよ!)

『お、おお、悪りぃな。精霊以外との会話なんか久しぶりでさぁ。』

伝わらないと思っていた言葉に返事が来たことに驚いていると、また別の声がした。

『百年ぶりやね、火の。先に言っとくけど、契約はまだ出来ひんよ?』

今度のは穏やかな雰囲気の関西弁だった。
やや高い、男の人の声だ。でも、お仲間な気がする。

『え、なんでだよ!会話出来ただろ。』

また、大音量だし。こいつの声だけ分厚めのガラスを挟んで音量絞れないだろうか。
...頭痛い。

『私達が言葉を発するだけで、この世界の者には負担が大きいのですから、少しは魔素の振動を抑えなさい。この幼子もいくら虹薔薇に保護されているとはいえ、辛いでしょうから。』

今度も男の声だ。優しさのある声だけど、この人絶対、真面目で融通の利かない人だ。

『???なんだって?』

やはり、難しい事は馬鹿には理解できなかったか。

『火の。あんまり煩くすると、嫌われるよ?』

また増えた。今度は透き通るような声だけど、絶対からかってるな。

『なんで?』

『お前が喋る度に、こいつが顔を顰めてるのに気付かないのか?あぁ、馬鹿はそういうものなのか。』

『マジで?』

今度は結構毒舌な奴が増えた。

『もう、嫌われてるんじゃないの?』

『え”...。』

あぁ、また増えた声変わり前の少年みたいな奴も、なかなかの毒舌だった。

『うそだよな?俺のこと嫌ってないよな?』

声しか聞こえないけど、涙目になってる気がする。
あぁ、可哀想に。

(安心して良いよ?初めから嫌いだから。)

一言目で立ち直りかけた心を二言目で折る。
大声を出されるのは本当に迷惑だけど、虐め甲斐があるなぁ。こういう馬鹿は心を折っても暫くすれば勝手に立ち直るから、遠慮なく何度もへし折れる。
馬鹿が立ち直るまではやっと静かになるな。

『...火の。......相変わらずだ。』

今度は低くて重量感のある声が増えた。
まぁ、とりあえずは。

(今のうちに説明お願いします。)

『そうやね。火のが大人しぃしとる今が、チャンスやしね。まず、わいは水の精霊王や。よろしゅうな。』

関西弁のお仲間さんが、水の精霊王っと。
ふむふむ。じゃあやっぱり『七霊王』ってこの人(?)たちか。

『私は、光の精霊王です。虹薔薇の所有者さん。よろしくお願いします。』

融通の利かない人が光の精霊王か。

『俺が闇の精霊王だ。お前は俺の管轄だからな。魔人族リベラの恥晒しにならない様にしねぇとなぁ。』

毒舌一号は闇の精霊王だったのか。
若干、俺様系か?

『僕は風の精霊王だよ〜。ほどほどによろしくね〜。』

透き通るような声の主は風の精霊王だったのか。掴み所がないな。

『...土の精霊王だ。...よろしく。』

低い声は土の精霊王か。無口だなぁ。

『僕は雷の精霊王。けど別によろしくしなくて良いから。』

『なんや、自分。そんなら来んかったらええやろ?虹薔薇の儀式は強制やないんやから。百年前のんもすっぽかしてたやん。』

『別に、こいつは僕の管轄でもあるから、仕事の内だし。こいつの魂に惹かれたわけじゃないし。』

毒舌二号の少年はツンデレだった。

(俺は、アルブムって言います。魔人族リベラ獣人族ガブラスの混血です。)

『なんか、1歳にしては礼儀正し過ぎる。...気持ち悪い。』

(まあ、転生者だし。前世では16まで生きれたので。)

『『『『『...はぁぁあっ?』』』』』

自己紹介に返ってきたコメントに対して自然と言葉を返してた。...心の中でだけど。
『声に出さなくても伝わるのって変な感じだなぁ』と思いながらほぼ無意識に答えたら、落ち込んでる馬鹿と無口な土の精霊王以外に叫ばれた。

(えっ、なに?)

『転生者って事は、自分地球ってとこから来たん?』

(まぁ、そうだけど。)

『で、では、地球について何か教えてくれないでしょうか。お願いします。』

(それは、別にいいけど。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

結局、聞かれるままに質問に答え、こっちもこの世界について色々と聞いた。
色々勉強になったのは良いが、七霊王の質問攻めには疲れた。
今更だが、何で転生のこと教えたんだろう。

ちなみに馬鹿(火の精霊王)は途中で復活してた。地球の話をするとき七霊王全員が馬鹿並みに大声を出すから頭がガンガンする。この世界の神様が地球好きらしい。

それで、頭の痛みに耐えながら聞いた話によると、精霊王達は声を出すとき空気の振動ではなくこの世界の全てに存在する魔素と呼ばれるエネルギーを振動させているらしい。

生物(人族と獣以外)の身体は取り込んだ魔素を魔力へと変換し、体内に巡らせることで維持されている。
精霊達はただの魔素の塊なので乱されても問題ないーーそもそも自分達の声くらいで乱される事はないーーが、生物が精霊王の声を聞くと身体の維持に回していた魔力が乱されることで身体中に激痛が走るらしい。
魔力への変換と循環は自身の持つ魔力の質に身体が耐えれる様になった際、自動的に起こる魔力解放後に生命活動の一環として始まるらしい。
だが。循環が行われていなければ魔力を乱されることもないのかと思ったが、魔力を乱される事はなくとも、魔力解放前から脳は魔素の流れを無意識の内に感じ取っている。
その為、身体中とはいかなくても脳はダメージを受けるらしい。
本来なら、会話をすることなんて出来ないし、それどころか精霊王達の精一杯の小声を聞いても気が狂う程の激痛を伴うらしい。

だが、俺の場合魔力解放はしていない為、影響が出るのは脳だけ。その痛みも虹薔薇の所有者に施される加護のお陰で、大分マシになっていると。...そして、馬鹿が会話できたら契約出来るのだと思い込んでた理由は二つ。
一つ目は、さっきも言った通り虹薔薇の所有者なら契約は成立させられるから。
二つ目は、精霊王の声を聞いても狂う事なく返事をできるという事が、虹薔薇の所有者である事の証明だから。

この世界に存在する精霊達も魔素の振動で言葉を伝えているらしいが、精霊王程の卓越した力は持っていない為、そこまでの負担はないらしい。
この世界に存在する精霊達は全部で26種(?)たに分かれる。精霊王達は種という分類では分けられないのだろう。
七つの属性のうち闇と光以外には、微精霊、下位精霊、中位精霊、上位精霊が存在する。
そして闇と光には、微精霊、中位精霊、上位精霊が存在する。これで26種。

微精霊は全ての属性が同じ割合で存在する。この世界【アフェルガ】には【世界樹】が存在していて、微精霊とは世界樹が花を咲かせる期間に世界樹の周りに漂う濃密な魔素が永い年月を掛けて集まり、結合した魔素の集合体である。ちなみに生まれる属性は世界樹に咲いた花により魔素が集合した際に変質する魔力の属性が決まるらしい。世界中の微精霊の割合を世界樹が把握して調節しているのだとか。微精霊が集まって光り輝くその光景は、前世でいう蛍の様らしい。

そうして生まれた微精霊の内、三分の二は自分に合う環境に移動し、その環境を維持する。人族以外は漂う微精霊と自分の体内から出した魔力を共鳴させる事でいずれかの属性の魔法を放つ。その為、その場に漂う微精霊の割合などにも影響される。人族は魔素を吸収し変換した体内の魔力を操れない為、魔法陣か詠唱をすることで微精霊に指示を出す形で魔法を発動する。魔法陣や詠唱を使う事で、魔力操作を自動化できるので簡単になる。
産まれたものが持つ『得意属性』と呼ばれるものは、共鳴しやすい相性の良い微精霊の属性の事を示すものであるらしい。

ちなみに、人族以外の種族は相性の良い属性の微精霊が多くいる土地で暮らしているらしい。
竜人族ドラゴニュートは火の微精霊、魚人族マーマンは水の微精霊、森人族エルフは風の微精霊、獣人族ガブラスは雷の微精霊、岩人族ドワーフは土の微精霊、魔人族イビラは闇の微精霊、聖人族アンジェロは光の微精霊、といった具合に。
精霊王達は、自分の属性と相性の良い種族を管轄下として考えている。

下位の精霊は自分と同じ属性の魔法を微精霊との共鳴反応に触発される形で手助けする。
相性の良い種族か人族の一部ぐらいにしか見えないが、下位精霊は動物に2枚の属性と同じ色の羽根を持った姿をしている。契約をすることで個が確立して、実体を持つ。

中位の精霊は日頃から気に入った魔力の者から、魔力をおやつ感覚で貰いそのお礼として自分の属性の魔法を手助けする。
中位ともなれば魔力を貰っていれば契約はしてなくても、自由に姿を見せられるらしい。気に入った相手とは、契約もするらしい。
中位精霊は2対4枚の光る羽根を持っている。

上位の精霊は姿を消す事が出来るため、相性が良い属性でも滅多に見る事は出来ない。
だが、気に入られれば姿を見せて貰えるので名を与え契約を交わせば、無条件で最大限力を貸してくれる。上位精霊は3対6枚の羽根を持ち、己を人の姿へと変える事も出来る。

魔力解放後なら人族以外は相性の良い属性の精霊を見れる様になる。混血は二つの属性を見れるが、獣人族と魔人族は人族の次に数が多く、魔力の質が高くなければ見る事は出来ないらしい。
他の種族は少数精鋭って感じなのか。

少しややこしいが、通常の混血は精霊王がどちらの管轄かで争い、その争いが混血の子の魔力に影響して互いに反発し合い魔力の質が低くなるらしい。魔力の質は高ければ高い程優秀らしく、魔力の質が低くなる混血の子供は『忌み子』として迫害されているらしい。だが、混血は2つの属性を見れるので『眼』としては優秀で、微精霊の多さはその場の魔法に影響する為、その判断の為に奴隷としては価値があるらしい。

それはさておき、混血は2つの属性を見る事が出来るが、魔力の質が低い。だが、獣人族ガブラス魔人族イビラの混血と魔人族イビラ聖人族アンジェロの混血は互いの魔力が反発する事なく混ざり合う為、普通よりも魔力の質が高く優秀な個体が産まれるらしい。ただ、獣人族ガブラス魔人族イビラは元々性格の相性が悪く、種族間での仲が悪い為、互いの混血が優秀な事は知られて居ないのだとか。
混血も魔力の質が低いのだが、1つの術式に込める魔力量を増やし、凝縮させる事で普通と同じように魔法は使える為、魔力保有量と魔力コントロールが高ければ、他よりも優秀らしいが。

俺は獣人族ガブラス魔人族イビラの混血だから、魔力の質が高いらしく、魔力解放には少し時間がかかるが、解放後は精霊王達の姿を見れるらしい。姿を見て、名を与える事で精霊王と契約を交わす事が虹薔薇の所有者の義務らしい。

『それでは、魔力解放後にこの台座に来て頂ければ魔法陣に刻まれた術式が発動して、時が止まるのでそこでまた会う事になりますね。』

(そういや、なんで時を止めるなんて大掛かりな事してるんだ?)

『いやぁ〜、わいら精霊王はこの世界に具現化するだけで周囲の魔素を乱してるんよ。精霊王としての力が強すぎてなぁ、魔素が乱れるのは止められへんから、虹薔薇に刻まれた術式でわいらがおる台座の空間以外を時ごと魔素の流れを止めてるんよ。』

『正確に言えば台座の外の空間を止めてるのではなく、台座の中の空間の時の流れを極限まで早めているんですよ。外の空間にいるものからすれば一瞬の出来事であるかの様に。台座と外の空間の時の流れを変える事で、互いに別空間の様になっているので、私達が乱した魔素は外の空間に影響を及ぼしません。』

『因みに、わいら精霊王以外で虹薔薇の加護が施されてへん人がこの空間おったら、加速化した時の流れに魂も肉体も耐えられへんなって、一瞬で(パンッ!)って弾けとぶで?』

(うげ...。ちょっと想像した。気持ち悪い)

『...あっ、なるほど!お前が魔力解放するまで契約出来ないのか!』

『火の。...今頃理解したの〜?』

『火のは相変わらずやなぁ〜。周りが次の話題に行ってても、火のだけは何個か前の話を理解する為に頭働かして。』

『馬鹿が静かになるのは、落ち込んでる時か珍しく頭使ってる時だけだよな。』

『頑張って無い頭使っても、対して理解出来ないけどね。』

馬鹿の今更過ぎる発言に対して、風、水、闇、雷の精霊王が突っ込む。

(そういや俺の魔力解放っていつ起こるんだ?)

『混血は色々とイレギュラーが起こるので、確実な事は言えませんが、普通なら魔力の質に身体が耐えれる様になれば自動的に起こりますね。』

『因みに自動的に解放される前に無理やり解放したら、暴走して魔力放出しまくって最終的に精神力も放出して死ぬで?まぁ、衰弱死みたいな感じやから死に方としては楽やけどね。』

(...さっきから、やっぱ水の精霊王って『鬼畜』とか『ドS』とかいう部類だよな?)

『そやで?特に火のは片手間で出来るから、感謝してるわ。...やけど、自分もお仲間さんやろ?』

(...まぁ。前世では姉が主な獲物だったな。馬鹿ではなかったけど、立ち直りが早くて助かってたよ。)

やり過ぎて、落ち込むのを通り過ぎて機嫌が悪くなることもあったけど、和菓子作ってあげれば機嫌治ったからな。

『ほんま、自分とは気ぃ合いそうやわ。』

『火のは定期的に鎮めないと、暴走するからね〜。水のが居てくれると助かるよね〜。』

『......あぁ、あれは、助かった。』

(『あれ』ってなに?)

ずっと喋ってなかった土の精霊王が、重量感のある声でしみじみといった風に呟いた。

『大昔の話なんやけどね。相性の良い種族と精霊が一緒に暮らしてるってゆったやろ?』

(そういや言ってたな。)

『今はそれぞれ、竜人族ドラゴニュートは北の地に。魚人族マーマンは岩礁の多い海域に。森人族エルフは樹海に。獣人族ガブラスは一番大きな大陸に。岩人族ドワーフは大きな火山の麓に。魔人族イビラは魔の大陸に。聖人族アンジェロは雲の上に暮らしています。
ですが、おかしいと思いませんか?火の属性と相性の良い竜人族ドラゴニュートが、選りに選って極寒の地に住んでいる事が。』

(確かにそうだな。竜人族ドラゴニュートって寒いの苦手なイメージがあるんだけど。)

『昔は、火のと一緒に竜人族ドラゴニュートが暮らしてたのは火山やねんけどなぁ。土のと岩人族ドワーフが鉱石の為に火山の麓に住んで、わいと魚人族マーマンが火山の麓にある岩礁地帯に住んでたんやで?』

『火のが火山に住む様になってから、火山の活動が活発化したんですよ。火のが元気になれば火山が噴火しまくり、落ち込めば噴火しなくなって、と予測できなくなりまして。』

『...お陰で岩人族ドワーフ達が、安心して住めなくなってた。』

『わいらの海域も火山活動が不安定な所為で、水温が安定せんくてなぁ。岩礁地帯の生態系が狂ってしもうて、魚人族マーマン達が海底から出れんくなってたんや。』

(...馬鹿。周りに物凄い迷惑かけてるな。)

『せやからな?『竜人族ドラゴニュートは寒さに弱いけど、弱点克服したら最強の種族になるんちゃうん?』って言うたんよ。そしたら、精霊と竜人族ドラゴニュート連れて誰も住まれへんかった北の地に移住したんやで?』

『そうそう。火の『修行だーっ!』って言ってたね〜。あの時の竜人族ドラゴニュート達、可哀想だったよね〜。』

『まぁ、いきなり精霊王の命令を受けて精霊達が微精霊共々移動したんですから。精霊と契約していた者も居たでしょうし、着いて行かざるを得ませんよね。』

『火のは単純やからねぇ。お陰でわいらの海域も安定したし、岩人族ドワーフも精霊王が住んでた名残りで火山は活発化したままやから、鉱石も摂れるしねぇ。』

『......今は安定していて、噴火は定期的だ。』

『厄介払いという形でしたが、お陰で竜人族ドラゴニュートは弱点を克服しましたし。いきなり過酷な環境極寒の地に放り出された反動か戦闘狂になりましたが。火のも満足気ですしね。』

(なんというか。...扱い易いな。単純。)

今話してる姿の見えない方々は、きっと想像出来ないくらいの時を生きているんだろう。だから今の態度は失礼だとは思うが、なんでかそこまで年上とかに思えない。

......精霊王ともなると精神年齢が前世の常識と同じ訳がないか。
前世を狭い世界で生きてきた俺よりも経験とかは積んでるはずなんだが。

それにしても、『前世』か。
別に不幸だったとか、虐められてたとかではなかったけど、転生には憧れてた。
姉に向けた最期の言葉は、正直殆どが姉を安心させる為の冗談だったんだけどなぁ。
俺が言った『転生』も記憶を引き継ぐタイプのやつじゃなく、普通の『輪廻転生』の事だったし。

もしもの話で、『神様的な存在が気まぐれに願いを叶える』的なイベントに巻き込まれたのだとして、その『願い』っていうのは姉のものだろうなぁ。ただの偶然かもしれないけど。

...血の繋がりの薄い両親。そして血の繋がりが薄くとも、俺に初めて『楽園』を教えてくれた姉。俺と真逆(?)ともとれる『暖朝はるとき』という名前だったな。姉は男っぽい名前を気に入ってたけど、気を使われて『はる』って呼ばれる事に拗ねてたな。

前世の話を精霊王達にしたからか、色々と思い出したな。大好きな家族や結構仲の良かった友人。色々と教えてくれた親戚。
......それと、転生した今でも心の奥底に根付いていて、俺みたいな人格が作られた最大の要因でもある過去に負った二つのトラウマ。
それでも、俺がぎりぎりの所で壊れないで入れたのは、優しい家族がいたからだろう。

何か、恩返しでもしたかったけど、もう会えないのか。......柄にもなく、寂しいと思う。

『...な、なぜ、泣いてるんですか ︎』

『え、いきなりすぎるだろ。お前、ガキとはいえ魔人族イビラなんだから、簡単に泣くなよ。というか、泣き止め。...調子狂う。目は擦るな、赤くなる。』

(...え?)

瞬きすると目に溜まって視界を歪めていた雫が頬を伝った。

(あ、あれ?ほんとだ。なんで泣いてるんだろ?)

寂しいとは思ったが、泣く程の事でもないだろうに。
そう思って涙を拭っても、どんどん溢れてくる。5歳からの記憶を思い出せば出す程、止まらなくなっていく。
精霊王達が、俺を泣き止まそうと色々話しかけて来るが、意思と反して溢れ出る涙は暫く止まらなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どれ位時間が経ったかはわからないが、台座の外からすれば一瞬しか経ってないだろう。

正直、泣き疲れて今の身体では眠気が凄い。
泣くのって、結構疲れるな。目が痛い。

『お、もう泣かんでええんか?』

『水の。そうは言っても、もうすぐ魔法陣に込められた魔力が切れますよ。』

『だ、大丈夫か?頭痛すぎたのか?やっぱ、俺うるさかったか?』

『火の。地球についての質問に顔を歪めながらも応えたんだから、全力で叫ばない限り泣かないと思うけど。』

(はあぁぁぁぁぁ〜〜。スー、ハー、スー、ハー。よし、やっと落ち着いた。)

『だ、大丈夫か ︎泣くと目痛くなるんだろ ︎大丈夫なのか?』

煩いけど、悪気がある訳じゃないし心配してくれてる訳だから、無碍には出来ない。

(目は痛いけど大丈夫。...それより疲れた。眠い。)

俺はそのまま座り込んでいた場所に寝転がった。寝転がるともう、ダメだな。......眠い。

『なんや、寝るんか?わいらは魔法陣に込めた魔力が尽きるからさよならやけど、魔力解放後にまた呼んでや。』

『その時は、本当に契約しましょう。楽しみにしています。』

『もう終わりか ︎まだ話したいんだが、仕方ないのか。』

『......仕方ない。』

『魔力解放後に絶対呼べよ。俺様との契約程誉れ高き事はないんだからな。』

『仕事だしね。呼ばれたら来てあげるよ。』

『お別れの前に仮契約はしておくね〜。』

『『『『『『『今はまだ未熟で無知な幼子に
精霊王の約束を与えよう。約束が果たされる時までは我らの加護を汝に授ける。異世界からの客人に精霊王の祝福を。』』』』』』』

精霊王達のそんな声を聞きながら俺の意識は闇へと落ちていった。






かなり遅れました。申し訳ない…>_<…

説明パートって難しい(−_−;)
伏線とかも有るし、開示する情報を選ばないといけないから。

書きたい場面を書けるまで長いなぁ。

萌えはもう少し先になりそうですが、少し我慢してください。よろしくです( ̄^ ̄)ゞ

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