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闇と雷の混血〜腐の者の楽園〜

音絃 莉月

1話〜二度目の始まり〜

う〜〜ん。
...そういや此処どこだろ。
なんか、霧が掛かったみたいに頭が働かん。

...え〜っと、たしか、あぁ。うわぁー。

死んだんだった。
でも、仔猫だけでも助かってよかったなぁ。
そうじゃなかったら、カッコ悪いし。

......ん、なんか。
真っ暗で何も無い筈なのに、イライラするな。
ん?なんでだろ?


ーーーーーー銀狐。


あぁ。そうか。末彦おじさんの所為だ。
カッコ良いからってのもあるけど、何より狐を撫でてみたくて頼んだのに。

今、見せられてもな。モフれんでは無いか。
出来ることなら呪ってやりたいが、生憎、転生が始まってるみたいだしなぁ。

来世でモフモフ出来るのを期待しよう。
記憶が残るのは、なんとなくわかるから。

......産まれるまで、また寝よう。
おやすみ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ふわぁぁ。

.........おはよう。

やっと、頭が冴えてきたよ。
目が開いて光を見れる様になって暫く経った、けどちょっとボヤけてる。
早く見える様になれ〜。

「■#◇*◆☆○□✳︎」

ん?...あぁ、この声は女の人の方かな?
大きいベビーベッドで寝てる俺を覗き込んでくる人を見て思う。

......やっぱ、人じゃ無いよねー。

初めて見た時泣いたもの。
...怖いとかじゃなく、心配で。

いや、本当に顔色悪かったからさ?青白いんだよ。
あやしてもらって落ち着いてからやっと、他の部分にも気付いて思ったよ。

何の為に泣いたんだって、腹立ったわ。

まず、耳ね。
エルフとはまた違った尖り方をしてるんだよ。
横に長いんじゃなく、斜め上に伸びてる。そこまで長くはないけど。

次に、角だよね。
赤黒い羊みたいな角が側頭部から二本生えてる。
この段階で魔族なのはわかった。

あとは、尻尾かな。
悪魔っぽいのじゃなくて、猫じゃらしみたいな形かな?

それに爪長い。目も赤黒い感じ。

で、此処がこの人が何の魔族かわかる部分だろう。
犬歯が長くて鋭い。
良く見ると犬歯の先に本当に小さな穴が空いてるし。
吸血鬼なんだろう。

そこまでは良いよ。そこまでは。...うん。

...ねぇ、......何で、『翼』なんか生えてんの?
何で、堕天使っぽい黒い翼なんか持ってんの?

.........違うじゃん!そこは蝙蝠じゃないの!
...何でモフモフしてんのさぁ。
皮に覆われた骨格と皮膜だけで良いよ。
羽ばたく度に羽が舞う仕様もいらないし。

「□✳︎*☆○※*☆*☆○」

あ、男の声がした。
吸血鬼もどきの背後から黒い獣人が出てきた。

...この人は普通なんだよなぁ。多分黒豹?
でも、優しそうな人だよな。

「○※*☆*■アル☆*☆」

あ、因みに『アル』っていうのは俺の名前っぽい。
2人とも良く言ってるから覚えた。

それに、2人ともむず痒くなるくらいに優しい声で話しかけてくれるけど、『アル』って言う時は特に優しくて安心する様な声だからね。

...愛されてるんだな、俺。

また眠くなってきた。寝よう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あれから1ヶ月後。

生後2ヶ月くらいで言葉がわかる様になった。
最近思ったんだけど、普通の赤ちゃんと成長の仕方が違う気がする。

何で普通の赤ちゃんの事なんか知ってるかって?

友達が腹違いの妹の様子を日記に付けてて、それはもう丁寧に教えられたんだよ。

で、普通なら生後1ヶ月くらいで、のどが発達して「あー」とか「うー」とか言える様になる。
視力が発達して来てはっきりとした色のものなら見える様になる。
首も少しずつ動き始めるらしい。

でも、俺の場合首も睡眠時間とかも同じなのにのどが発達して無かった。
それなのに、視力は凄かった。
初めて瞼を開けてすぐに、本当に遠くの方ほど良く見えた。死ぬ前でも見えなかった様な距離がはっきりと。
...近くに行くほど見えなかったけど。

そんで、普通の赤ちゃんの生後2ヶ月頃は感情が豊かになって目も見える様になってきて自分の『手』に興味を示すらしい。
のども発達して出せる声が増える。

で、今の俺はというと感情は関係無い。
強いて言うなら今の頭に前世の記憶が馴染んできたかな。
目は近くもはっきり見える。
それと、ようやく「あー」とか「うー」とか言える様になった。

俺が喋らなくても両親は心配して無かったから魔族とか獣人では普通なのかもしれない。

あ、両親はあの2人だった。
というかそれ以外にあったこと無い。

黒豹の獣人はアルムって言うらしい。医師でもあり薬師でもある。
吸血鬼もどきはマートルって言って、吸血鬼の始祖でありダンジョンマスターらしい。

通りで人がいない訳だよ。
...此処、ダンジョンの最奥だってさ。

そういや俺の名前、正確には『アル』じゃ無かった。『アルブム』って言うらしい。

で、目がはっきりと見える様になって思った。俺ってどんな姿なんだろう。
因みに、手は白かった。
青白いんじゃなく、色白。

父アルムはタレ目で柔らかい雰囲気で、それでもイケメンだし。
おっとりしてるけど、しっかりものだ。

母マートルは美人って感じの人。
涙ボクロが色っぽい。普段は天然な性格も相まって雲の様なつかみどころの無い雰囲気で男心からすると追いかけたくなるんだろうけど、俺がそう思うことは無かった。

なぜなら......。

「ア〜ルくーん!私の天使!良い子にしてた?私達の楽園を穢す侵入者達はもう潰してきたから安心してね?ああー。もう、可愛すぎる〜〜!」

我が母であるマートルさんは俺を見た途端、破顔してデレッデレの顔で、さらには背後に満開に咲き誇る色とりどりの花の幻覚を纏って、駆け寄ってくるのだ。

追い掛けるも何も、俺が追い掛けられる側である。

そして、お母様?満面の笑みなのはよろしいですが、侵入者を『潰す』って何ですか。

...まぁ此処、ダンジョンですしね?
お母様、ダンジョンマスターですもんね?
お仕事ですからね?

「アルくーん?」
「あー?」
「アールくん。」
「うー?」
「.........。」
「?」

なんだろう?プルプルしだした。

「...アルムがね?禁欲しろって言うのよ。」

.........ん?

「今までは毎晩くれてたのに。もう、1週間ももらって無いの。」

......お母様?

「自分が持たないからって。
確かに、無理させてたとは思うけどね?
それでもせめて、3日に1回くらいは良いよね?」

...えーっと、何の話です?

「うー?」

「ねぇ、アルくん?ちょっとだけ、いい?」

......へっ?
え、ちょっ、ちょっとお母様?
目が怖いです。笑顔何処に落としたんですか?
背後にあった満開の花が枯れていく気がするんですけど。

......ひっ⁉︎
あの笑顔が怖いです。
口が弧を描いてるせいで、立派な牙が余計に怖いです。
目が全然笑ってませんよ?捕食者の目を向けないでください。

お母様の腕の中が怖いなんて初めてですよ?
赤ん坊としての本能が全力で警報を鳴らしてます。

「うぅ〜〜ぅ〜〜」

やばいですって。赤ん坊だからすぐ泣くんですよ。
うぅ。もう少しで決壊号泣する。

「ちょ、ちょっと落ち着いて。何してんの?マートル?」

優しい声がしたと思ったらアルムに抱き抱えられてた。おお〜。セーフ。危なかった。
本当に決壊号泣しなくて良かった。

「アルムぅ〜!もう、我慢出来ない!」

うおっ⁉︎安心したらお父様目掛けて、お母様が襲い掛かってきた。

「いただきーーんむっ⁉︎」

それを、俺を気遣いながらも抑え込むお父様。
流石です。
お母様は壁に抑え込まれて、お父様に俺を抱えてない右手で口を押さえられた。

「はぁ。マートル?
君、アルの中に流れてる僕の血に充てられたんだね?
全く、君の番は僕なんだから、例え血縁でも抑えてほしいなぁ?」

な、なんかお父様。完璧な笑顔で怒ってます?
暴走状態だったお母様も震えてる。

「マートル?今夜、僕の血は貧血になる前までなら好きなだけあげるから、その後は覚悟してね?」

お、お父様。
綺麗な笑顔で怒りながらも、目眩がしそうな色気を醸し出すとは。...恐ろしやー。

「さて、アル。疲れただろう?お風呂に入ってから寝ようか。」

あ、いつもの優しいお父様が帰ってきた。
お母様は、お父様が戻ったらへたり込んじゃったし。

...はぁ、ほんと。...疲れた。


翌日、青白い顔色がもっと悪くなったお母様がきた。
俺を見たら、生気取り戻したけど。

その後にお母様とお父様による愚痴のろけを聞かされた。
要約するとこうだ。

吸血鬼の吸血行為は、される側にとって媚薬の様なものらしい。

そして、お母様はお父様の血が好きで3日に1回は貰ってたけど、俺を身籠ってからは欲求がなくなった。
お父様も、妊婦相手に媚薬は欲しくは無かったから、1ヶ月に一度にしてた。

だが、俺を産んで子育ても落ち着いてきた最近になって、欲求が復活。
それだけなら良かったが、長い間血を控えていた反動で毎日になったと。

それでも毎日媚薬の効果に従えば、いくら子育てが落ち着いてきたとはいえ、お母様が持たない。
そう思い、お父様は我慢してたが流石に限界になり、禁欲生活を開始。

結果、1週間も血を貰っていないお母様が暴走した。

......ということらしい。

全く、仲のよろしいことで。
でも、お二人の問題に赤子を巻き込まなくても...。

そんな感じで、俺はのんびりすくすくと育っていった。

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