月島 祐

存在

春香とはなかなか都合の合わず電話の出来ない日々が続いた。


毎日のように電話を掛けるけどなかなか出ることがない。


僕は不安になっていた。

もし春香にとって僕の存在が邪魔だったらどうしよう。


そんな事を思っていた。


久しぶりに電話が掛かってくる。


「春香」



「もしもし」

僕は体調が優れないのもあり、元気のない声で出る。

「もしもし」

春香は僕のもしもしに答える。



僕は真面目なトーンで春香に現状を話した。

「もしかしたら入院になるかもしれない」

入院と言うのは精神科の檻のようなところだ。


まだ確定では無いのでこの段階ではまだはっきりしたことは言えなかった


以前病院でパニックを起こしてそんな話をされた事、おしりに注射をされたことを春香に話した。


「おしりの注射痛かったぜ」

「どんな感じなの?」

春香は聞く。



「なんて言うか、インフルエンザの注射のおしりにされて痛いバージョン?」


僕はそう答えた。



「おれが入院したら春香はお見舞い来てくれる?」

僕は続けて聞いた。

「行けたら行くよ」

曖昧に春香は答える。



「おれがもし死んだらどうする??」

そんなシリアスな話を春香に聞いてみた。

「実感が湧かないよ」

そりゃそうだ。

何を聞いているんだと思いながら春香と話していた。

その後は色々な話をした。


懐かしい話や夢について。


「おれさ、シェアハウスしてみたいんだ。春香も一緒に」


半分くらいは冗談交じりだが大きな夢だ。

「おれがFUKASEなら春香はSaoriちゃんだから」

SEKAI NO OWARIに例えるとそんなところだろう。



「だからどこまでも巻き込むけどいい??」

すると春香は

「もう巻き込んでるじゃん」

こう返した。


もう春香をおれの人生で巻き込んでいる。


いいことなのか悪いことなのか…


春香の存在は大きい。

僕が元気で無くても元気にしてくれる。


僕が月なら春香は太陽ってところだろうか。


そんな話をしていたらお互い眠りに就いていた。


気がつけば僕のiPhoneはホーム画面になったままだった。


春香の存在の大きさに僕はびっくりさせられる。

ここまで大きな存在だったなんて…

ここまで大切な存在だったなんて…



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