月島 祐

小説

すると春香は
「読んでいいの?」

と聞いてきた。

僕はとっさに恥ずかしくなって、

「やっぱりだめ!恥ずかしくなるから…」

と何気に照れながら言った。

でも読みたそうな春香の声には勝てなかった。


「読んでもいいよ!」


月島祐の小説「花」を教えた。


春香も興味津々な様子だった。


「私、読み始めると黙っちゃうよ」


なんて言いながら電話越しで読んでいるのがわかった。


僕は恥ずかしくなったのと春香と話したい気持ちで
「静かになるのは嫌だ!」

と言ってみたり
どこまで読んだのか気になって

「どこまで読んだ?」

と聞き返した。


春香は「懐かしいね」なんて言いながら小説を電話越しに読んでいた。

「私、小説とか本好きなんだよね」

意外な一面があるんだなー。なんてことを思いながら
「おれも最近ハマってるんだ。」

と答えた。




しばらくすると春香は

「眠い」

と言い寝ようとしていた。

僕は眠くなかった。

このまま電話が切れるのは嫌だったから
「切らないでね」
と提案する。

春香は「勝手に寝るから話してていいよ」と言って眠りに就いた。


僕は眠ったのを確認して電話を切った。

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