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月島 祐

プルプルプルプル…


電話の音で目が覚める。


誰だろう?


「春香」


朝早くからなんだろう?

と思ったけどよく考えてみたら夜勤終わったら電話してと頼んでいたことに気がつく。

「もしもし…」


眠そうな声で僕は電話に出る。


「寝てた?」

春香はまるで仕事終わりかのような声で聞く。


「一瞬だけ寝てたよ。朝の4時くらいから」

僕はそう答えた。

通りで眠たいわけだけど、春香の電話で完全に目が覚めた。


「一瞬だね」

しれっと春香は答えた。


「でも目が覚めたけどね」

「事故大丈夫だった?」

春香は心配そうに聞いてきた。

「まだフラッシュバックとふらふらはするけど大丈夫だよ」

僕は状況を説明する。


「結構やばいじゃん。病院行ったら?」

春香に心配される。



「病院行った方がいいかな?」

僕は他人事のように言う。


「だって、症状が酷いもん」


「春香はおれが怠けてると思う?」

僕は自分のことのように聞いてみた。

適応障害のこと、うつ病のこと、どう思われてるのかただ気になった。

「仕方がないんじゃないかな?だってそれが症状なんでしょ?」

春香は優しいななんてことを思いながらもちょっと不安になり、

「もし入院とかなったら嫌だぜ。まるで監獄に入れられるみたいで」

と僕は言った。

前に聞いたことがある。
精神科の入院施設は監獄のようなところだって。

「でも治るならいいんじゃないかな?」
春香はそう提案する。


僕は話を変えて
「ところで小説書き始めたんだけど…」

と春香に報告した。

「読みたい?」

なんて自慢気に話す僕。

まるで子どもだ。


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