本日は性転ナリ。

漆湯講義

After Story…My Dearest.33

先生のその言葉に私たち生徒の視線が教室の入り口へと集まる。
教室の中に顰めた声が波の様に伝わる中、二つ前に座っている莉結が私の方へと振り向いて首を傾げた。
それに応えるように私も小さく首を傾げると、男子達の歓喜にも似た声が小さく響き渡り、私は教室の入り口へと再び視線を移した。
そこで私の目に映ったのは、ピンと張った背筋の後を追うように風に靡く絹の様な長い髪。そしてその髪の一本一本が金色…と言うよりも陽の光に近い輝きを放っている。
その長い髪がくるりと大きな円を描き、細い身体の後ろに隠れた所で、私は初めてその煌びやかな髪の持ち主の顔を目に映した。それと同時にクラスのあちこちで小さな声が響く。
"うわ…超可愛い"とか"ハーフ?"とか、ちょっとデリカシーが無い男子は、"日本語喋れんのかなぁ?"だったり…
"なんかマジで人形みてぇ"なんて声も聞こえてきたが、そんな反応が出るのも頷ける程にその光の髪を持つ少女はこのクラス…いや、この日本のどの街中を歩いてもその異色さを際立たせる程のものだった。
その子は緊張しているのか、教室の端から端をゆっくりと見回し続けている。そしてその視線が私の視線と合った時、先生が咳払いをして口を開いた。

『はいっ、静かにして下さぁーい。それじゃ、えっと…オリヴィアさんでいいのかな?自己紹介を…』

と、先生が言い終わろうとする前に、その"オリヴィア"と言うらしい彼女は『呼び方なんてどうでもいいけれど…どうせなら、リヴィでいい』と氷の様に透き通った声で小さく言った。
大人しそうで可愛らしい外見とは裏腹に、冷たく、そして突き刺さるようにそう言い放った彼女は、少し拍子抜けさせられた様なクラスメイトを気にする様子も無く続けた。

『ところでルイ・キサラギはどなた?』

えっ…?

その瞬間、私の心臓がドクンと音を立てて跳ね上がる。
そしてそれと同時に見覚えの無い彼女が何者なのかという疑念が私の頭を埋め尽くした。



コメント

  • 漆湯講義

    ミツキさんありがとうございます!!(。>ω<。)ノ
    キーパーソン追加です٩(๑•̀ω•́๑)۶www

    0
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