本日は性転ナリ。
After Story…My Dearest.15
『ねぇ、これ見ようよっ♪』
髪を乾かし終えた私に、莉結は一冊のアルバムを持ってきた。
「中学の卒業アルバム??」
『うんっ、久しぶりに見たいなぁって思ってさ♪』
私は一瞬躊躇ったが、過去の自分だって今の自分なのだと受け入れる事にして頷いた。
卒業アルバムなんて見るのは多分、二回目くらい。中学の思い出に興味など無かった私は、自分の卒業アルバムが何処にあるのかさえ分からない。
ベッドに背を預けて座った私たちの並んだ膝の上にアルバムを置き、表紙を開いた。
すると懐かしい校舎の風景が目に映り、教員、そして見覚えのある同級生達の顔ぶれが広がった。
莉結は楽しそうに"この子はあそこの高校行ったんだよねぇ"とか"この子とこの子付き合ってたんだよっ"なんて私に説明をしながらページをめくっていった。
そして私のクラスメイトが目に映ると、すぐに愛想の無い一人の男子生徒と目が合った。
『あっ、瑠衣だ♪』
懐かしい響き。
この頃はこんな事になるなんて想像もしてなかったな…
今の自分を当たり前だと思って、毎日をただ何となく過ごしてた。
何処からどう見ても男なのにな。これが薬一つで造り上げられているなんて未だに信じられない。
そんな事を考えていたら、私は思わず鼻で笑ってしまった。
『なんで笑ってんの?』
「いや、もしこの頃の自分に会えるなら"騙されてるぞっ、ばーかっ"って言ってやりたいなって思ってさ♪」
『何それっ、変なの』
男として生きていた自分が写真の中で当たり前のように存在している。
そんな姿がなんだか馬鹿らしく思う反面、なんとも切ない気持ちにもなる。
そこに映るのは紛れも無い自分、それなのに自分では無い、そんな矛盾が、現状を受け入れた筈の私に自分が数奇な人生を歩んでいる事実を突きつけている。そんな気にさせたのだった。
「もうこの姿には戻れないんだよね」
不意に私の口から溢れたその言葉に、莉結は一瞬私の顔を見て、すぐにアルバムへと視線を移すとこう言った。
『私は瑠衣だって衣瑠だってキモチは変わらないよ、なんてね♪』
そう言い終わらないうちに私の肩に莉結の額が温もりを伝えた。
私はその髪に頬をそっと寄せ、アルバムをぱたんと閉じると、莉結の手に自らの手を重ねたのだった。
ぎゅっとその柔らかな手を握ればそれに応えるように返される莉結の手の感触。
それはまるで太陽と月のように変わることの無い永遠の安息を約束してくれるようだった。
髪を乾かし終えた私に、莉結は一冊のアルバムを持ってきた。
「中学の卒業アルバム??」
『うんっ、久しぶりに見たいなぁって思ってさ♪』
私は一瞬躊躇ったが、過去の自分だって今の自分なのだと受け入れる事にして頷いた。
卒業アルバムなんて見るのは多分、二回目くらい。中学の思い出に興味など無かった私は、自分の卒業アルバムが何処にあるのかさえ分からない。
ベッドに背を預けて座った私たちの並んだ膝の上にアルバムを置き、表紙を開いた。
すると懐かしい校舎の風景が目に映り、教員、そして見覚えのある同級生達の顔ぶれが広がった。
莉結は楽しそうに"この子はあそこの高校行ったんだよねぇ"とか"この子とこの子付き合ってたんだよっ"なんて私に説明をしながらページをめくっていった。
そして私のクラスメイトが目に映ると、すぐに愛想の無い一人の男子生徒と目が合った。
『あっ、瑠衣だ♪』
懐かしい響き。
この頃はこんな事になるなんて想像もしてなかったな…
今の自分を当たり前だと思って、毎日をただ何となく過ごしてた。
何処からどう見ても男なのにな。これが薬一つで造り上げられているなんて未だに信じられない。
そんな事を考えていたら、私は思わず鼻で笑ってしまった。
『なんで笑ってんの?』
「いや、もしこの頃の自分に会えるなら"騙されてるぞっ、ばーかっ"って言ってやりたいなって思ってさ♪」
『何それっ、変なの』
男として生きていた自分が写真の中で当たり前のように存在している。
そんな姿がなんだか馬鹿らしく思う反面、なんとも切ない気持ちにもなる。
そこに映るのは紛れも無い自分、それなのに自分では無い、そんな矛盾が、現状を受け入れた筈の私に自分が数奇な人生を歩んでいる事実を突きつけている。そんな気にさせたのだった。
「もうこの姿には戻れないんだよね」
不意に私の口から溢れたその言葉に、莉結は一瞬私の顔を見て、すぐにアルバムへと視線を移すとこう言った。
『私は瑠衣だって衣瑠だってキモチは変わらないよ、なんてね♪』
そう言い終わらないうちに私の肩に莉結の額が温もりを伝えた。
私はその髪に頬をそっと寄せ、アルバムをぱたんと閉じると、莉結の手に自らの手を重ねたのだった。
ぎゅっとその柔らかな手を握ればそれに応えるように返される莉結の手の感触。
それはまるで太陽と月のように変わることの無い永遠の安息を約束してくれるようだった。
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