本日は性転ナリ。
155.報告
『風が気持ちいねぇ♪』
「う、うん。」
『なに?緊張してんの?』
「ま、まぁね。なんか私の為に研究してたのにその結果を無駄にしちゃう気がして。」
『なんで衣瑠がそんな事考えんの?これから衣瑠と同じような事になった子の為にもなるんだから気にすることないって。』
「そ、そうかなぁ。」
背後で扉の閉まる音が聞こえた。
振り返ると先生が手を上げている。
私達は屋上に設置されたベンチへと移動して…"報告"をした。
『まさかそんな答えが返ってくるとは思わなかったよ。いいんだね?本当に。』
「はい。これは一時の感情ではないです。ちゃんと考えた結果なので。」
『わかったよ。"あの子"の影響もあったって事かな?』
「あの子?」
『嶺ちゃんだよ。この前話してたでしょ?まさか2人が出会っていたなんて知らなかったよ。』
「あぁ、レイちゃんは私の妹みたいなものです。大切な…私と同じ運命の子ですし。」
『そうか…それはすまないね。治療はうまく進んでいた筈だったんだが…』
筈だったんだが…?先生の口から飛び出したその言葉の理由を問う。
「"筈だった"ってどういう事ですか?」
『え?そうか…ごめん、患者さんの話は他言できないんだよ。てっきり知っているものかと…今の話は忘れてくれ。』
先生は、そう言って逃げるようにその場を立ち去ってしまう。
『今のどういう事だろう。』
「うん。レイちゃん何かあったのかも。」
私たちはその真意を確かめるべくレイちゃんの家へ走った。
レイちゃんのアパートへ到着すると、階段を駆け上がりドアの外から声を掛ける。
「稚華さーん!!いるー??」
応答は無く、静けさに包まれたアパートに雀の戯れる声だけが響く。
すると下の方から声がした。
『あのー、その部屋の子のお友達?そこの子ならさっき救急車で運ばれてましたよ?』
えっ…
音を立て身体中から血の気が引いていくのがわかった。
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