本日は性転ナリ。
22.あの頃と今のキミ
体験学習が終わると、暫く自由時間になった。念の為、絆創膏を貼っておこうと思って、私は莉結とトイレに来た。
……やっぱりまだ女子トイレに入るというのは抵抗があるけど。
「はいっ、多めに渡しとくね」
    莉結から絆創膏をもらって個室に入ると、私は服をたくし上げ、自分の可愛らしい丘に二つバッテンを付けた。
そして、"応急処置"を終えた私が扉を開けると、何故か背中を向けて立っている莉結が居た。すると、莉結は上半身を捻って私の方に向けると、腕を高く掲げ、ウィンクをしながら気持ちの悪いデレデレとした笑みを浮かべた。
「ねぇ、馬鹿にしてんの?」
無表情のままに私が言うと、莉結は「可愛かったんだもん! さっきの衣瑠っ」と私の頬に指を当てた。
「だから苦肉の策だったんだって……もういいじゃん。ていうか自由時間なんだからどっか散策でも行こうよ」
「ごめんごめんっ! そうだねっ、せっかく来たんだから自然を満喫しよっ」
    そうして私達は建物の外に出た。辺りは森に囲まれ、木々の香りが混ざった爽やかな風が吹いている。
目を瞑って小鳥の囀りや木々の葉音を聞いていたら、「あそこの見晴らしの良さそうなとこまで行ってみようよ」と莉結が私の手を取った。
「さっ、行こっ」
    そう言って普通に歩き出した莉結に、握られた手を見つめながら私は小さな声で言った。
「手握るなんて恥ずかしいよ」
すると莉結はニコッと微笑んでこう言った。
「女の子は普通なのっ」
    そう言った莉結の笑顔が私の胸をぐっと締め付けた気がした。それは今までに感じた事の無い感覚で……その気持ちに戸惑った私は、小さく頷いて、黙ったまま莉結の背に靡く髪を追った。
莉結の髪がふわりとしてから纏まると、私達の立った小高い丘から山下に広がる街並みが光り輝いて見えた。その遥か上空には、まるで私達みたいに連なって、ゆっくりと円を描いて飛んでいる鳶の姿も見える。そして、その鳶たちの鳴く声に重なる様に、莉結は子供みたいな歓声をあげた。
「うわぁっ、凄い綺麗っ! ここってこんな高かったんだねっ」
私は、そう言って瞳を輝かせて遠くを見つめている莉結を見つめていた。なんか……昔に戻ったみたいだな、って。最近じゃ莉結もいつの間にか大人になったんだな、なんて思う事が多かったけど、やっぱり何にも変わってないや。
私は自然と頬が緩み、肩の力がすぅっと抜けた気がした。久しぶりな、身体が軽い感覚……なんかいい。
「ねぇ莉結ちゃん、座ろっ」
私がそう言うと、何故か莉結は一瞬驚いた表情をして、満面の笑みで「そうだねっ衣瑠ちゃんっ」と言った。
二人で柔らかな芝生の上に腰を下ろすと、ひんやりとした感触がお尻に伝わってくる。すると、水平線を見つめていた私の肩に、柔らかな重みが伝わった。
同時に鼻に運ばれてくるのは淡いシャンプーの香り。
    ……誰かに見られるかもしれない、なんて思ったけど、すぐにそんな思いは風に乗って飛んでいった。
    ……だって、別に見られてもいいじゃん、女なんだもん。
……やっぱりまだ女子トイレに入るというのは抵抗があるけど。
「はいっ、多めに渡しとくね」
    莉結から絆創膏をもらって個室に入ると、私は服をたくし上げ、自分の可愛らしい丘に二つバッテンを付けた。
そして、"応急処置"を終えた私が扉を開けると、何故か背中を向けて立っている莉結が居た。すると、莉結は上半身を捻って私の方に向けると、腕を高く掲げ、ウィンクをしながら気持ちの悪いデレデレとした笑みを浮かべた。
「ねぇ、馬鹿にしてんの?」
無表情のままに私が言うと、莉結は「可愛かったんだもん! さっきの衣瑠っ」と私の頬に指を当てた。
「だから苦肉の策だったんだって……もういいじゃん。ていうか自由時間なんだからどっか散策でも行こうよ」
「ごめんごめんっ! そうだねっ、せっかく来たんだから自然を満喫しよっ」
    そうして私達は建物の外に出た。辺りは森に囲まれ、木々の香りが混ざった爽やかな風が吹いている。
目を瞑って小鳥の囀りや木々の葉音を聞いていたら、「あそこの見晴らしの良さそうなとこまで行ってみようよ」と莉結が私の手を取った。
「さっ、行こっ」
    そう言って普通に歩き出した莉結に、握られた手を見つめながら私は小さな声で言った。
「手握るなんて恥ずかしいよ」
すると莉結はニコッと微笑んでこう言った。
「女の子は普通なのっ」
    そう言った莉結の笑顔が私の胸をぐっと締め付けた気がした。それは今までに感じた事の無い感覚で……その気持ちに戸惑った私は、小さく頷いて、黙ったまま莉結の背に靡く髪を追った。
莉結の髪がふわりとしてから纏まると、私達の立った小高い丘から山下に広がる街並みが光り輝いて見えた。その遥か上空には、まるで私達みたいに連なって、ゆっくりと円を描いて飛んでいる鳶の姿も見える。そして、その鳶たちの鳴く声に重なる様に、莉結は子供みたいな歓声をあげた。
「うわぁっ、凄い綺麗っ! ここってこんな高かったんだねっ」
私は、そう言って瞳を輝かせて遠くを見つめている莉結を見つめていた。なんか……昔に戻ったみたいだな、って。最近じゃ莉結もいつの間にか大人になったんだな、なんて思う事が多かったけど、やっぱり何にも変わってないや。
私は自然と頬が緩み、肩の力がすぅっと抜けた気がした。久しぶりな、身体が軽い感覚……なんかいい。
「ねぇ莉結ちゃん、座ろっ」
私がそう言うと、何故か莉結は一瞬驚いた表情をして、満面の笑みで「そうだねっ衣瑠ちゃんっ」と言った。
二人で柔らかな芝生の上に腰を下ろすと、ひんやりとした感触がお尻に伝わってくる。すると、水平線を見つめていた私の肩に、柔らかな重みが伝わった。
同時に鼻に運ばれてくるのは淡いシャンプーの香り。
    ……誰かに見られるかもしれない、なんて思ったけど、すぐにそんな思いは風に乗って飛んでいった。
    ……だって、別に見られてもいいじゃん、女なんだもん。
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