二重人格のいじめられっ子が転生されたら

TORN

5話「最悪の組み合わせ」

 この世界で友達ができた。
 前の世界よりいい人いっぱいいるじゃん。
 そう思っていると

『おーい広夢ー!訓練のところまで一緒に行かない?』
『いいのー?俺無能だけど...。それでもいいなら構わないよ?』
『気にしてないよそれ。つーかなんか関係あるのか?』
『……わからん!』
『わかんないのに不安がるのやめろよなー』
『今度から気をつけます...』
『じゃーお前の部屋いくから待ってて』
『了解』
 
 それにしてもこの「テレパシー」ってやつは前の世界じゃ有り得なかったからなー。
 一言。「慣れない!!」
 そう思っていると1分も経たずに島田が来た。

「よ!」
「……。速ーよ!」
「まぁ気にすんなって」
「すいませんが準備できてないからちょっと待ってろ。」
「オケオケ!」

 こいつ!ちゃっかり俺に見せてないか?自分の凄さ!
 すると、

「そう言えばさ!聞いてよ!団長さんから「仮名」ってやつ授かったんだ!『クリス』だって!なんか日本人からしたらセンスないよな!!笑える~」
 
 俺が既に持っていることは黙っておこう...。でもどうしよう、どう言おう。
 そうだ!とぼけよう!

「なんか効果とかあったの?その「仮名」って」
「スキルが増えたんだよ!なんかこの『聖剣使い』ってやつ!一つだけだけどね~」
「へー。すごいなそれ」
「俺もお前につけてやるよ!確かこうやって…………ん?」
「どうしたの?」
「複数の仮名不可ってなった...」
「へー...そうなんだー」
「もう広夢誰かから貰ったのか?」
「あ、うん!そうなんだ!悪いな黙ってて!あははー」
「なんだよー!隠すことじゃねーじゃねーかよ!」
「ごめんなごめんな!」

 ちょっと待て?
 俺自分でつけちゃったんだけど大丈夫かな?
 まぁ気にすることないな!
 俺らは訓練場に向かう。

 訓練場に着くとまだクラスの誰も着いていないらしく、僕と島田と団長さん、指揮官はまだ数人しか来ていなかった。
 団長さんが僕らに気づくと驚いた顔をしてこっちに来た。

「早いなー!まだまだ時間はあるんだぞ?例の勇者さんよ!ハハハ!」
「いやいや勇者になれたのは運もありますし、何より早く訓練をやりたくてソワソワしていたもので...」
「そうか!私の付けた仮名で勇者さんは一人でダンジョンに行っても20階まではたぶん行けるだろう!実際は訓練と言っても基礎だけだからな!経験とかは実際に行って見なきゃ上がらないからな!」
「そうなんですか!早くその『ダンジョン』というのに行けるように頑張ります!」
「そうかそうか!偉いな!ん?もう一人は名前はなんていうんだ?」

 あー僕か?なんか団長さんの中での僕がおまけ感すごい気がするんですけど...。
 気を引き締めて...!

「えっとー!僕は小林広夢です!まだまだ全然ですがよろしくお願いします!」
「…………」

 すると奥の方から

「アイツがあの無能!?マジかよ、やる気だけあってもできることとできないことがあるからな...」
「なんか残念だな...」

 前にも言われてなー。
 確かに思う。この世界のことについて知識もなければ実力も訓練してもそこそこしか上がらないと思う。
 ステータスを見たら誰だってそう思うと思う。
 現に僕が諦めてるけどな。
 すると団長さんが耳元でこそこそとこんなことを言ってきた。

「自分で自分の「仮名」を付けるのは基本的には禁止されている。ちなみに私は他言はしないが気をつけるといい。あんまり実力が伸びにくくなると言われているからな。」
 「そう、なんですか...。ー?アレ?僕言いましたっけ?」
「私のスキル『鑑定眼』で見させてもらった。でも非表示のが多かったぞ?頑張ればいいせん行くのでは?」
「そうなんですか!ありがとうございます!」

 非表示?そんなのあるのか?
 とりあえず確認だな。

『非表示リスト表示』

 非表示ー「仮名ーベリアル」「悪魔支配」「テレポート」固有スキル「無限」

 そんなに!?解除できないのか...?
 でも「悪魔支配」とか怪しすぎだからまぁいっか。
 そんなことを思っていると、クラスのほとんどの人が訓練場に来ていた。
 団長さんとの話で夢中になりすぎたな。
 すると団長さんが

「よく来てくれた!これから訓練を始める!4人のグループに分かれてくれ!そしたらグループに一人の兵士を付け、これから毎日訓練に励んでもらうことになる!心しておくように!!」

 確かクラスは全部で36人だから、9グループか...。
 でも俺仲良い人少ないな...島田はもう決まっちゃってるし……。
 そう思っていると裏から

「小林ぃー?一緒にやろうぜ?もちろん断るとかないよなー?さんざんいたぶってやるからー」
「本当にストレス溜まってんだよねー楽しみだわー」

 小声でそんなことを言ってくる。
 本当にひどい奴らだ。
 頷くしかないな。
 ぼくの他にはもう決まっているようだった。怯えもしてないが嬉しそうでもない、ショートヘアで身長は僕より少し下ぐらいの女子。
武田と武田の連れの松田、そしてもう一人、この女子と僕ということだ。
 本当に最悪だ。今日からこの人達とか……。
 すると、

「私は一ノ瀬静香。これからは長い付き合いになると思うから宜しくね。」
「あーうん。こちらこそよろしく。」

 この人クラスにいたっけ?もっとクラスに関心持つべきだった!!
 自分の過ちを悔いる。
 でも怖いけど何かやってくる感じもないから良かった。
 問題はこの二人だ。武田と松田。
 本当にこいつらとはなりたくなかったんだが向き合っていくしかなさそうだな……
 担当の兵士の招集がかかる。

「お前達が俺が担当する生徒達か。よろしくな。
 俺の名前はバビル・ロッドだ。今日から長い付き合いになるからタメ語とかでも構わない。上下関係はあまり好きではないからな。あと揉め事は禁止だ。このルールの上で訓練を始めていく。分かったな?」

 これが方針か!なんかファンタジー感あるな!やっと異世界って感じがする!!
 そう思ってさっきの女子一ノ瀬の方を見てみると、なんというか...それはもう興奮しているのか顔が真っ赤で小さくガッツポーズしていた。

 アレ?俺の一ノ瀬さんのイメージ早速壊れたんですけど。もしかしてあれですか?キャラ作ってたんですか!?

 僕の視線に気づいたのか、すぐに真顔になった。
 俺あの人とぜったい仲良くなれる気がする!!

 友達になる!と決心して今日の訓練を始めるのであった。

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