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今日も俺は採取系の依頼をこなす。

ノベルバユーザー69231

初体験

朝起きて、今の状況を整理していた。着替えが必要だろう。今持っている服は着ているジャージしかない。昨日は散々歩き回っていたので、当然汗もかいている。俺自身では体臭はあまり気にならない程度だが、いずれ必要になってくるので、必要だろう。浄化クリーンの魔法では、体はきれいになるが、服まできれいにする効果はない。昨日、無属性魔法の話を聞いた後、すぐに試してみてよくわかった。まあ、服についた臭いは消えないということだ。

・・・
いやいや、そんなことを気にしている場合ではない。確かに体臭が臭いのは問題だが。何よりも魔法が使えないのが問題だ。今振り返れば、数あった選択肢の中で固有魔法エクストラという特異的なものをわざわざ選んだ俺のせいなのだが。確かに俺のせいでもあるが、その後きちんと女神の奴は固有魔法エクストラの説明してくれたし、もしもあの時注意されておけば、素直に引いた・・・はずだ。それに後から気付いたからって、俺に何も言わず色々と禁止していくのは人としてあり得ないだろ。それに魔法の説明やこの世界の説明をもっと丁寧にやってくれたってよかったんじゃないかな。少なくとも無属性魔法は説明しておくだろ。もっと、よく考えてから送り出してほしいものだ。



決して、俺が焦ったからじゃない。確かに最後の方はよく説明も聞かずにとびだしてきちゃったけど?・・・。関係ないはずだ。


・・・
いかんいかん。俺が悪いような気分になってきてしまった。まぁ、過ぎてしまったことは仕方がない。とりあえず、解決策を考えよう。


ということで、考えた結果、こんな感じに落ち着いた。
・魔法を使わず、戦う。

いや、もうこれしかない。女神の奴にステータスは上げてもらっているから何とかなるだろう。現状この選択肢が一番いい。というかもう一度、いや、もうこれしかない。




結論を出してから、考えた計画通りに行動した。
まず、おじさんに武器を売っている場所を聞いてから、その場所に向かった。そこで『鑑定』を使い、値段の割に安そうな剣を購入した。そうは言っても、よくゲームで見るような有名な剣ではない。普通の剣だ。本当は盾も購入したかったのだが、お金が足りなかった。店を出てから、ふと考えると、両手がふさがれば、もしもの時に魔法が使えないので、購入しなくてよかった。次に、もう一度ギルドに戻り、依頼を受けた。

今は、依頼を受けたダンジョンに向かっている途中だ。今回も常設依頼を受けた。たぶんもう少しで着くだろうダンジョンは初心者向けの難易度となっていてるそうだ。大体Fランクの人は、このダンジョンか、昨日歩き回った森で魔物を狩っているらしい。何でも、ダンジョンは全体的にレベルが低い。森では、レベルはダンジョンに比べて高いものの、魔物が単独行動をしていることが多いそうだ。確かにゴブリンは群れるイメージがあったのだが、昨日は単体で会うことが多かった。なぜかは、知られていなそうだった。


それで今回は、色々悩んだ末にダンジョンに行くことを選んだ。ケティさんにダンジョンでは後ろから魔物に襲われることが少ない。さらに逃げても、ほとんど追ってこないというやりやすさ。実際にダンジョンでの死亡事故は一般の場所よりも少ないということを聞いた。


もう少しで着くだろうダンジョンはどんな感じでどんな魔物が出てくるのだろうという事に思いを馳せていると着いたようだ。

少なくない列を作って並んでいる。おじさんの話を聞かなければ、こんな沢山いて大丈夫なのかと思うくらいの人数がいた。しかし、大丈夫だという事はすでに分かっていたので、驚かずに済んだ。ダンジョンは一定距離を離れると作り替わる?そうだ。これを初めて聞いた時に、つまり、”ダンジョン内で他のパーティーと出会うことがない”と伝わってきたのは、概念の伝達が働いたのか。とにかく問題ない。
むしろ、前のパーティーがそれなりの距離を進む必要があるので、こんなにも列を作っているのだろう。
ダンジョンが”生ける洞窟”と呼ばれる理由である。他にもダンジョンに現れる魔物の様子からダンジョンの奥には何かがある、と言われている。今まで攻略されたダンジョンでは、財宝の類であったらしいが。今回行くダンジョンはもちろん攻略済みである。それでも攻略したパーティーはAランクだったそうだ。
並んでから、それなりに思考し、時間が経っていると思った。しかし、少し体をずらして見た感じだと、まだ半分くらいを残っている。





ついに俺の番が来た。
中に入ると、暗かった。【点灯ライト】と唱えて、歩き出す。少し進んだら、一瞬、体がふわっとした感覚に襲われる。聞いた通りに、”隔離”されたようだ。腰に差した剣を少しいじってから、動き出した。
森と違って、一方通行の道をこのまま歩いて行けば、自然と魔物が現れるはずだ。


歩いていると突然、数メートル先で黒い影が現れて、魔物が出現する。ゴブリンではなかった。
地球でのウサギの頭に、角をはやした感じの外見だの奴が3匹だ。
『鑑定』を使いステータスを見る。

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ホーンラビットA
レベル*2
筋力*15
体力*10
物理耐性*10
敏捷*15
魔力*3
魔法耐性*3
魔法技能*『火』
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ホーンラビットB
レベル*2
筋力*15
体力*15
物理耐性*7
敏捷*13
魔力*1
魔法耐性*3
魔法技能*『風』
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ホーンラビット
レベル*2
筋力*18
体力*8
物理耐性*7
敏捷*15
魔力*3
魔法耐性*5
魔法技能*『風』
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ゴブリンと比べたら、レベルの割には敏捷と筋力が高い。ダンジョン内はそこまで道が狭いという印象はなく、3匹同時に襲い掛かってくるのには十分な広さがある。どんな攻撃が来るのか、出方をうかがっていると、1匹が角を前に出し、俺の方めがけて、ジャンプ突進してきた。俺は左にステップして避ける。すると残り2匹が一斉に、同じように突進してきた。今度は右にステップを踏み、しゃがんだ。やはり、後ろにいた、1匹が俺めがけて跳んできていたが、難なく交わすことができた。膝を伸ばし、立ち上がると剣を抜きながら、壁側に移動し、壁を背に3匹と向き合った。

剣を抜いたのはいいいが、正直殺せる自信がない。剣が悪いとか武器のせいではない。言ってしまえば、気持ちの問題だ。角が生えただけの”うさぎ”なのだ。先程、突進してきたのだが、可愛かった。

3匹とも俺が避けたら、壁に激突することを理解しているのだろう。お互いに、にらめっこを続ける。知能はないみたいに言われているが、本能はあるとも言われている。

にらめっこはそう長くは続かなかった。2匹が俺のいる壁側に移動し、壁に沿って、走ってくる。2匹のうち片方はそのまま地を蹴って、こちらに近づいてくる。もう片方は、先程のようにジャンプ突進だ。見事な連係プレーだ。本当に知能がないのか、不思議に思うくらいだ。だが、にらめっこのおかげで、俺にも決心がついた。ジャンプしてくる奴を剣で切り裂き、走っている奴の角を踏みつけた。角は折れ、衝撃で走って来た奴の体が浮いた。壁に叩きつけた反動を殺さずに、すかさず剣を下に振り下ろしとどめを刺す。そして、その一連の流れを見ていただろう最後の1匹がここぞとばかりに突っ込んでくる。この状態では、避けることができない。だが、そんなことは読めていた。2匹目を切った反動で、壁すれすれを回りながら詠唱して、左手を向けた。
【消え失せろ】
最後の1匹は跡形もなく消えた。届くか届かないかの距離だったが、間に合った。結果としては、2匹しか仕留めた事にならなかった訳だが、それでもやはり嬉しさはある。体が軽く感じる。戦ってみて、分かったのだが、ステータスに現れないものも強化されている気がする。地球に居たころには、出来なかった動きをやって見せた。また、相手の動きを読むなどの、戦闘知識?本能?みたいなものも強化されている。相手の動きが手に取るように分かった。



【開けごま】
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村田壮郎 男 18歳
レベル*3
職業*魔導士1
筋力*25
体力*35
物理耐性*28
敏捷*22
魔力*50
魔法耐性*35
職業アビリティー*魔力上昇:小
魔法技能*『水』
祝福ギフト*『言語解読・翻訳』 『鑑定』 『隠蔽』
固有魔法エクストラゼロ
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突然思い出し、ステータスを開くとやはり、レベルが上がっていた。職業レベルは相変わらず、上がっていない・・・が。結構簡単に上がってしまった。嬉しさがこみあげてくる。目を閉じ、上を向いた。励んだ努力をやっと認められた気持ちだった。とらえようによっては、正にその通りなのだが。


(ダメだ。ダメだ。)
自身を戒めるような、独り言をつぶやいた。実際には、女神の野郎に対しての言葉だが。奴を認める訳にはいかない。そもそも、魔法が普通に使えれば、こんな肉弾戦をする必要もないし。
そうしないと、100%、俺が悪いことになって・・・しまう。
(奴は、本当に忘れていた。俺が急いで、飛び出してきたせいじゃない。)
長い、独り言をつぶやいた。もう答えは出ているのだが、認めるわけにはいかなかった。







気を取り直して、2匹のホーンラビットの死体に目を向けた。討伐確定部位は、普通に考えれば角だが、確証はなかった。纏めて、収納袋アイテムポーチに入れてしまう。これは魔法道具で、非常に多くの物を入れることができる、とケティさんが説明してくれた。中々、質のいい物だそうだ。買った訳ではない。元はお金が入ってた袋だ。
(お礼なんて言わないからな。)
馬鹿らしく感じて、頭を振り、なかったことにして歩き出した。また少し歩くと、影が現れ、見知った形をとっていく。ゴブリンだ。4匹いて、1体1体が、杖、剣、盾、ハンマー?斧?を1つずつ持っている。どれも、木や石で作られた、簡易的なものだ。いや、杖は木が普通だろうか。


『鑑定』を使い、ステータスを見る。
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ゴブリン 杖
レベル*3
筋力*8
体力*11
物理耐性*10
敏捷*7
魔力*10
魔力耐性*7
魔法技能*『火』
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ゴブリン 剣
レベル*2
筋力*10
体力*12
物理耐性*7
敏捷*5
魔力*3
魔力耐性*3
魔法技能*『火』
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ゴブリン 盾
レベル*3


・・・
「ゴギャア」
ゴブリン杖から魔法が放たれた。俺に向けて、火の玉が飛んでくる。よく見れば、他の3体も臨戦態勢を整えていた。体を少し左に倒し、そのまま低い姿勢を保って、ゴブリン杖向かっていく。体が軽く、予想以上の速度が出た。ゴブリン杖に向けて、剣を横に振り払う。ゴブリンの体は堅かった。体を切断することができず、ゴブリン杖は右側の壁に激突した。”ゴギャア”と叫んでいたが、魔法は飛んでこない。うめき声のような苦しい叫びだった。確実に仕留めに行くか一瞬迷ったが、ガラ空きになった左側からゴブリン剣が突っ込んで来る。持っている剣で俺を貫かんと突っ込んできているのが気配で分かった。1歩大きく前に踏み出すと、剣を両手で持ち変え、ゴブリンの頭めがけて、真下に力強く振り下ろした。力を加えたからだろうか。今度はきちんと?突き刺さり、命を絶った感覚が手に伝わってきた。しかし、変に突き刺ってしまったのか剣が抜けない。まだ素手でゴブリンを2体倒せる自信はなかった。前から突っ込んでくる2体は異次元の力を目の当たりにして、音もなく消え去った。

と思ったら3体だった。先程、仕留め損ねたゴブリン杖も一緒になって消えていた。前に向けて、放ったつもりの魔法の効果が右後ろにも及んでいる。

・・・
少し考えたら、一応結論が出た。つまりは、ゴブリンも”他者”という事だろう。見られてはいけないので、一緒になって消した、という事だろう。ゼロに”対称の複数指定を可能にする”みたいな代償がある。昨日までは、”他者”と”対称”が違うものだったから一緒になって消えることはなかったのか。そんな風に思い返すと背筋が凍るように冷たくなり、冷や汗が吹き出す。
これからは、気を付けるようにしておこう。そう心に決めて、今回の戦闘の唯一の収穫である、剣が突き刺さったままの死骸に目を向けた。体を両足で押さえつけて、必死になって、剣を引っ張った。

何とかして、抜いた剣を見るともうボロボロになっていた。やはり『鑑定』でいい物を選んだとしても、一番安いものではこの程度なのか。今度はもっといい物を買おう。そう思いながら、ボロボロになった剣に最後の任務を与えた。耳を切り落として、死骸をびくびくしながら収納袋アイテムポーチに入れ、耳を財布アイテムポケットの魔法を使い、仕舞った。
冷や汗をかいたためだろうか、これ以上進む気が起きない。収穫は少ないと思ったが、仕方なしに来た道を戻った。



来た道を戻る間、手を見ると握っては開きを繰り返し”殺した”感覚に浸っていた。昨日よりも殺した数は少ないが、昨日のやり方では実感できなかったものを得られた。嫌な感じはしなかった。自分は戦闘狂ではないと自負しているが、この感覚は不思議と気持ちよかった。








ギルドに着いた。角を2つ、耳を1つ渡して、銅貨を1枚受け取る。素材を売り買いしている場所を教えてもらった。不思議とケティさんは暗い顔をしていた。

なぜだろうか、と考えている内に教えられた場所に到着する。来た道を少し戻っただけだ。本当ならここで素材を売ってから、ギルドに報告に行くものらしい。
死体を3つと銅貨1枚を交換した。

 
お腹が空いていた。しかしこんな状態では飯を食べることができないと思い、宿に向かった。
宿に着く前に、十中八九そうだろうと思う結論が出た。人に話せば、自意識過剰と言われて、笑われるような結論だ。

ダンジョンでは普通、魔物は集団で出現する。ゴブリンもホーンラビットもそうだった。しかし、ゴブリンの耳は1つしか持ってきていない。つまり、ケティさんは”俺が負けて逃げ帰ってきた”と心配してくれたのだろう。これならば、暗さの中にあった淡い光の表情にも説明がつく。


甚だ勝手な思い込みだと分かってはいるが、そう思うと元気が出た。
いや、そう思って元気を出した、が正しいのだろうか。

















































女神様を悪く言ってますが、あらすじを読めばわかる通りに90%は壮郎自身の責任です。


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