今日も俺は採取系の依頼をこなす。

ノベルバユーザー69231

終了のお知らせ*話は続きます。

俺は気付くと...転んでいた。
心ここにあらずで走っていれば、転ぶのも当然だろう。
転んだひょうしに少し思考が回復した。
もし予想が正しければ、俺のこれからの生活は終わったも同然だ。なら試行しなければいいという”悪”の意識が回復した。


・・・
悩んだ末に俺は又走り出した。
最終的には俺が中学時代に目覚めた”理系心”が勝った。試したい、考えたい欲求に駆られたか。いや、いずれわかることなので、と無理矢理言い聞かせた感じだったか。


数分走ると見つけた。むしろなぜ今まで見なかったのを不思議に思うくらいだ。おじさんの話によるとこの森と別の方向にあるダンジョンは新人冒険者にとって王道の場所になっている。俺の他にも冒険者がいて当然だ。ちょうど奴らと戦っている組を発見できた。おじさんの話では、1組3or4人のパーティーを作って行動することが多い。それなりの経験者なのだろうか、俺から見て戦い慣れている感じがした。それなら、ほんの少しお邪魔をしても問題ないだろう。俺は詠唱しながら戦闘が行われる場所に走り割り込んでいった。

【ロード オブ ゼロ】

「~~~~。」


自分は目の前で起きたこと?いや起こらなかったことに唖然とした。予想は的中してしまった。悪い方に。何か怒鳴られた気がするが、聞き取ろうとしなかった。


「おい、無視すんなよ。さっきは奇声を上げて走ってきやがって。今度はだんまりかよ。」

俺は怒られているようだ。
ゴブリン3体相手にうまく盾役をこなしていた木製の盾を持った男性が俺に向かって怒鳴ってきた。別に無視をしていたわけじゃない。ただ、別の事に集中していて聞いてなかっただけだ。
しかし言い返すつもりはない。怖い。
加えて、”奇声を上げて走って”の言葉が重要だ。どう考えても詠唱の事を言っているのだろう。はっきりした。

「おい、なんか言えよ。」
「まあまあ、問題なかったんだし。いいじゃないか。」
「そうだよ~。注意を引いてくれただけだよ~。」

「別に怒ってねぇよ。ただ、何がしたかったのかわからなかったから聞いただけだ。」

怒っていなかったらしい。顔も声も怖い、いかつい男性にしか見えないので勘違いしてもしょうがない。その後もパーティー内で話し合っているようなので俺も俺の世界に意識を向けた。

(おい、ふざけんな。...ちゃんと考えろよ。)

考えをまとめている内に、つい、怒りが音となって漏れ出してしまった。

「~~~」
「~~~」
「~~~」
パーティー内での話が小声となり聞き取れなくなった。

しばらくすると先程のいかつい男性がこちらに向かって歩いてきた。軽く頭を下げてきたのを見て、驚いてしまう。

「すまなかった。こちらも戦闘で緊張していてな。横取りをするつもりはなかったんだろ。こっちは1発避けられたってのにな。悪かった。」

頭を上げると少し早口になってしゃべり始めた。言い終わると俺の背中を叩くとパーティーの方へ帰って行った。残りのメンバーもこの一連の流れを見届けると、うなずき歩いて見えなくなった。


最後の方ろくにパーティー内の会話を聞いていなかったので、なぜこんな結論にたどり着いてしまったのかはわからない。謝罪の際は男は自分におびえているような感じさえした。パーティーはもう見えなくなってしまった。追うのは無意味だろう。

それに何よりもっと重要なことがある。

大きく息を吸い、少し吐くと自分は周りに誰もいないなかで、しゃべり始める。

(本当にふざけんな。ちゃんと考えろよ。数時間前は”ありがとう”とか思っていたけど、見誤った。ただのアホだわ、お前は。)

言い終わって納得する。先程も同じように声を出していた。確かに、いきなりふざけんなとか呟かれたら気味悪いか。
俺はパーティーの方々が怯えていた理由を悟った。

こちらこそごめんなさい。別に君たちの事を言ったわけじゃないんだ。
 ...(そうだよな、女神ッ。)
周りに誰もいないと思い、少し大きめな声を出した。鎧の男性が最初?にこちらに話しかけてきたくらいの大きさだ。もちろん女神には聞こえているとも思っていない。
強めの風が吹き、草木が揺れ、落ち葉が舞った。



声を出し怒りを発散すると、気持ちが少し落ち着き、結論を振り返る。


疑問に思ったのは、オークに固有魔法エクストラを使った時。
悪い予感に代わったのは、おじさんとの会話で、固有魔法エクストラが伝わらなかった時。
形になったのは、”異次元の力”と説明を思い出した時。
そして”奇声を上げて”と聞いた時、形は崩れ、事実という文字が浮かび上がった。

(なんでそこまで、”異端”を嫌うのかな。)
アホらしくなり、独り言をつぶやいた。今度は怒鳴り声ではない。THE独り言くらいの大きさだった。



MPを消費しない。
詠唱が聞こえない。
対象は音もなく消え去る。

確かにこれならば、俺が”異端”の魔法を使おうとも、痕跡は残らない。
ただ一つ、誰かに見かれている場合を除いては。
つまりゼロの制限は、十中八九誰かに見られている状態では発動しないということだろう。



確かにこれならば、俺が”異端”の魔法を使おうとも、痕跡は残らない。絶対に・・・。

(終わった・・・。)
今日二度目の、この世の終わりを目の当たりにしような、茫然自失とした声を出した。

しかし、今度は立ち直る要素が思いつかなかった。

異世界転移もののテンプレともいえるハーレムが作れない。
盗賊から奴隷の少女を救い出したり、魔物に襲われている所を救出できない。だって魔法を使おうにも助ける相手、つまり”他者”に見られているのだから発動しない。

(疲れたよ・・・。パト〇ッ〇ュ。僕はもう疲れたよ・・・。)

この世界に召喚されてから、何も食べずに数時間は歩いたり、走ったりしているのだから疲れるのは当然だろう。その疲れが今になって肩や足に強くのしかかってきた。近くに生えている木に寄り掛かり、地に足を付けた。

数分後には、少し良くなり、戻るために歩き出した。












何も考えないで歩く道は、とても長く感じた。
長い道のりを終えて、冒険者ギルドの扉を開ける。期待や不安の詰まった以前と違う。今、扉を開ける手にはやるせなさしか詰まっていない。だからだろうか、重く感じた。



同じ受付嬢の列に並ぶ。

・・・俺の番が来た。
依頼書と冒険者カードをケティさんに手渡した。
「では、耳を提出してください。」
「その件なのですが、ゴブリンは見つかりませんでした。」

この時、この世界に来て初めて嘘をついた。勘違いされることは多々あったけれども、嘘はついてことはなかった。こんな風に言えば、ずる賢い奴を想像するな・・・。
弱々しいのが俺自身最もよく分かった。


「そうですか・・・。」
言いながらケティさんは視線を落とすと、依頼書を持ち、握り潰し丸めて自身のポケットに入れてしまった。
「何するんですか。」
俺は驚いて声を出していた。

「今回はギルドが出してる常設依頼ですし、歩き疲れた壮郎さんを無理矢理依頼に行かせた私の責任でもあるわけですし。」
「ですが、それでは・・・」
言い終わる前にケティさんの声にかき消された。
「大っ丈夫です。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。」


「...ありがとうございました。」


一度頭を下げる。
その後感謝の言葉を述べて、”新品”の冒険者カードを受け取り、列を外れた。本当なら、このカードと依頼書に不達成の文字が書かれているはずだ。


カードを見ると、少し頬がゆがんでしまった。
扉を開けて外に出る。扉は先程よりも軽く開けられた。




街を歩き、おじさんに言われた安い割にいい宿を探した。
言われた通りに本当に近くにあった。宿り入り、受付のところに行く。
「ここに泊まりたいのですが、部屋は空いてますか。」
「ああ。二食お湯付きで、1泊銅貨3枚だ。」

【排出《アウトプット≫】
自分はそう唱えて、あらかじめ入れておいたお金のうち約3分の1を出した。
「では、とりあえずこれだけの分だけお願いします。」
そう言って、自分は銀貨3枚を手渡した。受付の人はお金を受け取ると代わりに鍵を渡してきた。



鍵を受け取ると、すぐに俺の部屋の方に向かっていった。
受付が夕飯は後1時間くらいで出来るから、というの言葉を聞いた。時間間隔は地球と同じということはすでに分かっている。おじさんから聞き出すのに苦労したものだ。やり取りを思い出して、また人知れずにやけてしまった。


部屋に入ると、すぐにベッドにダイブし、そのまま目を閉じた。
夕飯に起きることはなかったようだ。気付いたら外は明るかった。












(さて、さて、さ~て。これからどうしていきましょうか。)
試したいことが沢山思い浮かんだ。































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