今日も俺は採取系の依頼をこなす。

ノベルバユーザー69231

冒険者ギルドで2

本当にお疲れ様でした。俺は女神様の努力に感謝した。女神様からしてみれば、俺が”異端”だとばれることを避けるためにしたことだろう。しかし、俺がこの世界で生きやすくなったのも事実なので、とてもありがたい。”異端”だとばれることの何がマズいのか知らないが、やはり異世界召喚はないと考えていいだろう。そう言えば、種族間の対立が禁止されているのだったけ。だから必要ないのか。


・・・
黙ったままでいるのはおかしいだろう。

「話を戻しますが、”最前”とは何ですか。」
質問をした。
「そう言えば・・・、それが始まりだったか。”最前”ってのは簡単に言えば、開発者の事だな。『闇』と『音』の発生オリジネイトである『死霊』を発見した名前は知らんが宮廷魔導士が最近の登録者だな。それで今回関わっているのは宮廷魔導士のマイク=ハイムの事だ。そいつは宮廷魔導士の癖に職業は武士なんだぜ。詳しいことは俺にもよくわからんが、幼いころから魔法の才能があったらしい。しかし、家訓が関係しているかはよく知らないが、武士になった。そこで独学で魔法を学び、ついに宮廷魔導士になるまで認められた。つまりだな・・・。近接戦闘にも強い魔導士になった訳だ。そこから自分の得意な方は独学で学び、苦手な方を職業補正でカバーするって考え方が生まれた。そんな感じだよ。」



なるほど。確かに自分が”影響者”だと思うわけだ。

・・・
今考えると女神様にステータスを向上させてもらっていた。魔力は地球ではなかったものなので、底上げされてやっとこの世界の住人に追いつくくらいだろう。しかし、体力・筋力・敏捷は違う。元サッカー部だったこともあり、中の上くらいではないだろうか。それが底上げされたことを踏まえれば、上の下か中の位に俺は位置するだろう。充分に武士の才能があるといえるのではないだろうか。そう考えると俺は充分に”影響者”と言えるのではないか。






・・・
以降は俺の質問とおじさん返答の最中に受付嬢の捕捉と俺の思考が時々お邪魔する感じを繰り返した。

後に俺は依頼をこなすために冒険者ギルドの扉を開けた。そう遠くない場所にある森、俺が目を覚ました森に向かうために来た道を戻る。奴を退治するのが今回の依頼だ。他にも依頼がたくさんあったが、これを選んだ。この依頼はギルドが出している常設依頼で、退治した分だけ依頼量が増えるのが魅力的だった。もしかしたら倒したのが残っているかもしれないと思ったからだ。


話の最中、おじさんの名前がブレイク=ハートだと知った時は思わず、頬をゆがませてしまった。名前に似合わず本当に親切なおじさんだった。ただ一つ、俺を送り出して時にかけてくれた言葉が、”習うより慣れよ”だったのは驚き、心の中でツッコんでしまった。いや、声に出していたかもしれない。この街が大好きだろうおじさんに感謝しながら俺は依頼をこなすために冒険者ギルドの扉を開けた。


来た時と同じように”答え”のまとめをしながら、数時間前に通った道を歩く。
そのままおじさん関係から片付けて行こうか。
まず、おじさんは魔人と言われる種族だった。平和条約があるとはいえ、まだ魔人を見ると怖がる”人”がいるらしく普段は変身の魔法を使っているらしい。平和条約により種族同士の身分の差を優先して排除した。そのために個体での身分の差が出てきてた。魔人は個人が人族の上位貴族並みの権力を持っているらしい。自分が丁寧な言葉を使っていたために、バレていると勘違いされた。というか、祝福ギフトの話になった時に『鑑定』を聞いて、だからか・・・、って感じで話してくれた。祝福ギフトは置いておいて、魔人の話に戻ると、職業や魔法技能があるのは、”人”だけだということが分かった。魔物の魔法技能は少し違うらしい。
魔族・魔人は”ないなら作ればいいじゃない。”の精神でやっているらしい。やばかった。『鑑定』でステータスを見てもやばかった。よく覚えていないが桁が違った。
(おじさんというか、魔人についてまとめるとこんな感じか。)

独り言を言い、一区切りつけると思考を切り替えた。
祝福ギフトについて新しく知れたのは魔法との違いだった。魔法はMPを消費し、詠唱することで発動する。話によると無詠唱や自慢魔法プライドマジックと言われるMPを消費しない魔法もあるらしいが、そう区別されている。魔法は魔力とMPが威力に関わってくるが、祝福ギフトは加護の恩恵によってのみ力の大きさが決まる。


また、魔法には無属性と呼ばれる誰にでも使える補助魔法がある。簡易的に体をきれいに保つ『浄化クリーン』。お金や魔物の素材を収納する『財布アイテムポケット』などなど色々ある。


加えて下級冒険者にはいろいろな”決まり事”があるみたいだ。


・・・
面白そうであり、また門番とのやり取りの理由が分かった、おじさんの説明の中で一番の収穫ともいえる知識のまとめに入る前に森の入り口が見えてきた。一旦、思考を後回しにしてゴブリンを殺したここから一番近い場所に向かう。気付くと俺は駆け足になっていた。焦っているのだろうか。



目的の場所についた。と言っても、激しく争ったわけではないし雨で地面がぬかるんでたというわけでもないので漠然とこの辺りという感じだ。少し辺りを歩き回ってみたが、耳らしきものは落ちていなかった。
(これは新しくゴブリンを探したほうがいいかな。)
独り言を言った後に、先程歩き回った場所を二周した。
歩き回る中でゴブリンは見かけなかったので、当てなく歩き始めた。



10分程歩いた後に見つけた。奴だ。ゴブリンだ。
『鑑定』を使いステータスを見た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゴブリン
レベル*6
筋力*25
体力*30
物理耐性*20
敏捷*15
魔力*3
魔法耐性*10
魔法技能*『火』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんな感じだった。

敏捷は今までよりも高いが、充分な距離があるので問題ないだろう。正規の詠唱をした。
【ロード オブ ゼロ】
結果は問題なく発動した。



・・・
新たに問題が発生した。やはりどんなに探しても耳は見つからなかった。耳どころか体の一部さえ見つからない。


なぜだろうか。少し考えてみた。
そう言えば、ゼロの説明に制限の代償に大きく効果が上がっているみたいなことが書かれていた。
まさか・・・、効果が強くなりすぎて過剰攻撃【オーバーキル】状態になってしまっているのではないだろうか。


全身から汗が噴き出す。気が遠くなっていくのを感じた。突然走り出した。新しい敵を見つけるためだ。
(意味ないじゃんかよ。)
と吐き捨てるように言いながら、走った。

2~3分ほどして新しい敵を見つけた。
ステータスを見ることもなく、見つけ次第詠唱を開始する。
【ロード オブ ゼロ】

やはり・・・辺りを探してみたが耳は見つからない。
ゴブリンをもう一度消した後はもはや冷静になっていた。

(チートなのは確かだが、使えなければ意味がないじゃないか。)
独り言をつぶやいた後はなぜか前向きな気持ちになっていた。今思えば、何も固有魔法エクストラに頼る必要はない。自分は水魔法があるからとりあえずは問題ないはずだ。弱い敵は水魔法で倒し、今の自分では倒せない敵が出てきたら固有魔法エクストラの魔法を使えばいいか。

そう考えていたらちょうどよくゴブリンが一匹見えた。自分は迷わずに向かった。ステータスは見ていないが特に問題ないだろう。
水魔法を使おうとすると頭の中に詠唱の文句が現れた。なんか思ったよりも長い。
【我が水の才能よ。 力を示せ。 水球《ウォーターボール》。】

MPが5減ったことを示す文字が頭をよぎる。やはり普通の魔法はMPを消費するようだ。

・・・
にも関わらずゴブリンは無傷だった。別に外したわけでも弱かったわけでもない。なぜか発動しなかった。詠唱を間違えたなんて事はないだろうし、詠唱を多少間違えたとしても問題ないだろうし。
MPはちゃんと?消費したし詠唱もしたので魔法が発動する条件は整っているはずだ。なぜ発動しないのか。



・・・
(イテッ。)
考え事をしている最中にゴブリンが持っている鈍器で殴られた。
HP-12 18/30の文字が現れる。殴られて反動で後ろに下がり、もう一度詠唱する。
【すいきゅう】

・・・
期待を裏切り、またしてもMPは減ったにも拘らず発動しなかった。MPを使い切るような心持ちでやけくそ気味の詠唱だった。MPはごっそり持っていかれた。MPが足りないなんて原因もなくなっただろう。もう一度試す余裕はなく水魔法はあきらめて固有魔法エクストラを使うと決めた。
俺はゴブリンの鈍器との間が1mもないのを感じると早口で詠唱した。
【消え失せろ】

問題なく奴は消えた。
・・・魔法を使った後は何も残らなかった。


少しの間、落ち着くために時間を要したのちに魔法が発動しなかった理由を考えることに集中する。
・・・
 ・
 ・  
 ・

数十分考えた末に一応ある結論は出た。言ってしまえば最悪の結論だった。

固有魔法エクストラの説明に”この世界の魔法とは異次元の力”みたいなことが書かれていたはずだ。
そして女神の話では”この世界の魔法属性は互いに影響している。遠くに位置するものは互いに下降ダウンする”みたいに言っていたことを踏まえると・・・、

(異次元・・・・、確かに”遠い”と言えなくもないか・・・。)

そしてゼロは制限の代償によって打ち消されたと考えるならば、一応筋は通る。
自分はこの世の終わりを目の当たりにしたようなあきらめ?落胆?の声を出す。
(終わった・・・。)



・・・いや、まだ可能性はあるだろう。
しかし”異次元の力”、これが文字道理の意味ならば・・・

自分は気付くと走っていた。


























最後の方で・・・が続出していますが、これは茫然とした様子や自身の考えを認められない葛藤みたいなものを表しております。
次回で物語のプロローグ?が終わる予定でいます。
少し短めになっております。
・・・、いや、前回がながかったのかな・・・。

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