今日も俺は採取系の依頼をこなす。

ノベルバユーザー69231

街に到着。

(ゴブリンですか・・・。)
(ああ、ゴブリンだ。)


ゴブリンと言えば、と思い出したセリフを口にする。この場には奴と俺しかいない。もちろん奴が答えたのではなく、一人芝居だ。そして、この”会話”で何かを連想できる人はこの世界にはいない。まあ・・・、なんとなく言いたい気分だった。それだけだ。この”会話”を口にできなくなったら、”神の影響力”が働いたと考えられる。


【ふはい】
目の前に来てはいるがもはや慌てることはなく、詠唱すると、ゴブリンは大きくブレたのちに、消滅した。

なるほど。そう一人納得して、”紙”を開いた後からの事を思い出す。






(全く、迷惑な話だ。)
もう少しで森を出られる場所まで気付かずに来ていたらしいのだが、お金を取りに行く必要がある。どうやら入場税なる制度があるらしく、街に入るだけでもお金がかかるらしい。
せっかくもう少しなのに、という気持ちはあるが、入れなければ意味がないので、迷わず”目覚めた”場所に向かって歩いていく。せっかくだし”紙”から得た知識を簡単にまとめながら行こう。
そんなことを考えながら、歩いた。





(まとめると、こんな感じか・・・。)
固有魔法エクストラについては、よくわからない、と書かれていた。”紙”、名づけるならば”知識の書”で、その名の通りに第三者に知識をごく短時間で伝えられる魔法道具みたいだ。ならばよくわからないとか書かないでほしい。私の”覚醒魔法”で発現した異次元の力だと思う、と書かれていた。異世界転移の間では平然と説明したが、この世界には存在しない力だということを送り出した直後に気付いた。
と書かれていた。それだけだった。制限がついているのはその影響だと思うが、その内容については、一切書かれていなかった。


次に、この世界の歴史についてまとめるとこの世界には、人族、亜人、魔物、魔人、魔族、の細かく分けると、5種族いる。大雑把に分けると、知識を持たない魔物と、知識を持つそれ以外の2種類に分類できる。魔人とは人族が所謂”闇落ち”した結果生まれるもので、魔族とは亜人が”闇落ち”した結果や魔物が”昇華”した結果に生まれるものだ。容姿の違いから分けられている。魔人はほぼ人の外見と同じで、少し肌が黒いかなくらいの違いしかない。対して、魔族は魔獣とも呼ばれて、どちらかというと魔物のと外見が似ている。獣の本性が出た、と言われ亜人が人族よりも低く見られるという”異世界でのお約束”の原因になっている。種族の種類がたくさんあるわけだが、種族間の対立が激しいわけではない。それには、この世界の”バランス”が関係してくる。
過去には、人族・亜人で構成された人間界連合と魔人・魔族で構成された魔界連合との激しい対立があったらしい。内容を大まかにまとめると、最初は魔界連合が人間界連合を虐殺していたのだが、人族・亜人の数が元の四割を切ったところで、人族・亜人に所謂”最優世代”が誕生し、途中から人間界連合が巻き返した。個体数が少ないだけに、このまま人間界連合の勝利に終わると人々は歓喜したのだが、今度は魔人・魔族が元の3割を切ったところで、”人間”が大量に”闇落ち”した。そんな風にそれ以降は、戦況は何度も大きく傾いたものの、決着がつくことはなかった。だが、種族全体の個体数は徐々に減少しつつあったので、{このままではマズい}と考えた各種族の代表が集まり、”今後”について話し合った。結果、種族間の対立はほとんどなくなった。だから、どちらかといえば、特に”人間”は種族内の争いが激しい。種族内の争いは、”バランス”は関係しない。このことは、人族の”馬鹿代表”の実験からすでに周りに認知されている。”最良世代”を作ろうとして、大量の平民を餓死させたのだ。結果は大量の死者を出した。唯一魔物については、ほっとけば自然に増えたり、倒しても他が強くなったりしないので、この”平和条約”のに当てはまらない。むしろダンジョン、ここで初めてあることが確認された、にある財宝を手に入れるためにも、また経験値のためにも、特に”人間”にとっては、貴重な食材にもなっているので、”ガンガン狩っていこうぜ”の体制をとっている。





・・・と、簡単にまとめるつもりが、それなりの長さになってしまった。しかし、元はあちらの世界の原稿用紙で10枚分くらいの文字量だったので、それなりにまとめられた方だろう。固有魔法エクストラについて書かれていた量とこの世界の歴史?について書かれていた量があまりにも違いすぎて、思わず今更になって笑ってしまった。固有魔法についてなんてたった3行だけだったぞ。

”A4サイズの紙一枚”にとても小さな文字で書かれていたのではなく、文字を見るたびに消えて、新しい文字が出てきて、の繰り返しだった。




今思えばよく転ばなかった、と思えるような危険な歩き方をしていたが、無事に到着したのでよしとしよう。




(わからねえよ、普通。)
独り言をつぶやきながら、自分はお金の袋がある場所、つまり自分が横になっていた木の裏側に立った。紙には、ちゃんと探せよ、と書かれていたのだが、袋の色が土に似ているし、あの時は、少し寝ぼけていたので仕方ないと思う。それに、渡す必要のあるものならむしろもっとわかりやすい場所に置けよ、とも思う。
また、俺には”手で持たなければならないが、必要な物なのであきらる。財布がないからと言って、お金を受け取らない人はいないだろう。左手が使えなくなった。周りを見回し、奴がいないのを確認すると、息をついて、歩き出す。
原稿用紙1枚分の文字量だったが、そこには自分にとって、とても魅力的な内容が含まれていた。奴の攻撃なら、魔法でも3撃は耐えられると分かると、魔物で試したいと思う。

しばらく歩くと、奴を発見する。待ち望んだからなのか、自分は突然思いついたある”会話”を口にしてしまう。まあ、そんな気分だったのだろう。しかし慌てずに、俺の試したいことも試した。









俺のここまでの回想は、ゴブリンが消えたところで、終わった。
結果はまあ、予想道理だった。今回俺が気になったもの、つまり『言語解読・翻訳』の概念の伝達についてのそれっぽいものをつかめた気がする。概念の伝達の内容として書かれていたのは、例を挙げると、こちらがリンゴといえば、相手には、”甘くて赤い果実”の名称が伝わり、その逆もあるということだ。最初はただの翻訳じゃね、とも思ったのだが、どうやら違うらしい。簡単に言えば、知らない物事でも漠然と意味が分かるということだ。異世界物でよくある”お前、そんなことも知らないのか。”というのをなくすために付けたと”紙”に書かれていた。実際は書かれていなかったが、”あなたって、物知りなのね。”をなくすための”制限”なのだろうか。

概念の伝達に戻ると、振り返ると”詠唱改変”はこの効果によるものが大きい。【ロード オブ ゼロ】を【消滅】と言い換えるのは、翻訳の領分だが、【腐敗】と言い換えられるのは、概念の伝達があるおかげだ。”消える”という概念においては、消滅、腐敗、瞬間移動も同じということらしい。
ここで気になったのは、自分は【消滅】と詠唱したのを他者は【ロード オブ ゼロ】と伝わるので、どう聞こえるかということだ。とても早口に聞こえるか、それともそのままのスピードか。でも、そのままだと、詠唱はじめと発動のタイミングどちらかに差が出てしまうし・・・、

・・・
これは他に誰かいないと試しようがないので、今はとりあえず置いておこう。次に【腐敗】では発動しなかったが、【ふはい】では発動した。漢字という概念をひらがなという概念に変えて、3文字詠唱に変換した。それができるということが、先程分かった。
もともと概念の伝達がなければ【絶無】がそのまま3文字詠唱として発動できたのに加えて、たくさんの詠唱のレパートリーを持っても意味がないことを踏まえると、使えない代償ではあるかもしれない。




だがしかし思った通りならば、とステータスを開く詠唱をした。

【パッカ~ン】
・・・
できてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
村田takeo gentleman 18歳
レベる*1
職gyou*魔導士1
kinryoku*20
体力*30
ぶつりたいせい*25
敏捷*twenty
魔力*45
マリョクタイセイ*30
職業アビリティー*魔力上昇:小
まほうギノウ*『水』
祝福ギフト*『言語解読・翻訳』 『kantei』 『隠蔽』
固有魔法エクストラゼロ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と、こんなある意味で”ふざけた”ステータスができてしまった。
隠蔽の能力によれば、俺のステータスは他者に見られないので、俺が見づらくなっただけなのだが、面白さで言えばこれはアリだと思う。できる、と分かったのも大きな成果だ。



ある程度区切りがつき、さすがに疲れたので、自分は今度こそ本当に森を出るために歩き始めた。


森を出ようと、歩き始めてからはもう魔物に会うことなかった。そのため、楽に森を抜けることができた。今は、一本道を歩いているが、”紙”に書いてある通りならば、後数分でつくだろう。
そう言えば、MPとHPは【調査《チェック》】と言えば、ステータスと同じく調べられるそうだ。なぜ別なのかは、書かれていなかったが、考えても仕方ないので、そういうもんだと理解する。MPもHPも時間が経てば、回復するのだが、回復量はその時間における運動量に左右される。簡単に言えば、眠っているのが一番回復率がいい。 

今はどのくらいのHPになったか気になったが、どうやら街についたようなので後にする。門の両側に鎧を着た人が二人ずつ立っている。それに合わせて、人々は二列に並んでいるので、自分は少ない方の列に並んだ。馬車などの乗り物に乗っている人がいないのを不思議に思ったので、前に並んでいる列の人に聞こうか迷っていたが、少し向こうで馬車を同じく鎧を着た人が4人がかりで調べているのが見えた。
こっちは人身だけのより早く入るための門なのかもしれない。ほとんど時間が経っていないにも関わらず、自分の番まで後3人のところまで来ていた。少なくとも10人位は居なくなっただろう。


俺の番がきた。
「冒険者カードまたは住民証を見せてくれ。」
まあ、当然だが、門番が話しかけてきた。しかし、住民証も冒険者カードも持っていないので、どうしようか迷っていると、
「まさか...。」
そう言って、二人の門番の目が鋭くなった。すると、先ほど確認を終えたらしい別の列に並んでいた男性が「そいつは、新入りだよ。」と代わりに言ってくれた。なぜ、そう言い切れたのか分からないが助かったのは事実なので、素直にお礼を言う。
「ありがとうございます。」
「いや、いいってことよ。時間の多く掛かる方にあえて並ぶなんてことは普通しないからな。」
「そうか。その可能性もあったか。」
納得したのか門番の目が普通に戻った。
「じゃあ、俺は先に行くぜ。」
そう言って、男性は街の人混みに消えていった。しかし、男性の発言が気になった。人数はこちらの方が少なかったはずだ。

疑問に思ったが、門番に話しかけてきたので、そちらに集中する。
「こっちは、使用者がほとんど冒険者だからな。冒険者カードを確認したのちに簡単な質問するだけに慣れてしまっただけなので悪く思わないでくれ。通るだけならば銅貨1枚だが、住民証渡してほしいならば銀貨1枚だ。どっちにする。」
「では、住民証をください。」
そう言って、俺は門番に袋から出した銀貨を1枚渡した。
「はいよ。」
銀貨を受けとると、門番は俺にバッチを渡した。
どうやら、このバッチが住民証らしい。
「通すためにいくつかの質問に答えてもらおう。わかっていると思うが嘘はつくなよ。
ではまず、犯罪歴はあるか。」
「ないです。」
「ここで何をして暮らしていくつもりだ。。」
「一応、冒険者でやっていこうと思っています。」
「うん?」
自分は紙に書かれていた指示に沿った返答をした。今回、俺がこの世界に来た目的を考えれば、どこかに定住するよりも各地を動きまわった方が女神様にとって都合がいいのだろうか。商人という選択肢もあるが、荒らされても困るので、それもあって力を与えたわけだし、文句を言わず、”こっち”になっとけ。てな感じの文字が、指示の後に出現していたのを覚えていた。

俺は特に文句はないし他によりよい選択肢も見つからなかったので、従った。


・・・
そのはずなのに、門番たちの様子がおかしい。なぜだ。?
自分を無視して、二人で話し合っている。なぜだ。?

「怪しいな。」
「ああ。だが、さっきみたいに単に知らないだけかもしれないぞ。」
「そうかもしれないけどな・・・。まあ、一応話だけは聞いてみるか。」
「おかしなところあったら、...」
「切ろう。」

...
怖いよ。せめて俺に聞こえないように話してほしい。俺のどこが怪しいんだろうかと考えていると、門番達が俺の方に顔を向けた。
「先程の話を聞いていたと思うが、一応もう一度いっておく。これからの返答において、おかしな所があれば、容赦なく切るので、慎重に答えるように。」
「では、犯罪歴は本当にないんだな。」
「ありません。」
どうやら先程の会話はあえて聞こえるように話していたようだ。俺の後に来た”2人組”が、別の列にならび直していた。俺が街に入れるのはもう一つの列の人がすべて終わってからになるのかな?

「確認するが、冒険者になるのにも関わらず、住民証がほしいと。」

なるほど。敢えてこの質問を聞いてくると言うことは、冒険者に為る者が住民証をもらう行為が怪しいらしい。なぜダメなのかは分からない。ならば、ここでとる行動は一つのみ。

「そのつもりでしたが、何か問題があるのですか。」
逆に質問すると、門番同士でアイコンタクトをとると、後ろで待っていた門番がうなずいた。話しかけてきた門番はもう一度俺と向き合い、口を開いた。
「了解した。だがそれを話す前に、後1つ質問に答えてくほしい。」
そう話す表情は、最初の時と同じに戻っていた。口調も柔らかくなったので、誤解は解けたらしい。
「わかりました。」
「では、君はどこから来た。」
「クローム村です。」
「まあ、そうだろうな。」
門番は言いながら、またもう一人の門番とアイコンタクトをとる。その門番が頷くのを確認したのちに、再び俺の方に首を動かす。

首、大変だな、と思う。

「再び誤解して悪かった。」
完全に誤解が解けたのか、門番は首を曲げ、頭をすこし下げて謝ってきた。

首、むしろストレッチをしているのか、と思った。

門番は頭を挙げると続けて、
「詳しくは時間の関係で教えてやれないが、先程の質問に答えると、冒険者が住民証を持つと詐欺まがいの行為ができてしまうからだ。だから、こちらも仕事なので厳しく対応しなければいけなかった。詳しくは冒険者ギルドで聞いてくれ。」

時間の関係と言うのは、自分の対応のために、あちらの列に並んでもらった人の対応をしなければならないからだろう。

「そういうわけで、住民証を返してほしい。」
そう言われたので、俺は服につけたバッチを外し、門番に渡した。俺に質問してきた門番の方はもう別の人の対応にあたっているので、今、話しかけてきたのは後ろで控えていた方だった。

「確かに返してもらった。冒険者ギルドはまっすぐ歩けばいずれ着くはずだ。後、これはお金ね。」

そう言って、銅貨を9枚自分に渡してきた。銀貨1枚渡して、通るのに銅貨1枚なので、銀貨1枚は銅貨10枚と同じ値段のようだ。お金のことは一切”紙”に書かれていなかったので、偶然価値を知れたので良かった。

お金のことが一切書かれていなかった事は住民証をもらった原因でもある。見つけた袋の中には、銅貨らしいものが沢山入っていたが、数種類のマークがあった。どれが銅貨なのか分からなかった。だから銀貨を出した。


まあ、何にせよ無事に通れるようで良かった。クローム村出身という設定も女神様からの指示なので、信じていいか一瞬迷ったが、信じて良かった。記憶喪失の振りをしようとも考えたが、実行しなくて良かった。





俺はは10歩歩いた。
10歩踏み出すにしては長い時間が掛かったが、まぁよろしとよう。とにかく街の中に入れた。冒険者ギルドはこのまま真っ直ぐ歩けばいいらしい。


風が後ろから吹いてくる。開いた門から入ってきたのだろうか。風は俺の背中を押している気がした。そして、風は俺がこれから行く道を通りすぎていく。
































気付いたら括弧の種類がたくさんなのでまとめておきます。
「 」・・・会話
( )・・・主人公の独り言
【 】・・・詠唱。声に出していなくても、発動しなくても付けてあります。たぶん。
《 》・・・あ、これルビ振るときの奴だ。
『 』・・・魔法や魔法技能を示す。
括弧じゃない?けど
” ”これの種類
1.主人公が勝手につけた名前
2.意味が文字通りじゃない時
例”今後”
3.あとは気分で
4を見つけたら報告

「今日も俺は採取系の依頼をこなす。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く