rowdy(仮名)

錫メッキ

1-5(魔女)




今回、個人的には好きじゃない話です。
聖書のこととか今日の午前中に調べたから間違いだらけです。
でもこれフィクションだから…

とにかく会話が多い…暗い…長い…

先に誤ります。ごめんなさい!!





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ヘンリーは左の扉に手をかける。
扉を開けた瞬間、
埃っぽくジメジメとした冷たい空気が足元を流れていく。

大量の傷んで朽ちた本が棚や床に散乱しているところを見ると、
恐らくここは資料室か何かだったのだろう。


「………アレックスなの?」

ポツリ。と、呟くように聞こえた声。
声の主を探すと、

部屋の中央に置かれた粗末な椅子にもたれかかるようにして座る
若い女性のぼんやりとした目と目が合った。


「あぁ…アレックス、私の愛しい人…やっと見つけたわ。
もうどこにも行かないで、
愛しているの…」


若い女性…リタ・カニョーニはヘンリーを見て、その青白い顔を薄く綻ばせた。


「…リタ・カニョーニだな。」


「アレックス?
早く私のそばに来て…
もっと私に貴方の顔をよく見せて?」


フラフラと立ち上がり左手でヘンリーに追いすがろうとする。


「アレックス、アレックス…」


リタの悲痛な声にヘンリーは眉を顰める。


「悪いが、俺はアレックスじゃねぇ。
お前の探しているアレックスはもうとっくの昔に死んでいる。」 


「アレックス、何を、言ってるの…?
だってあなたは今ここにいるじゃない…
嫌よ、嫌!
またあなたが私の前から居なくなるなんて私には耐えられない!」


リタは床に蹲りボロボロと涙を流しながら頭を掻きむしる。


「嫌よ、どうして、
どうしてどうしてどうしてっ!
彼は絶対に帰ってくるわ!
ねぇ、そうでしょう!?
だって私頑張ったもの!
彼のために何でもしたわ!」


もがき苦しみ血を吐き出すようにして叫ぶ彼女。


ヘンリーは懐から銀色のリボルバーを取り出し、
弾をゆっくりと込めながら淡々と事実を喋る。


「お前が今までしてきたことは全て無意味だ。
これから何をしたとしてもその願いが実を結ぶことは絶対にありえねぇ。

何故ならアレックスはもう死んでいるからだ。」


「そんな…私…私はただ…彼と幸せになりたかっただけなの…彼は、彼は何処…?」


ぼんやりとした目から急速に光を失くしてゆくリタに、
ヘンリーが声をかけた。


「…アレックスを生き返らせる事はできないが、
お前をアレックスの所に送ってやる事はできる。」


瞬間、パッとヘンリーを見る彼女。


「私、アレックスの会えるの?
またずっと一緒に居られるの…?」


「あぁ…」


「お願い、お願いします!
私を彼のところに!
お願いします!お願いします!」


ヘンリーは一瞬悲しそうな顔をすると、
右手に十字架を持ち、左手にリボルバーを構える。


「神よ、我汝をあがめん。

我汝をおこして我仇の我ことによりて 喜ぶをゆるし給わざればなり。

我が神よ我汝によばわれば汝我をいやし給えり神よ。

汝我が魂を陰府より救い我をながらえしめて墓に下らせ給わざりき神の聖徒よ。

神をほめうたえ清き名に感謝せよ。

その怒はただしばしにてその惠は命とともに流し…
 
我ひたすら神に願えり我墓に下らば 我が血なにの益あらん

塵は…默すことなからんためなり わが神よ、我永遠に汝に感謝せん。

恵み溢れる聖マリア、
主はあなたとともにおられます。

主はあなたを選び、祝福し、
あなたの子イエスも祝福されました。

神の母聖マリア、
罪深い私達の為に、
今も、死を迎える時も祈って下さい。

アーメン。」


ヘンリーは唱え終えると同時に、リタの心臓に2発の弾を撃ち込んだ。


「…死こそが最大の救済である、か。
次こそは二人で幸せになれるといいな。」


リタのまるで幸せな夢の中で微睡んでいるような、
穏やかな死に顔を見て、

ヘンリーは静かに十字を切るのであった。




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聖書難しい!女性難しい!
ごめんなさい!!


午前中に書いたから…ルーカス君のときは、作者も聖書なんて知らなかったから…あんな子になりました…


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