ようこそ!生徒会室から異世界部へ!

時塚オイモ

第10話 ようこそ!幸せから大ピンチへ!

「あ……あのー?」


僕は恐る恐る、白髪ツインテールの少女に話し掛ける。すると少女は僕に気づき、急に…………抱きついた。


「ようやく………逢えた。」


………ええっ!?待って待って!どういう事ですか!何で僕、裸の美少女に抱きつかれているんですか!漫画のハーレム主人公でもこんな事、滅多に起きないイベントなのに!あっ!分かった!そうだ。これは夢だ!あの夢の続きに違いない!うん。でも……彼女の目、彼女の匂い、そして彼女の微かに当たる貧乳の感触がリアルに感じる。我が夢ながら恐ろしいが…………良い夢をありがとう!そう思いながら泣いていると、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえてきた。


「優くーん!どこー?」


「ユウー!置いて行くにゃんて酷いにゃ!」


「優さーん。何処にいらっしゃるのですかー?」


そして、3人は直ぐに僕に気づいた。


そりゃあ、大きな石の上に裸の幼女に抱きつかれている男の姿なんて、誰でも直ぐに気づきますよねぇ………というか、何か嫌な予感がする!嫌な予感しかしない!早く誤解を解かないと!


「ちっ、違うんです!これは………」


「へぇー、優君。そうだったんだ。よくあるもんね。主人公がどんどん可愛い女の子達と仲良くなっていく話。」


希さん!?なんか目が病んでますよ!目が怖いほど笑ってないですよ!寧ろ、怖いほど殺気が伝わってきてますよ!てか、主人公でもそんなに無いと思います!


「優は普通で良い人だと思っていたけど、実は変態だったんだ。へぇー。」


凛さん!?何時もの猫語はどうしたんですか!はっきりと喋れている事に何故か恐怖を感じるんですけど!


「あらあら、うふふふ。いけませんわ2人共。優さんも歴とした殿方。仕方のない事ですわ。」


エル先輩!?違うんです!確かに……裸の美少女に抱きつかれて嬉しくないと言うと嘘になりますけど、でも誤解……………


「ですが!優さん。まさか……『ロリ貧乳』が好みだったとは知りませんでしたわ。どういう訳か説明…………して頂けますよね?」


…………怒るとこそこー!?何でこの状況じゃなくて、ロリ貧乳に怒るんですか!いや、僕は巨乳でも貧乳でもどちらでもオッケーですけど………って、何を言っているんだ僕は!?これじゃあ、本当に唯の変態じゃないか!ま、不味いぞ。この状況はかなり不味い。このピンチを切り抜ける方法を考えるんだ!まだチャンスはある!考えろ!考えるんだ…………


「ねぇ……優君………」


希の目は輝きを失い、口だけ微笑みながら無表情な顔で愛用の剣を取り出す。あ………やばい。あの目は平気で人を殺る時の目だ。殺される。


「ま、待って希!これは、僕にも何がなんだか!」


僕は必死に誤解を解こうと頑張ってみるが、言い訳は届かなかった。


「言い訳は、宇宙の果てで聞いてあげる!」


そう言って希は、僕に向かって剣を振るう。あまりの速さに、体が反応しない。あ………これ死んだやつだ。そう思った時、何故か希より先に誰よりも先に僕の前に立つ人がいた。白髪ツインテールのロリ美少女だった。そして、彼女は右手を出し魔法陣のような技を出して、希の剣を止めた。すると、彼女は剣に向かって喋りかける。


「我が主人に手を出す者。我を見て、まだ手を出すと言うのであれば、我が相手になろう。」


彼女がそう言うと希の剣が急に震えだし、消えてしまった。それを見た希と凛とエル先輩は同時に驚く。


「えっ!?カリバー?どうしたの!?」


「にゃっ!?一体何が起きたにゃ!」


「あらあら、うふふふ。これは驚きましたわ。」


急な出来事で希と凛は動揺している中、エル先輩だけ何かに気づき1人納得したような顔をしていた。それよりも僕は、不思議な白髪の彼女に何者なのかを聞いた。


「ねぇ?君は一体……何者なんだ?」


「うーん……お腹……空いた………」


白髪ツインテールの幼女はまた僕に抱きついて、そのまま寝てしまった。とりあえず僕は、裸の彼女をそのままにしておく訳にはいかないので、僕のブレザーを彼女に羽織らせて、そのまま抱きかかえ一旦帰る事にした。生徒会室、もとい!異世界部へ。


異世界部・・・・・・・・・


「しっかし、この子は一体何者なんだにゃ?」


凛は不思議そうに、ソファに寝かせた白髪ツインテールの女の子を見ながら言う。


「分からないなぁ。私のカリバーを怖がらせちゃうんだもん。ねぇ優君?本当にこの子の事、分からないの?」


「うーん………正直、全く分からないんだよなぁ。夢の中で見た白い剣を見つけて、それを引き抜いたら急に眩しい光に包まれたんだ。そして、気づけば白い剣が無くなっててその代わり、この白髪ツインテールの女の子が目の前に居たんだよ。」


『へぇーーーーー』


心なしか、皆何かを疑っていらっしゃるような顔をしているように見えるのは気のせいだろうか。


「急に目の前に現れた女の子に抱きつかれて?」


「うぐっ………」


「とても幸せそうな顔をしていたにゃ?」


「はぐっ………」


「最後には感謝を述べていましたわよね?」


「ぐはっ………」


3人の言葉の槍が僕の心を刺していき、何も言えないまま倒れ込んで僕はそのまま……………土下座した。


「本当にすいませんでしたーーーー!!」

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