貴方を知りたい//BoysLove

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Prolog//

谷川たにかわ つばさ は一人暮らし


「行ってきます。」
誰もいない空っぽの家にそう告げて、また俺の1日は静かに始まる。

高校2年、最後の月になった。
街路樹は所々に青い蕾を見せている。昨日まで乾いていた空気にも、なんだか少し湿気を感じるような気がする。

「──春か。」

頭の中でボヤいていると、あっという間に正門前に到着している。俺の家のアパートから徒歩5分の場所に学校がある。こうも近いと、帰りたくて仕方ない気持ちになる日も多い。

あまり、学校は好きじゃない。

俯く俺の背中を暖かい日が照らす。
あと1年だけ、頑張ろうと思えた。

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