死に溢れるこの世界で

時宮時空

第四話 協力

   俺は何故こんなことをになったのか。あの部屋から出たら案外家に近くすぐに帰れた。登校中ひたすら考えたがその答えは見つからなかった。彼女もいるし友達も親もいる。上手く関わりながらこのまま行けるのだろうか、関係を切らなければ行けないのか。
そんなことはしたくない。いつもの道がより早く感じた。教室に入ると早速友達に話しかけられる。

「よっ!ヒロト!なんか浮かない顔してるが、なんかあったのか?まさか、彼女と〜??」
はぁ、人の不幸を幸せと思う人間はやはりーーー

ーーー人間は愚かだ。ーーー

あいつの言葉が頭の中で反響する。人は愚かなのかも知れない。頭を振って考えを消した。

「ひろと?お前ほんとにどうしたんだ?さっきからボーッとしてるけど」
ヤバいヤバい。考え事してたせいで全く答えるのを忘れてた。

「え、?あ、あぁ、まあ、心配する事ないさ。上手くいってる。」
事実だ。現に彼女とは上手く行ってる。何度か家にも行ったことあるし先週もデートしたばっかだ。

「本当か??嘘っぽいな〜?」
楽しんでるように見える。めんどくせぇ奴だな

「先週デートした。クリスマスも予定がある。」
自慢げに言ってやった。どうだ、参ったか?

「チェッ。ラブラブかよ。クリスマスにイチャイチャするんだろーが。」
途端に声に力がなくなる。さっきまでの元気はどこへ行った。

「おいおい、途端に元気無くすなよ。」
笑いながら言った。いやー、楽しいな。

チャイムがなった。一斉に席に座る。先生が入ってきた。長々とした話が終わり一限目の準備を始める。



だめだ、近寄るなぁー!
巨大な爆発と共に爆風で飛ばされる。
あ、あぁ。おい…大丈夫か…
爆発地から火が燃え広がる。爆発に飛び込んでいった人の焦げた死体や肉片が飛び散ってる。これが地獄。
地獄はどこにある?と答えられたらここと答えるだろう。
《あなたはビジョンを見てるの…》



!夢を見ていた。やけにリアルだったな。目を覚ました瞬間、チョークが飛んできた。

「おわっ!」
交わしきれず右のひたいに直撃した。チョークが砕ける。今の時代、チョークなんて投げないはずなのに…

「寝るんじゃない」
新しいチョークを準備しながら言った。

「すみません。」
教室中全員が笑いをこらえていた。
投げる前に盛大に笑ったあとの余笑だろう。
しかし、あの夢はなんだったんだ。
ーーーあなたはビジョンを見てるの…ーーー
これから先の未来?それであれば未然に防がなければならない。まさか、この学校に来るとは思えないだろう。
   その時、身体中が痺れ麻酔がかかったかのように眠りに落ちた。



これは、夢だ。呪文のように何度も繰り返し夢であることを自覚させようとした。

「不審者が来た模様です。窓の鍵、ドアの鍵をしめてください。」
顔に暗い影がさして誰か良く見えなかったが恐らく俺のクラスだろう。
  当たり前のように教室中がザワつく。

「静かに!!!!!」
先生は小声で叫ぶという謎の喋り方でようやく静まった。
   静かにする理由としては中に人がいないかのように犯人に錯覚させることだが、学校中が静かになったら怪しんで仕方がない。効果はあるのだろうか。

  全身が影で隠れてしっかりは見えないが不審者と思われし人物が教室の前で止まった。
影で隠れてるがニヤリと笑ったように見えた。
   背筋が震える。首に冷や汗が流れる。

『だめだ!』
声を出そうにも出せないもどかしい感じに襲われる。
器用に鍵を外し入ってくる。不審者はライフルケースのようなも背中に背負っていた。ライフルケースから突撃銃(アサルトライフル)を取り出す。先生は抵抗できない。
全員が立ち、首の後ろに手をやり、後ろに下がり抵抗の意がないことを示す。自分の席を見ると、黒いモヤがかかっていた。
『これは、予知夢?』
   ライフルを構えた。ストックのバットプレートを肩に当て支点にする。回転させるようにマズル(銃口)を持ち上げる。ライフルの基本的な構え、オフハンドポジション(立射)だ。銃には興味があるしエアガンをたくさん買ってたおかげで少しの構えや銃の種類がわかる。
   そして所構わず撃ち始めた。
   教室中に悲鳴が響く。あえて当ててないのかもしれないが誰も怪我はしてない。早とちりを誘うつもりだ。
すると飛び出してきた教師を撃った。全身に穴があき、前のめりになって倒れる。教室は大悲鳴。叫び、怒り、悔しみ、悲しみ…色々な感情が混じり混沌とした状況になった。
「黙れ」
そういってニヤリと笑ったように見えた。
一人が黙れェ〜!!!!!と叫んだ。
   その瞬間、犯人は一気に射撃を始めた。アメリカ軍が制式採用したM16だ。5.56mmNATO弾を利用することで装填数は30発、全長999mmに短縮、反動は小さくなり湿気による破損とは無関係になった代物だ。
これは夢だ、これは夢だ。呪文のように言うが感覚がとてもリアルで映像も人間以外鮮明。どうしよう…
   時計を見る、その時刻は、10:30  痺れが走る数分前は10:00だった。
《さあ、助けられるものを助けなさい》



何者かの声が聞こえた瞬間、頭を思いっきり振り上げ唸った。
「グッ、うう。ハァハァ。なんだあれは?」
思わず口にしてしまった。教室中が笑う。先生の顔は赤く紅潮し、今にも爆発してしまいそうだ。

「また寝るのかい?」
怒りに満ちてる。やばい。時刻は、10:20

「ヤバい、よく聞いてくれ、頼む。10:30に不審者が現れここに来ておま…」
ゲンコツが飛んできた。脳天に直撃。

「お前から聞くことは何も無い。」
くそ、ダメか。

「ほんとに、不審者が来るんだ!そして、先生は撃たれて死ぬ!」
伝われっ!

「調子に乗るなぁ〜!!!!夢の話だ!現実に起こるなんてそうそうありえんのだよ、ヒロトくん。しっかり現実を見ろ!」
怒りで声が震えていた。
   時刻は10:28
   校内に不審者が来たことを伝える暗号放送がかかった。
   その瞬間、先生の表情から怒りの感情は消え、青ざめていく。

「助かるには、犯人に突撃しないこと。奴は銃を持っている。」

「そんな、銃なんて…」
夢の通り静かにならずザワつく。先生も司令を出せない。自らの命の危機を感じてるからだ。
   ここのクラス以外静まる。これで犯人はここに来る。
どう切り抜けたか知らないが犯人はここのクラスの前に来た。
   言ってくれ!素通りしてくれ!
ヒロトの願いに反して犯人は中に入ってくる。
「やあ、皆さん。今から最高のショーをお見せします。」
楽しそうに話す。どうすることも出来なかった…
   ライフルのケースからM16を取り出し敢えて当てないように撃つ。
「フハハハハハ!どうだ!自分たちには銃乱射など関係ないとでも思っていたか!残念だがここで全員死ぬ!」
ヤバい。先を見ないと。
命を諦めたのか先生は飛び出し犯人をつき飛ばそうとした。だが、そんなことは出来ない。夢のとおりに全身に穴があき、前のめりになって倒れる。血が流れ出す。
「クッ、すまない!俺…グハッ。ヒロトくんの言うことを信じればァ!!!!!」
そういって息をたった。
「ハッハッハ!結構結構。絶景だ」
この状況を犯人は楽しんでいる。命を奪うことに慣れてるのか?助けてくれ!
やはり、誰かが黙れと叫ぶ。
その瞬間、犯人はニヤリと笑い、生徒らに向けて撃ち始めた。
「やめろォ〜!!!!!」
力いっぱい叫んだ。だが、銃声でかき消される。
誰か、助けてくれ!
そう心で叫んだ刹那、窓ガラスが割れ人が入ってくる。
割れたガラスの破片が降りかかる。
「待たせたな」
そういって入ってきた男はニヤリと笑った。

コメント

コメントを書く

「ホラー」の人気作品

書籍化作品