死に溢れるこの世界で

時宮時空

第三話 佐々木邸事件

   「やめろ、やめろ、やめろ!な、何が、欲しい…金目のものは全部渡す!命だけは、命だけは!」

   「俺は金は要らない。復讐をしに来ただけだ。」

   「いやだ…はぅあっ!」
腹部に冷たい感触がする。全身に痛みが走る。
ナイフが抜かれ血が溢れ出す。
   
   「ハッハッハ!苦しみながら死ね!俺の…人生を狂わせた…復讐は達成したぁ!!フハハハ!」
その男は叫んでいた。満足そうに。これで終わりだと言わんばかりに部屋中に油をまく。

   「ば、馬鹿なことを……!やめろ、やめ…グフッ!」
必死に叫ぶが声にならない。もう、死ぬ。こんな最期はいやだ。死ぬことが分かってるのに何も出来ない。自分だけでも逃げなければ。そう思っても腹部からの血がとまらない。苦しい。意識は暗い闇の中へ落ちていった。

   男はタバコに火をつけ、一服してから油の上へ落とした。
「私は助かる!神の加護を受けているのだ!アーハッハッ!」
そう高笑いをした瞬間、火が舞い上がり爆発を起こす。至る所に引火し窓ガラスが割れ火が吹き出す。
瞬く間に家は燃える。

   「トンケ様、私を守っていただきありがとうございます。わたしは助かりましたァ!!!!!」
男は生きていた。神の加護を本当に受けたかのように、火傷一つせず、助かっていた。


   めんどくせぇ事になったな。
この一件で〈佐々木邸一家殺人放火事件特別捜査本部〉が開かれそこに異動になった。その際ツーマンセルが義務づけされ、もやしみたいな野郎とペアを組むことになった。
「だりぃなあ、」
ため息混じりで呟いた。
バンッ!という音と共にドアが開いた

「こんにちは!佐々木邸一家殺人放火事件特別捜査本部に異動となった、沖田です!」
ハッキリと噛まずに言い切った。
なんだかめんどくさそうなやつだな。一瞬でそう感じた。

「石原さんですか?」
俺に話しかけてきた。

「ああ、そうだ。」
目を合わせずに言った。

「これから宜しくお願いします!」
こういう真面目くんは苦手だ

「そんなに耳元で叫ぶな、きこえてる。」
皮肉混じりに言ってやった。

「あ、すいません。」
1発殴ってやりてぇ。そんなことを思っていたら本部長が来て会議が始まった。

「本部長の宮野だ。今回の事件だが、被害者は佐々木 優希(ささきゆうき)、佐々木守(ささきまもる)、佐々木望美(ささきのぞみ)、佐々木真美(ささきまみ)計4名。いずれも死因は腹部を数回刺されたこと。そして佐々木邸は放火され全焼。犯人に目星はついてるか?」
全く酷い事件だ。この国にこんなことを行うやつがいるなんてなぁ。考えも出来ねぇだろ。 

「犯人は恐らく宮本猛(みやもとたけし)かと。理由としてはこいつには殺人の前科があり、先日、刑務所を抜けたばかり。かれは収監中もよく俺には復讐すべき人がいる。と漏らしていたと。」
それじゃまるで宮本武蔵と佐々木小次郎じゃねぇか。
言いかけた言葉を飲み込んだ。

「石原、何かないか。」
なぜ俺に振る。

「特に。酷い事件だとしかな。情報はない。」

着信が入った。誰だこんな時に。
「すまねぇ、席を外させてもらう。」

「会議中だぞ石原!」

「すまんすまん。」
宮野の反論を聞かずに部屋を出た。
着信画面を見る。

ーーー鐘内力心(かねうちりきしん)ーーー

用もなくかけてくるような奴ではない。
「なんだ?」

「挨拶ぐらいしっかりしろ石原。」
呆れ口調で言う。

「さっさとしてくれ。」
お得意の説教がくる。先を促した。

「ああ、本題だが、例の一軒でとある事実が分かった。」

「なんだ?」
無駄に勿体づけずにさっさと話せ。あえて口にはしなかった。

「それは、あの事件には別の事件が関連しているんだよ。」

「死に溢れるこの世界で」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ホラー」の人気作品

コメント

コメントを書く