妹はこの世界でただ一人の味方

サラダアブラ

告白

「んんん〜〜・・・よく寝たなぁ。あっ。今日は晴れなんだ。ちょっと気分が楽になった気がするな・・・。」

結衣は起きると、久しぶりに窓を開けた。そしてそのまま窓から出て一階の屋根に飛び乗った。そこにはすでに先客がいた。

「・・・おはよう。」

「・・・・・・。」

結衣は窓から出る際に確認しておけばよかったと後悔するも、すぐにこの場を離れるのは不自然だと思い、学から距離をとって座った。

せっかくの晴れの日なのに・・・朝からついてないなぁ。お兄ちゃんを久しぶりに見てたのは嬉しいけど話せない・・・。さっきも挨拶してくれたのに・・・。

結衣と学はお互い青空を見上げていた。日差しが強すぎるのもあって、時折目線は下へと変わる。

心地よかった日差しも、長時間浴びていれば暑くなるものだ。結衣は蒸し暑さを感じ始めた頃、いつ部屋に戻ろうかとばかり考えていた。

そんな時、朝の挨拶以外口を開かなかった学が喋った。

「暑かったら戻っていいんだぞ。俺の事は気にしなくていいから。」

結衣はバッと学の方を向くと、学も同じように結衣の方向を見ていた。結衣は視線をそらすと、久々にする学との会話をするべく口を開いた。

「・・・どうして暑いってわかったの?」

「そりゃあ昔から一緒にいるからな。結衣のいろんな癖は知ってるんだよ。」

それが本当のことなのかは分からないが、結衣にとってその言葉だけでも嬉しかった。
結衣はもう少しだけここにいようと決め、再び座った。しかし暑いことには変わりがなく、学に何かを頼むしかなかった。 けれども結衣にはそれが難しく、頼むことがなかなかできない。それを見ていた学は結衣を気遣うように言った。

「何が欲しいんだ?」

「あ、えっと・・・冷たいお茶。」

学はお茶を二本買うと、立ち上がり結衣にお茶が入った缶を渡した。

「ありがとう・・・。」

「・・・ああ。」

学は渡し終わると、結衣から離れて先ほどよりも遠い場所に座った。それが結衣には少し悲しくて、胸の奥が痛かった。結衣は遠くから缶が開く音を聞き、自分の手元にある缶も開けた。それを一口飲むと、次第に口が潤い、体温が少し下がった気がした。
冷えているお茶と、外の暑い気温に当てられた缶は水滴が付きポタポタと屋根に滴り落ちていた。

「お兄ちゃんはさ・・・この1週間どうしてた?」

唐突に結衣は学に聞いた。風が吹けば聞こえなくなるような弱々しい声は何かを考えながら言っているようだった。

「・・・まぁイラついていたな。自分自身を何度も殺したいと思った。それと結衣に会えなくて、話せなくて辛かった。・・・信用もないとは思ってるが、それだけを考えていたな。」

「ふーん・・・本当かなぁ?」

結衣は真剣そうな学の顔を見ながらニヤニヤして言った。もうすでに怒ってたり、気分が優れないという事はなさそうだった。

「本当なんだけど・・・信じる信じないは結衣の勝手だからな。俺が決める事じゃない。」

「・・・じゃあ私は信じる。もっと正確に言うなら信じてあげるかわりに1つ願い事を叶えてくれるなら信じてあげるよ。」

結衣はおふざけ半分でそう提案したが、もとより学は拒否する事はなかった。それは今回のことがなくても同じことだ。結衣が願ったらありとあらゆる方法を使ってまでその願いを叶えさせることだろう。

「分かった・・・というか願いだったらいつでも聞いてやるのに。」

「それじゃあ私が廃人になっちゃうじゃん・・・。あ、でね、願い事は今日の夜・・・7時ぐらいにもう一度ここにきて欲しいの。」

星でも見るつもりなのか?だったら1人で見た方が気は楽だと思うんんだが・・・。

「そんなことでいいのか?もっと違うことでもいいんだぞ。」

「ううん。これでいいの。じゃあまた夜にね。」

結衣はそう言うと颯爽と部屋へと戻ってった。学はそれを見送るとすっかりぬるくなってしまったお茶を飲み干すのだった。



部屋に戻った結衣はベッドの上で寝っ転がっていた。その上をゴロゴロと転がり、先ほどのことを思い出していた。
結衣は今日の夜、学に対してしようと思っていることがあるのだが、それを実行しようか悩みに悩んでいた。結果がどうであれ、今の関係が崩れる可能性があるそれは容易にはする事が出来ない。
それでも結衣はたった今決心した。

もう会話のできない日はやだな・・・。会えない日はやだな。お兄ちゃんとずっと・・・一緒に。







そしてその日の夜7時
風が少し強くなり、学の髪の毛を乱れさせた。朝とは違い、少し冷え込んできたため学の手元にはホットココアの缶があり、ちょうどいい温かさになっていた。

「俺が言えたことじゃないが・・・結衣遅いな。」

結衣はまだ来ていなかった。学に気にした様子は全くなかった。夜空を見上げて星を見ていた。1つ1つはとても弱々しい星も、多く集まればその分明るく見えた。
しかしながら、雲が少し出てきてしまって月が隠れてしまっているのが残念だと感じていた。

しばらくしてココアを飲み終えた学は琉球コーラを買い、缶を開けると同時に結衣が激しい音をたてながら屋根に降りてきた。
よく見ると結衣の顔は少し青くなっていた。

「どうした?」

「・・・ううん。なんでもない。」

結衣は学が怒ってないと分かると安心して、朝と同じ場所に座った。距離にしておよそ10m程度。

「何か飲むか?」

「・・・じゃあコーンポタージュ。」

今度は結衣から学のそばに寄って行き、学からコーンポタージュを受け取った。

「ありがとう。」

「どういたしまして。」

学は琉球コーラを一気に飲み干した。弱い炭酸が身体中を駆け巡り、口の中がなんとも言えない感覚に襲われた。そして冷たさで目が冴えた。
その一連の動作中も結衣は学から受け取った場所を離れていなかった。

「どうしたんだ結衣?」

学は結衣に聞いたが、それを結衣は答えず学のそばに腰を下ろした。そしてそのまま頭を学の肩に預けた。
学は少し驚いたものの、顔には出さず、赤ちゃんをなだめるように頭を優しく撫でた。
今の結衣にとってその行動は不快なものであり、鬱陶しそうに手を払いのけた。そしてそのまま結衣は学にあることを聞いた。

「お兄ちゃんは私のこと好き?」

学は結衣の質問の意図が分からなかったが、しっかりと答えた。

「ああ。大好きだぞ。世界で一番な。」

結衣はそこで何度か浅い呼吸を繰り返して意を決した顔を学に向けて言った。

「それは妹として?・・・それとも異性として?」

覗き込んだ結衣の顔は赤く、それは告白のようなものだった。学も鈍感系なんかではないため、自意識過剰と思われるかもしれないが、ここで初めて結衣が好意を寄せているのだと思った。
学は深く思考した。妹として好きと言うのなら無論好きだろう。では異性としたら?学は答えが出せるか?
否、それは今は難しいだろう。人生の大半を結衣と過ごしてはいるが、そのほとんどを妹だと思って接している。しかしながら、時折結衣に対して感じる感情が妹ではなく、単純に異性として可愛いと思うことがあった事も事実だ。
それを好きと呼ぶべきか?学はそこで思考を悩ませていた。

そんな悩んでいる学に向かって結衣は言葉を濁さずにしっかりと告げた。

「私は異性としてお兄ちゃん・・・学のことが好き。他の人なんて考えられない。だから・・・私と結婚してください。」

結衣の告白と同時に、月にかかっていた雲が動き付きの光が学と結衣を照らしていた。





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以下作者のコメント
前回の話が投稿し終わってから付け足したので、見てない人もいると思うんですけど更新ペースが崩れるかもしれません。理由は前話参照で。
利き手が死んでるので誤字や脱字があるかもしれません。(関係ないと思う。)あったら是非コメントで教えてください。


話は180度変わりますが、本編にも出てきた琉球コーラは沖縄で買えますよ。むしろそこ以外売ってるところ見たことがないです。
個人的な意見だと、コンビニとかで売ってるコーラより炭酸は弱めでした。好き嫌いが分かれると思いますね。ちなみに僕は好きでした。


今回の話ですけど、最初の話を投稿した時から書きたかったものなんですよ。とりあえず目標終了。あとはしっかりと完結するだけです。完結は当分先になりそうですが。120話くらい?まあダンジョンの時と同様多分伸びると思いますけど、目標はそれくらいで。

それではまた次回。

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コメント

  • サラダアブラ

    喜んでもらえたら嬉しいです。元々このシーンを書きたいがためにこの作品を作りましたから(笑)

    2
  • 神田礫

    な、なんだとー!

    この展開は予測していなかった。
    ヤバい!




    最高すぎますよ。

    1
  • サラダアブラ

    もっと後にしてもよかったと今更思う作者なのでした。

    0
  • ミラル ムカデ

    急展開キターーー

    2
  • サラダアブラ

    分かりました!ではお金をくだs((殴

    0
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