妹はこの世界でただ一人の味方

サラダアブラ

パキッていきました

あの日から雨が降り続き、日本でいう梅雨の季節に入った。小雨でもなければ、大雨というほどの強さでない雨は、外に出る気を失わせるのには十分だった。そのせいで家の中の空気は重く、2人は部屋に引きこもっていた。その期間は約1週間に及ぶ。
具体的には1日の大半を自室で過ごし、食事とトイレ以外はそこで過ごしていた。

学は眠りから覚めると、窓から見える景色を見て落胆の表情を浮かべた。ここ最近の学の行動はベッドで過ごしていた。起き上がることもほとんどなく、食事はパンをひとかじりするだけで、後はベッドで二度寝や三度寝をする日々だった。

学は何も食べずに、外から聞こえる雨音に耳を傾けて再び寝ようと、寝返りをうった。





同時刻結衣は膝を抱えながらベッドに横たわり、壁に背をつけている状態だった。目は閉じられていて、心の中でもう1つの人格であるアパシーと話していた。それがアパシー本人の言葉なのか、それとも結衣が答えて欲しいと願った事なのかはわからない。

ーーやっぱり私の予想通りアイツはロクな人じゃなかっただろ。妹よりも釣りを優先するんだ。

どうだろうね・・・。前ならすぐ否定できたんだろうけど。今は・・・なんとも言えないや。

ーーもういいんじゃない?そんなに無理しなくても。きっと死ねって言ったらあの男は死ぬよ。

別に私は死んで欲しいと思ってるわけじゃないの。ただ謝って欲しい・・・ううん。謝るとはちょっと違うかな。なんだろう・・・何をして欲しいんだろう?

ーー私が知るわけないでしょ。

私も分からないの。・・・でも、また普通の生活ができるなら私はそれを望んでいる・・・のかな?

ーーどうして疑問形なの?

・・・もう分かんない。何もかも・・・。釣り程度で大げさかもしれないけどさ・・・やっぱり悔しいんだろうなぁ。自分のことだけど、いまいち実感がわかないの。

横たわっている結衣の目から一粒の涙が零れ落ちてきた。それは頬を流れた後、ベッドのシートに落ちた。ジワリと滲むシーツは結衣の心のようだった。

私って結構お兄ちゃんに依存しちゃってるんだよね。1週間話したり姿を見れてないけど、おかしくなりそうなの。今すぐにでもお兄ちゃんの部屋に行って話をしたい。

ーー私は反対だけど、そうすればいいんじゃないの?

・・・まだ無理かな。今お兄ちゃんの顔見てもうまく話せる気がしないの。きっと逃げ出しちゃう。私は弱いから・・・もしお兄ちゃんに肩を掴まれたりでもしたら、反抗すると思う。せめてその反抗がなくなる気持ちになるまでは一人でいたいな・・・。

結衣はそう心の中で会話を続けるのだった。






深夜を回った頃、学はトイレをしに部屋を出た。その帰り道、結衣の部屋の前に行った。

この数メートル先には結衣がいるんだな・・・。話したい。謝りたい。・・・けれど俺になんの権利がある?謝りたいから出て来いと言っても結衣は応じないだろう。それほどまでに俺がしたことは許されないことだ・・・。

学は結衣の部屋の扉に手のひらをつけて俯いた。その表情は暗く、とても辛そうだった。
学が扉を開けたい衝動を無理やり抑え込むと自分の部屋に戻るべく、手を離した。そして部屋に向かう最中、後ろのドアが開いた音がした。驚いた学が振り向くと、そこには1週間ずっと会いたかった結衣がいた。

「・・・結衣・・・。」

しかしいざ話そうとすると言葉が出てこなかった。結衣の顔は下に向けられているため、表情は読み取れなかった。

「悪かった・・・。」

学は頭を下げて謝った。1週間前にもしたことだった。結衣はゆっくりと学に近づき、学の目が結衣の足元を捉えた時、学は体勢を崩した。崩れた原因は結衣が学の方を押したからだった。しかしその力はとても弱々しく、予期できなかった学が対処できなかったせいで倒れたに過ぎない。
倒れた学は体を起こそうとした。しかし結衣が学の腹あたりに馬乗りになったせいで動けなくなってしまった。

下から覗き込んだ結衣の表情は何も感じ取らせないほど無表情で、学でさえ恐怖を覚えるものだった。すると感情がこもってない声で結衣が口を開いた。

「別に謝って欲しくなんかない。」

そのは気力に怯んだ学は一言だけ言葉を放った。

「・・・悪い・・・。」

「謝らなくていい・・・ってさっき言ったばかりだよね?第ー、あんたの妹じゃないし。」

「・・・アパシーの方か。」

「そう。」

すると今まで無表情だった結衣・・・改めアパシーの顔が少し怒りの顔へと変化した。

「私は前に話したの。まぁ話した時とちょっと状況は違うけど、流石に見ていられないから出てきたの。」

「・・・そうか。」

学は目をそらしそう言ったが、アパシーに襟を掴まれ顔を引き寄せられた。目の前には妹であって、妹ではない結衣の顔が間近に見えた。

「そうか、じゃないでしょ!アンタ・・・この子がどれだけ悩んでたか知ってる!? この子はアンタに謝っては欲しくないんだって!」

アパシーの訴えも、学は先ほどまでと同じように、謝ることしかできなかった。

「・・・ごめん・・・。」

「・・・っ! だから!謝るなって・・・言ってるじゃん・・・。」

「・・・情けないことに謝ることしか出来ないんだよ。少なくとも俺は他に方法が思いつかない。」

アパシーはゆっくりと学の襟を離した。学はそのまま倒れこみ、天井を見つめた。

「アンタってそんなに弱かったっけ?私が知ってるような人じゃないんだけど。」

学は言葉に詰まった。

・・・たしかにこの1週間、自分が自分じゃないみたいだな。結衣と会わなくなることでこんなにも変わるものなのか・・・。ほんと、弱っちいな。

「私にはどうでもいいことだけどね・・・。別にアンタが弱くなってようが関係はないけど、この子は今の生活に耐えきれないよ。もって後・・・3日か4日程度。それまでになんとかして。」

「・・・ああ。善処する。」

「・・・本当に頼んだからね。私は部屋に戻るから。今日のことは秘密にね。この子の精神が寝ている間に私が行動していただけだから。」

「分かった・・・。」

そう言うとアパシーは部屋へと戻ってった。学はしばらくボーッとしていたが、やがて起き上がり自分の部屋に戻って行くのだった。
その後ろ姿は、なにかを決心した・・・そんな風に見えなくもなかった。


-------------------------------------------
以下作者のコメント
4日目です。前回の投稿から4日経ってます。厳密には3日と1時間程度なんですがね。自分で3日以内と言っておきながら投稿できなかったのは申し訳ないと思います。でも、ひとつだけ言い訳をさせてください。
そう、あれは一昨日のこと・・・。僕はア○メイトに行って色々とグッツを買いました。そしてマンションの三階に位置する家に帰ろうと階段を登りました。
その時です。階段を転んでしまい、左手に持っていた本やBlu-rayが落ちてしまいました。それを地面に落とさないよう、僕はジャンプをして空中で掴みました。はい、その後ですね。右手で支えようとしたものが、親指、人差し指、中指の3本で支えてしまいました。
全体重が3本の指にかかるとどうなると思いますか?パキッていきますね。お約束通りパキッていきました。しかも利き手。
なので左手で撃ってたら時間がかかってしまったんです。申し訳ないです。なので誤字脱字があったら報告をお願いします。


ちょっと疲れてしまったんで失礼させていただきます。

いいね、コメント、フォローお願いします。

指死んでるんで、更新ペースが崩れると思います。

「妹はこの世界でただ一人の味方」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「冒険」の人気作品

コメント

  • サラダアブラ

    大変ですね。まあ自業自得なので仕方ありませんね。

    0
  • Flugel

    なんか色々大変ですね・・・
    痛いでしょうけど頑張って下さい(鬼畜)

    2
  • サラダアブラ

    あんまり大丈夫じゃないですね。結構痛いですよ。一緒にやってみませんか?

    0
  • 瑠璃

    大丈夫ですか?
    痛そうです

    1
  • サラダアブラ

    今身を呈して実感しています(笑)
    結構辛いんですね...

    2
コメントをもっと見る / 書く