妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

獣人族

十階
「やあああああ!」

学たちが十階に着くと、そこではすでに戦闘が繰り広げられていた。戦っている相手は人間の姿をしたゴーレムだった。170cmほどで三体いる。連携がしっかりとれていた。
かたや戦っているのは女一人で、両手に短剣を持ち、少しずつ刻んでいった。
そして何より頭にフサフサの耳が付いていた。

それを階段のところからこっそり見ていた二人だった。

「あれは・・・獣人族っていうのか?」

「地球ではそういうかもね・・・。」


ゴーレムAはその獣人族に殴りかかった。それを余裕を持って避けた獣人族だったが、その逃げた先にゴーレムBがいた。ゴーレムBの攻撃を持ってた短剣で防いだものの、姿勢が崩れてしまった。狙いすましたようにゴーレムCが殴った。
獣人族の女は殴ってきたゴーレムの拳に短剣を二本突き刺してなんとか攻撃を防いでいたが、明らかに劣勢だった。

「もうっ! めんどくさいですわね・・・。」

ゴーレムが二体向かって来てるのを見ると、短剣を諦め、一度距離をとった。
そしてその獣人族は両手を上に上げると、地面につけた。すると、電流がパチパチと音を立てながら、ダンジョンの地面から新しい短剣が二本出て来た。

「錬金術か・・・。」

ハ◯レンとかでしか見たことがなかったが・・・。ああやってするのか。

学は無謀だと思いながらも階段のところで、先ほど獣人族がした事と同じことをした。当然短剣どころか、何も出てこなかった。

「何やってるのお兄ちゃん?」

「いや・・・俺も出来るかなって思ってさ。やっぱり何かのスキルだったんだな。」

そんな話し声が聞こえたのか、獣人族の女はゴーレムの攻撃を防御しながら叫んだ。

「誰かいるんですか!? 助けてください! このままだとヤバイんです・・・。」

じゃあさっさと逃げろと思った学だったが、一応結衣に聞いてみた。本来の目的はレベル上げなのだ。人助けなどする通りはない。けれど、それが次に続く入り口ならそう言うわけにはいかないと思ったのだ。

「どうする結衣。助けるか、助けないか。」

「一応助けて、その後どうするか決める。」

「りょーかい。」

結衣と考えた作戦はこうだ。
①ゴーレムを倒す。
②獣人族の女をどうするか決める。

ーーー以上!



決まるとすぐに学たちは階段から姿を現した。それをゴーレムが発見し、ちょうど一人一体ずつ戦うことになった。









学編
さてと・・・定番からいうとゴーレムは核を壊すとか、emethのeを消してmethという死の意味にするのが普通なんだろうけど・・・文字が見当たらないな。となると核を壊す方法か、それとも別の方法か・・・。

学が迷っていると、ゴーレムは先ほど獣人族がしたように、両手を上に上げ、地面に手をついて剣を出してきた。短剣ではなく、100cmほどの大きさだった。

「剣か・・・じゃあ俺もそれで戦うとするか。」

学も収納から刀を取り出し、攻撃に備えて構えた。先に動いたのはゴーレムだった。素早い動作で、学の体を横から切ろうとしたが、学はそれを刀で受け止めた。・・・が、一瞬で学の刀が折れた。学は刀にヒビが入った瞬間、後ろに下がっていたので攻撃を受けることはなかった。

「危ね・・・やっぱり地球の刀はダメだな。次は魔法だな。」

学は次に火の魔法を使った。弓のような形状にして、そこから矢を放った。しかし、それがゴーレムに当たった瞬間火は分散された。

「魔法も効果は薄いのか? なら次は殴ってみるか・・・。」

学はリズミカルにその場で飛んだ。ゴーレムは一瞬それを見たが、迷ったのは一瞬だけで、突っ込んできた。まだ距離があるのにもかかわらず、学は着地する瞬間に地面を蹴り、学もゴーレムの方向に走って行った。
ゴーレムは学に届きそうな距離になると頭目指して拳を拭きかざした。
学はそれを避け、人間でいう溝のところを殴った。そのままゴーレムは吹き飛ばされ壁に激突すると粉々になり、動かなくなった。

「核は結局なかったな。さて・・・結衣はどうなってるかな?」




結衣編
あ、お兄ちゃんの魔法が効いてなかった・・・。火の魔法だから効かなかったのかな? 

ゴーレムは殴ったり、足元を狙って体制を崩させようと動いているが、結衣にそれは通用していなかった。

「私は水の魔法で・・・。」

結衣は一度距離を取るとウォーターカッターの魔法を使い、ゴーレムめがけて放った。その魔法はゴーレムの頭に当たった。すると皮が剥がれ、土の塊が出てきた。
しかし、ゴーレムはまだ動いていた。

あれ? emethという文字が書かれてる・・・。確か意味は・・・真理・・・だったかな? eを消せばmeth・・・死・・・。うん。これが正解なのかな?

結衣は収納から刀を取り出して、ゴーレムの文字を消そうと距離を詰めた。しかしゴーレムは後ろに下がり、刀が届かない距離まで離れてしまった。
もう一度距離を縮めようとしたが、またもやゴーレムは離れた。

う〜ん・・・。お兄ちゃんは殴って終わらせたみたいだけど私は文字を消すやり方で終わらそうっと。強引にする事は出来るかもしれないけど練習も兼ねてしっかりやろうかな。

結衣はもう一度離れた場所からウォーターカッターを使った。ゴーレムはしっかり横に避けて、攻撃を与えることはできなかった。結衣は次に学が使ったように火の弓を出し矢を放った。しかしこの攻撃はゴーレムは避けず、受け止めた。

やっぱり水が弱点なんだ・・・。水で攻めるのが一番なんだろうけど・・・どうしよっかな。
あっ! 少し周りにも迷惑かかっちゃうけどいいよね?お兄ちゃんさえいてくれたら獣人族とかどうでもいいし。

「お兄ちゃん〜! 今から魔法使うから巻き添え食らわないようにね!」

「分かった!」

「あ!あれ!?私は!?」

結衣はそれを無視すると詠唱に入った。

「〈この手に宿る水の神よ 恵みであるその力を解放せよ    大洪水〉」

結衣は地面に手を置き、その魔法を唱えた。その瞬間、ものすごい量の水が手から出てきた。あっという間に部屋は水だけになった。もちろん階段で減ってはいるが、それが追いついていない。

ふふふ・・・これなら逃げられないし、動きも鈍ってる。

結衣は持っていた刀を地面に突き刺し、それを押し出して一気に加速した。ゴーレムはそれを防げるほど動きを早くすることが出来ず、結衣にeの文字を消された。
しばらく見ていた結衣だったが、動かないことを確認すると、学のところへ向かい、最後のゴーレムと獣人族の女との戦いを見るのだった。



獣人族編
助かりましたわ・・・。あのままではジリ貧になっていました・・・。
それにしても・・・なんなんですの?あの方たちは・・・。人間ができる動きじゃないですわ。それに10階まで来れる人なんて限られているのに・・・。

獣人族の女は、ゴーレムが一体になると優勢になり始めた。両手剣を巧みに使い、ゴーレムが殴ってきても攻撃をずらし、空いた体を切り刻んでた。

えっ! あの男性もう倒したんですか!?規格外ですわ・・・。こっちは一対一でなんとか勝てそうだというのに・・・。

しばらく戦っていると結衣の声が聞こえた。

「お兄ちゃん〜! 今から魔法使うから巻き添え喰らわないようにね!」

「分かった!」

「あ! あれ!? 私は!?」

もしかして忘れられてるのかしら? ・・・なんて呑気なこと言ってる場合ではないですわ!

結衣が生み出した水に巻き込まれた獣人族の女だったが、それでゴーレムの動きが鈍ったのが分かった。そして結衣が頭のeという文字を消したのを見てゴーレムが動かなくなったのも見た。

eの文字を消してしまえばいいのですね! 

獣人族の女が短剣を使ってeの文字を消してこの階の戦闘は終わった。




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以下作者のコメント
一週間ぶりの本編です。名前を出さないと、分かりづらいですね・・・。次回出そうと思ってます。今回はご勘弁をm(_ _)m

実はこの作品ってコメント数だけで言ったらノベルバのTOP10に入れるんじゃないかって思ってきました。

自分が勝手に目標にしている作品まで残りフォロー数41、いいね数が500です。これからも頑張って投稿していきます。

それでは皆さんまた3日後以内に・・・。


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コメント

  • さらだ

    面白かったら何でもオッケー。
    こんな感じの性格なのであんまり気にしないですね。

    1
  • たーくん

    これ以上コメントするとこの作品のコメント欄がトークスペースみたいになってしまうのでは?

    5
  • さらだ

    そうですね。僕も自分の返信が原因だと投稿した後に思ってしまいました(._.)
    伏線回収はもちろんしますよ。流石に回収しないのはどうこう言う以前の問題だと思うので。
    コメントはいつでもしていいですよ。大歓迎です。これからもお待ちしています。

    1
  • たーくん

    この作品は新展開が多くて読んでいて飽きませんね。でも伏線回収は忘れないで下さいね。
    それからこの作品のコメント数が多いのは作者さんがコメント返信をしてくれるからだと思います。私はコメント返信をしてもらえると嬉しくてまたコメントしたくなりますから。
    これからも頑張って下さい。

    2
  • さらだ

    有難う御座います。画像変えていますね。とても可愛いです。

    0
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