妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

久し振りの家

パチパチ・・・
暖炉からは暖かい火が出てる。雪が降っていた頃はどれだけ良かった事だろうか。今は吹雪になり、窓がガタガタと音を立てている。
あの後結衣を連れて元の家の場所に戻り家を収納から出すとさっさと入った。そこでちょうど吹雪となったのだった。
学は寝ている結衣を膝に乗せて毛布をかけ、暖炉の火を見つめていた。まるでこの瞬間から目を背けるように。
そうーー魔物がいたり幽霊がいたり魔族がいたって気にする問題じゃない。

問題ないったら問題ない。そうなんの問題でもない。たとえ魔族が魔王軍の幹部だとしても。
だってこんな奴らが幹部だと思うか?俺が出したお茶菓子を普通に食べてるんだぞ。それに礼儀正しい。俺と結衣の時間も壊そうとしない。ただ少し鬱陶しいくらいの存在だからな。

ちなみに序列11位と12位らしい。
11位は小人くらいの大きさの男だな。お世辞にも強そうには見えないな。
12位は魔女という言葉が合うババア・・・お年寄りだな。黒いローブに三角帽子を付けてる。小人に負ける幹部って・・・。

「ーーん。ーーせん。ーいません。すいません。」

「ん? ああ。悪い。ぼーっとしてた。」

俺に話しかけてきたのは小人の方だ。

「すいません。時間を改めたほうがよろしいでしょうか?」

「いや、ただ火を眺めてただけだからなんでもない。それで?」

「あ、まだ自己紹介をしていなかったと思いまして。」

確かに・・・。一刻も早く結衣を休めたかったために玄関にきたこいつらをすぐ家の中に入れてたんだ。我ながら不用心だな。

「ではまず僕から。見ての通り小さいですが魔族です。結構珍しいタイプなんですけどね。名前はへールンと申します。以後お見知り置きを。で、こちらがテールです。基本無口なので話しかけても返してくれないことが多いです。」

「じゃあ次は俺の番だな。」

「あ、いえ。学さんと結衣さんですよね?」

「知ってるのか?」

驚いたな。

「ええ。あのドーレさんと一戦交えたとか。新聞にも載っていて人気急上昇中ですよ。」

なんてことだ・・・。あいつの影響力強すぎない?

「結局何しにきたんだよ。戦いは嫌だぞ。殴られたりすると痛いし。」

「もちろんです。僕らとしてもそれは避けたいです。ドーレさんと戦えるほどの力を持ってるとなると流石に2人がかりでも倒せそうもないので。」

やっぱりそれほどあいつ強かったのか。あんなのがゴロゴロいたら人類終わってるじゃねぇか。

「僕たちがここにきた理由はーーー」

数秒間沈黙が続き

「ありません。」

次に発せられた言葉は学の想像を上回るものだった。

「ほんと何しにきたんだよ・・・。」

「だから言ったじゃないですか。理由はないって。まあ強いて言うならあなたの事が気になったって事くらいですね。」

そう言ってカラカラを見た。

「ついでにこのスライムにも。珍しいタイプですね。」

「ああ。なんか出てきた。面白そうだったから契約しておいたんだけど結構強いんだよな。・・・いや、どちらかというと粘り強いかな?」

ドーレの部下との戦いの話を聞く限りしぶとかったっぽいしな。

「そうですか・・・。命は一つきりなのであなたもあまり無理をしてはいけませんよ。」

そうへールンはカラカラに告げた。

「はい。気をつけておきましょう。ご忠告ありがとうございます。」

その言葉に満足したのかへールンとテールはお茶菓子を食べるのに戻った。

しばらく無言の状態が続くと結衣がゆっくりと学の膝から離れた。少し寝癖がついた髪の毛になりながらも学を見てまた膝に頭を乗せた。
そんな結衣も頭を学はペチペチと叩いて言った。

「結衣〜。今起きただろ。」

「・・・うん。まだ・・・眠い。」

「ならまだ寝とけ・・・。布団行ったらどうなんだ?」

「・・・お兄ちゃんの膝がいい・・・。」

「はいはい・・・。」

その2人のやり取りを温かい目で見る魔物1+魔族2そしてそれを冷ややかな目で見る幽霊1であった。


結衣がまた寝息をたてた頃へールンが問いかけてきた。

「妹さんでしたよね?」

「ああ。それがどうかしたか?」

「随分可愛らしくて優しそうでしたね。」

「実際そうだしな。できた妹だよ。」

そこから学の結衣自慢が始まったのだが不意に立ち上がった。無言で目を閉じていると前触れもなく額に問い詰めてきた。

「お二人もしくはどちらかが魔物との交戦がありましたか? 今街で戦っているみたいなんですが・・・。」

「あ〜・・・なんか蛇みたいのと戦ったな。逃げ出したからほっといたけど。」

「ああ・・・それで・・・。」

どうやら話を聞くと
・今街で戦っているらしい
・死者は30、負傷者は100人を超えるらしい
・もうしばらくで魔物は討伐される
というらしい。

あの魔物ってそんなに強かったのか?・・・まあ硬かったからな。その分倒すのに時間はかかるだろうけどな。

「にしても死ぬやつとかいるんだな。・・・知ったことじゃないけど。」

「珍しいですね・・・同じ種族なら多少の同情があってもいいと思うんですけど。」

「まあ完全にないわけではないけどな。でも俺は結衣がいればいい。結衣さえいれば他には何もいらない。・・・たとえ他の人間が死のうが。」

我ながら人間を悪く言いすぎたな。

「そうですか・・・。つまりあなたは他の人間が殺されててもいいと。妹さんにさえ被害が及ばなければ。」

「そんなとこだな。だけどかすり傷ひとつでもつけたなら許さないけど。」

「ではその言葉を信じて一つだけ・・・近々人間領に僕たちが攻める予定です。といっても3ヶ月ほど先の話なんですが・・・。その時に1つの班がここを通る予定です。その許可をもらいたいのですが。」

目的ないとか言って本当はこれなんじゃねぇのか? 

「別に構わないが。くれぐれも邪魔だけはするなよ。」

最悪家くらいならなんとか・・・ならんわ。家もダメだけどそれ以上に結衣はダメだな。それさえ気をつけてくれれば何も言うことはない。

「ええ。承知しております。対価として何か欲しいものがありましたら何なりと言ってください。できる限りのことは尽くすつもりです。」

「マジで? なんでもいいの?」

「ええ。あくまでできる限り。ですけどね。」

ふんふん。なるほど。なら俺が望むものは今現在1つしかない。

「なら俺はお前達の王。魔王に会いたい。」

1秒ほどの間が空いた後その空間に明らかな敵意が学に向けられた。今まで笑顔で話してたへールンは顔を険しくし、テールは睨みつけていた。
それを学は気にもせず正面から受け止めていた。

「あんた・・・言ってること分かってるんですか? おふざけなら今すぐそう言ってくださいよ。」

先程までの温厚な声とは違い威圧もかけている。すると不意に聞きなれない声が聞こえた。

「魔王様から許可が出たわ。」

「本当ですか?・・・仕方ありません。今回は特別にいいらしいのでくれぐれも機嫌を損ねないようお願いします。」

どうやら交渉は成功したみたいだな。これでいい。あとは魔王の出方次第か・・・。
結衣も起こさないとな。


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以下作者のコメント
声が枯れてます。なぜか?スキー教室の振替休日で水木休みでした。水曜と木曜両方11:00〜6:00まで歌ってました。そりゃ声も枯れるわ。

まあ予想はできると思いますが次回は魔王と会う予定です。はい。


そういえば最近面白い記事を見たんですよ。なんでも休日の寝だめは逆効果らしいんですよ。そして寝る前はテレビ、スマホはしない方がいいらしいです。スマホって僕が使ってますね。終わってますね。

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くだらない事かもしれませんが今回題名をつけるのに1時間くらいかかりました。

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コメント

  • オタクの端くれ

    スライムだけに粘り強いカラカラ笑

    1
  • さらだ

    当たり前ですね笑

    0
  • ちょっと二次元が好きです

    俺も正常のようだな

    1
  • さらだ

    そうです! みんな正常なんです!(笑)

    0
  • 田中  凪

    おろ?仲間がこんなにいたぞ…良かった良かった私は正常なのだな!!!!!!!!

    1
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