妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

防犯カメラ

「この格好は恥ずかしい・・・。」

お互いに見えないため感触でしか分かるすべがない。しかし、別に学が結衣の局部を触っているわけではない。太ももと、肩の後ろらへんを掴んでる。すなわちお姫様抱っこというものだ。

「お姫様抱っこか?別に姿が見えないんだから大丈夫だろ?」

「それはそうだけど・・・。」

結衣は別にお姫様抱っこをされるのが恥ずかしいわけではない。いや、その表記は間違えだっただろう。少し言葉が抜けてる。実際はこうだ。

学以外の人間であればお姫様抱っこをされても恥ずかしくない・・・だ。

学は兄妹だから別に問題はないだろうと、結衣は目標としてさらに...の相手である学に抱かれるのは恥ずかしいとそれぞれ違った考え方をしているのだ。

「ならいいだろ?これが一番楽だし、バランスが取りやすいんだよ。」

「うぅぅ・・・分かった・・・。」

結局学がいつも押し勝つのだが。自分が大切だと思う人にお願いをされると断れないのは仕方のないことだろう。それが人間というものだから。

「・・・重くない?」

「全く。軽すぎるくらいだよ。」

「ならいいけど・・・ねえ?私も同じことすればいいんじゃないの?どうして抱っこしか選択肢がなかったの? お兄ちゃん絶対に気がついてたでしょ。」

ここで初めて学が動揺した。その結果として少し・・・普通の人ならば大して気にしない動作だったが、結衣はそれに気がついた。

「やっぱり気づいてたじゃん! 」

「いやいや・・・。うっかり忘れてたよ。あっはっは・・・もうボケ始めてるな〜。」

「誤魔化し方下手。それに今口呼吸から鼻呼吸に変わってたでしょ。それ誤魔化してる時にいつもしてるやつ。・・・隠れて仕事をしてた時に問い詰めた時も同じだった。」

万事休す。そう思った学は素直に白状することにした。

「実は・・・あ〜でもな〜・・・これ言ったら引かれるよな・・・。やっぱり言わなくていい? 兄としての威厳が崩れる。」

やはりこの男は土壇場で意思が弱まった。しかし、それを許さない存在もいる。

「威厳なんか崩れていいから早く言ってよ。威厳がどうこうの前に軽蔑するよ。」

「うっ! ・・・実はですね・・・結衣の」

学は一度ここで言葉を切った。いや、切ってしまった。理由は下から流れている音楽が原因だ。それが王の入場する時の音楽だと理解するのにそう多くの時間はかからなかった。

「あちゃー・・・。残念。始まっちゃったな。今の話はまた後日ということで。」

全く残念そうな顔ではない学を見て結衣は久し振りに苛立ちを覚えた。しかしそれをため息で無くし、怒っている雰囲気を出しながら一言だけ言った。

「今日中に話は終わらせよう。話してくれるまでは私も寝ないから。」

学はその言葉を聞いた時から言い訳を考え始めるのだった。



目視できるだけで4人バルコニーみたいな場所にいるな。王冠をかぶってるやつは王様って一瞬で分かるが。隣にいる小さいガキは王様の子供だろうな。よその子供を普通そこまで連れてこないだろうからな。あと執事服を着てるジジイはそのまま執事だろうな。勝手な願いだが、彼の名前はセバスチャンであってほしい。
・・・ただ分からないのは最後の1人。遠すぎて鑑定の範囲内ではないからステータスを見ることはできないが、貴族ではなさそうだな。ましてや王族でもない。全身黒ずくめの服装で、フードをかぶっているせいで顔も確認できない。

「皆の者、まずはおはよう。」

「「「「「おはようございます!」」」」」

学が考え事をしているとついに王が口を開き報告が始まった。

「報告をするにあたってまず最初に言わせてほしい。これから言うことにあまり反応や質問をしないでほしい。質問は最後に全て聞くつもりだ。それだけをお願いしたい。」

なるほど・・・確かにそうすれば最後は大変だが、比較的騒ぎを待たずに報告ができるから時間短縮にも繋がるのか。

「それでは報告を始める。説明にあたってまず彼から紹介しよう。顔を見られて注目されるのがいやらしいので、フード付き、偽名でここに来てもらった。仮にスミスとでも言っておこうか。彼が作った物が今回の調査に大きく役立った。後ろの人は見えないだろうが、これを見てほしい。防犯カメラというものだ。」

「防犯カメラだと・・・。ならあいつは俺たちと同じ異世界人・・・もしくは異世界の知識を持てるスキルか?情報が足りないな・・・。」

「これが起動している時、動画というものが撮れるらしい。動画というのはものが映像が記録されるもので、何回でも見ることができるのだ!」

そこで住人は声を上げた。無理もないだろう。この世界の人たちにとってそのような技術は夢でしかないのだから。

「その動画を見ることで我々は驚くべき敵を見つけることができた! 魔王軍の幹部と思われる魔族がいたのだ!」

さっきの動画の時より声が大きくなった。それでも国王に何も言わないのは驚いた。全員が言いつけを守るなど難しいと思うんだが・・・その分国王が信頼されているんだろうな。

「そして先日山が消滅したことのついてだが・・・現在はまだ調査中だ。ただ、これだけは断言する。山が消滅した原因は何者かが放った特級魔法だ! それ以外にあの威力はありえん。この国の冒険者ギルドマスターも同意見だ。昨日から冒険者を捜索隊として探させているが未だに見つかっていない。我々の考えは 一度帰ったという意見だ。・・・現段階で言える情報はここまでだ。何か質問はあるか?」

実際にはしないが、俺は後ろの黒ずくめが気になるな。別に魔族がどんな行動に出ようがはっきり言ってどうでもいい。そんなことを言ったら黒ずくめもどうなんだって話になるんだが、あいつが作るのが全て地球のものだとしたらきっと殺傷能力の高い武器を作ることも考えられる。俺たちはその恐ろしさを体験したことはないが、知っている。つまり、なんらかの原因で俺たちが狙われた時命の危険が高まるということだ。それはなんとしてでも避けたい。出来るようならアイツを殺そう。
・・・しかし一体アイツは何者なんだ・・・?

国王達が再び建物の中に入っていくのを眺めながら学はそう考えていた。



広場にいた人々が帰った頃、学は地上に降り、カモフラージュを解いた。人がいなかったため、バレることもなかった。そして2人はそこにあるベンチに座っていた。察しはつくだろう。先延ばしにしていたことだ。

「で?どうして気がつかないふりしてたの?納得のいく説明をお願い。」

学はついに諦めた表情で語り始めた。言い訳は全く思いつかなかった。

「気がつかなかったふりをした理由はただ1つ。・・・結衣に触れたかったから。」

「?」

「こう・・・何ていうかな?ふっくらした結衣のほっぺたを眺めながらその顔を見て癒されたいなぁ・・・と。」

怒られるかなぁと思った学だったが、予想とは反対にすんなりと終わった。

「そう・・・。いつも見てるでしょ?あんまりそんなことしないでよ。」

そんなわけで少し自重しようと心に決めた学だった。


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以下作者のコメント
全話はすいませんでした。前回のことも含め、説明させていただきます。
多分投稿した瞬間に見た人は知ってると思うんですが、スマホが没収されそうになったんですよ。そこで、半端ですが投稿させていただきました。結局僕が言い争いで勝ったため取られはしませんでしたが・・・。
そしてもう一つ。涼宮ハル◯の憂鬱という作品があるのはご存知ですか?僕はアニメは見たんですけど、原作を読んでないのに気がついて、全巻揃えました。そしてずっとそれを読んでいたため、こっちに時間をかけていませんでした。すいません。以上が更新が遅れた理由と前回が半端だったわけです。


さて、話は変わりますがまた僕の学校ではインフルエンザが流行りだしました。クラスで4人かかってます。そして不登校4人の合計8人が休んでいるせいで教室は寂しいです。少なくとも僕にしては静かなので快適ですが。
皆様もお気をつけて下さい。

少し目を離しただけでフォロー数が増えていました。有難う御座います。

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コメント

  • さらだ

    御心配をかけてしまい申し訳ありませんでした。没収は自分の不注意だったので以後気をつけたいです。まだ何があるかわかりませんが。

    5
  • さらだ

    ヒットする作品って今までの傾向を大きく変えたものが売れやすいですよね。初めて見たときものすごく感動したのを覚えてます。

    5
  • たーくん

    投稿と返答のコメントが遅れていて何かあったんじゃないかと心配していましたが大丈夫そうで安心しました。

    3
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