妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

便利なパン屋

屋敷に帰った俺たちは軽くシャワーを浴びて早めの昼食をとった。食べ終え、これからの事を話し合った。

「魔物がいたわけだけど・・・どうする?」

「どうするって何が?」

「最悪俺のスキルがあればここから出ないで生活することもできるけど、外にも出たい。けど、魔物って言ったら命を落とすかもしれないだろ。・・・スライムで死ぬとは思わないけど。まあ、こっちの世界のことは詳しくないんだ。どんな危険があるか分からないだろ。」

誰かに聞こうとも誰もいないからな。実質外に出る方がメリットは多い。運動にもなるし、地形の確認もできる。それにスキルの練習もできると思う。でも、それが命と隣り合わせなら割りに合わない。

「う〜ん・・・。あ! 」

頭を抱えて唸ってる結衣。からの閃いた時の結衣。どちらともハートを鷲掴みされた。可愛すぎるんだよ!

「街で聞いたらどうかな?あの店員さんとか優しそうだったし。」

・・・なんかモヤモヤする。あの店員は態度こそ悪かったがいい人だと俺も思う。けど結衣から他の男が出てくるのは嫌だ。なんでだろう?

「・・・ああ。そうだな。そうしよう。」

「??お兄ちゃんなんか機嫌悪い?私なんかしちゃった!?何がダメだった!?」

そうだ。結衣は俺の事だけを見ていてくれよ。あんまり他の男と仲良くしてると・・・殺しちゃいそうだから。

「大丈夫。ごめんな結衣。あの店員の態度を思い出してたんだよ。」

心配させちゃダメだな。

「じゃあ今から行こうか。」

「うん。」



そして不動産屋まで長い距離を歩いている最中。またスライムが出てきた。今度は白色だ。

「・・・一度攻撃受けてみるか。」

「大丈夫なのお兄ちゃん?」

俺の知識・・・もとい地球の作家さんの知識が合ってればスライムはただの雑魚。一回くらい攻撃を受けても大丈夫のはず。

スライムが突進し、ぶつかる瞬間学は目を瞑り衝撃に備えた。・・・しかしその衝撃が来ることはなかった。

ズドン!

その音で学は目を開けた。十数メートル離れた木が折れ、その下にはさっき攻撃したスライムがいる光景が広がっていた。

「な・・・。結衣。どうしてこうなったか分かるか?」

「えーっとね・・・スライムが当たる瞬間お兄ちゃんの体が少し光って気づいたら木にぶつかってるところだったから、多分私のスキルだと思う。」

なんだっけ・・・守り神か。

「確かにそれもあるかもしれないけど、他にも可能性はあるぞ。例えばレベル差があるとそうなるかもしれないしだろ。」

なんにせよもっと実験する必要があるな・・・。

「お兄ちゃん。あんまり無茶はしないでね。危ない事をするくらいだったらあそこで一生過ごしたい。・・・・・・結婚してるみたいだし(小声)。」

「ごめん。最後の方聞き取れなかったからもう一回言ってくれないか?」

「ううん! なんでもない。 早く行こ。」

なんでもないならいいか。・・・仲が良ければ強くなるスキルって俺らにピッタリなんじゃないか?



ー20分後ー
やっと街に着いた。入るためには入場料を払わなくてはいけない。1人10銭だ。
ちなみに俺らの家は街から離れたところにあり、防壁に囲まれてるところではない。それも売れなかった理由らしい。いつ魔物が来るか分かったもんじゃないだろう。
けど鑑定をしてみると魔物よけの結界が貼ってあった。・・・前住んでた人やばくない?

「次! 二人組か?」

おっと。いつのまにか順番が来てた。

門番が何かを書きながら聞いてきた。

「ああ。」

「何をしに来た?」

「中の不動産の人に会いに来た。」

「・・・どこから来た?」

「森にある屋敷から。」

そう言った時門番の顔つきが変わった。まるで怯えたものを見たような感じだった。なんかしたっけ?

「1人10銭だ。早く通ってくれ。」

意外と仕事はきちんとこなすみたいでお金を渡すと急かされた。うーん。

「結衣。俺らなんかしたっけ?」

「何にもしてないと思うけど・・・。あの門番お兄ちゃんに敬語を使わなかった。殺そうかな?」

結衣。殺害動機が軽すぎる。

「落ち着こ。おつきましょう。早く目的を済まそう。・・・あ、すいません。不動産ってどちらですか?」

早く意識をずらさないとと思ったら時ちょうどいいところに買い物に行くであろう主婦の人がいた。迷わず場所を聞いた。門から入ったことがないからわからないんだよね。

「不動産ならここの道を真っ直ぐ行ってパン屋を左に曲がるったらすぐですよ。」

「ご親切にありがとうございます。行こ結衣。」

主婦が行った後結衣が不意に話しかけて来た。

「ねぇお兄ちゃん・・・。なんで今の女と話したの?」

「道を聞くためだろ? 俺は場所知らないし。」

結衣は主婦の方をまだ睨んでいた。さらにぶつぶつ呟いていたがそれは街が賑やかで学の耳に入ることはなかった。

主婦の言う通り道を歩いて行くと不動産屋に着いた。2人は一度顔を見合わせてうなずき合い店に入った。

「いらっしゃいませ・・・ってお前らか。」

「相変わらずの態度だな。」

やはりそこにはボサボサの髪をした店員がいた。前と違うのは眼鏡をかけてないという事だ。

「なんか用か?ないなら帰ってくれ。まだ仕事があるんだ。」

「何もないのに来るわけがないだろ。魔物の強さを詳しく知りたいんだが知ってるか?」

大雑把なものだと大して役に立たない。なるべく詳しく正確なものがほしい。

「1から教えるのめんどくさいからギルド行け。ギルド。俺なんかよりやる気がある人いるぞ。」

「そうだな。そうしよう。どこにある?」

「ここを歩くとパン屋があって、そこを左に曲がりしばらく歩くとある。剣が重なってるような建物。」

パン屋便利だな。

「助かった。行こ結衣。」

「あー。ちょっと待て。なんか適当に手紙書くからギルマスにでも渡しとけ。」

そう言い、チラシの裏に一言書いて渡して来た。・・・こんな適当でいいの?

「じゃ。今度こそ行くぞ結衣。」

「うん。」

さて、次はギルドだな。絡まれないかな?俺だったらまだいいけど結衣に触れたり、下衆な目で見た瞬間何をするかわからないな。




ギルドに入った学の第一印象はそれほど悪くなかった。というのも人がほとんどいなかったからだ。

「ここがギルド・・・お兄ちゃん。あまり人いないね。」

「そうだな・・・。まだ依頼が終わってないのかもな。もしくは依頼がなさすぎるとか・・・。」

まあそんなことはどうでもいい。依頼を受けに来たわけじゃないからな。そういえば時々忘れるけどこっちの世界ではお金相当持ってるんだよな。

学は気づいていない。こっちの世界だけでなく、地球でもお金を持っていたことを。


ふむ。ラノベの通り受付は女の人しかいないのか。まあ綺麗な人かと言われたらそうでもないな。若いだけだ。とりあえず聞くだけ聞いて帰るか。

「あのお聞きしたいことグフッ! ・・・いきなり殴らないでくれないか?」

受付の人に聞こうとしたら結衣に脇腹を殴られた。なんで・・・?
結衣はそれには答えず、「私がやる。」とだけ言って受付の人と話し始めた。

「魔物の情報が載ってる本とかってない?」

「魔物図鑑というものがありますが・・・少々お値段が高いですよ。そのかわり情報は冒険者方からなので信じてもらっていいですよ。」

「いくら?」

「一冊2円と30銭の全4冊です。」

たしかに俺らからしたらなんでもない金額だが住民にとっては高いな。どうしてそんな値段なんだ?
結衣も同じことを考えていたようで受付に聞いていた。

「払えるけど値段がその理由教えてくれない?」

「実は手書きで書いているものなんですよ。しかしギルド職員が年々減っていって生産が追いついていないんです。」

なるほど。こっちは印刷業がないのか。それは不便だな。今度家にコピー機でも作るか。

「お兄ちゃん10円ちょうだい。」

俺は黙って渡すとそれを受付の人に渡した。受付は一度奥に行き厚さ10cmほどの本を4冊持ってきた。結衣に80銭を渡すと続いて本も渡して来た。それを収納した。

「帰ろお兄ちゃん。」

「そうだな。その前に本屋寄ってっていいか?」

「もちろんだよお兄ちゃん。」

俺たちはギルドを後にした。・・・あ、チラシ。まあいいや。

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以下作者のコメント
お久しぶりです。今日はクリスマスですね。今年も残すところあと5日?6日?それくらいですね。昨日はどうお過ごししましたか?
作者は親がコンサートに行って一人で過ごしていました。毎年のことなんですけどね。
サンタさんは来ました。プレゼントはお金が置いてありました。・・・サンタさんお金って。

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コメント

  • さらだ

    かわいさ重視です笑

    3
  • ちょっと二次元が好きです

    結衣が可愛いすぎる

    5
  • さらだ

    有難う御座います。凄く嬉しいです。流石にあのような大作に勝てるほどの語彙力や想像力はありませんしね。
    これからもどんどん面白くなるように努力していきます。

    0
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