妹はこの世界でただ一人の味方

サラダアブラ

屋敷

「結衣。後ろから2人がつけてきてる。なるべく近くにいてくれ。」

スキルのことは言わないが結衣にはこれだけ言えば伝わると思い小声かつ簡潔に言った。案の定こちらに意図を感じとったらしく小さくうなずいた。

「お兄ちゃんもあまり離れないでね。」

俺たちは細い裏路地に向かい、歩くペースを落とした。相手が追いつきやすくするためだ。予想通り二人組は裏路地に入り、しばらくすると声をかけてきた。

「そこの二人組。止まれ。」

俺は腕を組み、収納から取り出したエアガンが見えないようにした。
そして強気な言葉で目的を聞いてみる。

「なんだ?愛人のためにもあんた達の様な野蛮な人と話したくないんだが。」

さっきの貴族に愛人と結衣が言ってたし、ここで妹と言うと状況が変わるかもしれないからな。愛人と言うしかないだろう。

「そう言うな。俺たちの目的はそっちの女の方だ。素直に渡すのなら大した事はしない。」

結衣を奪おうとするのか。うん。殺そう。だがその前にできる限り情報を引き出さないといけないな。

「ふざけるなよ。あのジジイの命令か?」

まずはこれが大事だ。もしあいつが命令したのならそいつも殺さなくてはいけないからな。こいつらの独断だったらすぐ終わるな。

「ああ。そうだよ。レーゼ様の後だがそこの女を味見していいとおっしゃったのでな。やる気も出て来るわけだよ。あっと。無駄な抵抗はやめろよ。今となってはただの警備だが昔はAランクの冒険者だったんだ。戦って勝てるような相手じゃねぇよ。」

うーん。クソの隣のクズがずっと黙ってるけど無口なのかな?

学は相手が注意してくれているのにそれを全く聞いてないで他の事を考えていた。

それを怖がっていると感じたのか二人の男が近づいてきた。あと5メートルというところで声を出した。

「そこで止まれ。」

こっちの人達は聞き分けがいいようで止まってくれた。性格ダメだけど、話は通じるんだな。

「今引き下がるなら許してやるよ。だがな、あと一歩でも近づいてみろ。後悔することになるぞ。」

「さっきまでビビってたやつが何を言うんだ?何もできない奴は誰かに助けを乞うしかないんだよ。」

そう言い俺の忠告を無視して歩き出した。俺は結衣に一言告げた。

「結衣少し目瞑っといてくれないか?」

「うん・・・。」

すぐに目を閉じてくれたのですぐにエアガンを発砲した。

パンッ!パンッ・・・ーー

乾いた2発の銃声が鳴り響く中、目の前には頭を撃ち抜かれて死んでいる2人の男がいた。・・・せっかく警告したのにな。
俺は結衣の手を引っ張り先に進んだ。


向かった先は不動産屋だ。とりあえず家が欲しい。金もたくさんあるしそこそこの家なら買えるだろう。

「結衣。入る前に聞きたいんだけど家ってどんなのがいい?」

家を買うことには賛成してくれたので出来るだけ要望に応えたいと思ってる。

「私はね、なるべく小さい家がいいな。」

あれ?予想が外れた。てっきりお金があるから大きい家とか言うと思ったのに。

「どうしてか聞いていい?」

「お兄ちゃんにはもう苦労させたくないの。だからなるべく小さい方が掃除とか楽になるでしょ。」

そんな事を考えてくれてたのか・・・。優しいなぁ。将来いいお嫁さんになりそうだな。

「家事とか全然大変じゃないから大きい家が良かったらはっきり言っていいんだよ。」

もし我慢してたら嫌だし、はっきり言ってもらおうと思ってた。けれどそれがすぐ杞憂だと分かった。

「じゃあ言い方を変えるね。私は小さい家がいい。」

本当に優しいなぁ。こんな人殺しの兄をここまで慕ってくれるなんて。俺にはもったいないくらいの妹だ。

「いらっしゃいませー。」

店に入るとメガネをかけ、ボサボサの髪を束ねた店員がいた。なんていうか、似合ってるな。

「あ〜。2人で住むんだが、なるべく小さい家をお願いしたいんだが。」

店員は俺らの方をチラリと見ると、椅子に座るように言ってきた。

「んじゃ適当に選んで来るからちょっと待ってな。」

そう言いお茶を出してくれた。意外といい奴だな。こういう人だったら気分を害さないんだが。

数分後三枚の紙を持って戻ってきた。そして「よっこらせ。」っと言いながら椅子に座った。おっさんぽいな。

「まず1軒目なんだが、まあこれは家賃が安いってだけが取り柄の家なんだが2人で住むとなると狭いな。で、二件目は大きさはお前達の希望通りだな。家賃も普通。ただ市場の近くっていうのがダメだな。3件目が俺のオススメなんだが、街の端。まあいわゆるスラム街だな。家賃はタダ同然。大きさはまあそこそこだ。」

いやでも・・・

「ちょっと待てよ。それ店員としてオススメするのおかしいんじゃないのか?厄介払いかよ。」

そう。客にスラム街をオススメするってどんな店員だよ。

「スラム街ってお前達が思ってるほど悪くないんだぞ。なにせあそこは結束力が強い。誰かが病気になればスラムを出て回復魔法が使えるやつを探し、土下座までして頼み込むんだ。」

「お兄ちゃん。私のイメージが違ったのかな?頑張って勉強したと思うのに私が思ってたのと全く違うんだけど・・・。」

「安心しろ結衣。俺もそうだから。」

スラム街ってすごいいいところじゃん。イメージとして暗〜い場所で荒くれ者が戦ってるような汚い場所だと思ってたのに。人ってこんなに素晴らしかったか?結衣は別としてほとんどロクな人に出会わなかったんだが。

「どうする結衣?この三軒のどこかにするか。それとも別の所探してもらうか。」

「探してもらう。」と言ったとき店員が「うわっ!」と迷惑そうな声を出したのなんか聞いてない。結衣の声しか聞こえないんだ。

「もっと人気がなさそうな所ないかな?」

「だそうだ。早く探してきてくれ。」

結衣の要望にはすぐ応えるが常識だ。もっと迅速に行動当て欲しいものだ。ノロノロと立ち上がり振り向きざまに

「チッ!・・・シスコンが・・・。」

その言葉は俺に最大のダメージを与えていった。俺はテーブルに頭を打ち付け微動だにしなかった。結衣にはシスコンと聞かれてなかったみたいで心配してくれた。今はその優しさが辛い・・・。

また数分経って戻ってきた。それをできる限り睨みつけていると迷惑そうな顔になっていた。・・・誰のせいだと?

「人気がない家は一軒しかなかったよ。市場から徒歩30分。スラムから徒歩50分。一番近い家まで徒歩20分。とにかく不便な所だな。」

なにそれ。逆に気になるんだけど。明らかに生活できない所だろ。普通だったら。

「お兄ちゃん。とりあえずそこ見てきていいかな?」

「もちろんいいぞ。」

「めんどくさ・・・。」

こいつほんとに店員かよ・・・。


ー店を出てから20分ー
あとどれくらいか聞いてみた。

「あと何分くらいで着くんだ?」

「・・・30分くらいじゃねぇの。」

「お兄ちゃん大変じゃない?疲れてない?飲み物いる?」

「大丈夫だよ結衣。むしろ結衣こそ大丈夫か?おんぶとか必要になったら言ってくれよ。何時間でもしてあげるから。」

「あ、うん。ありがとう。」

一体誰に似たんだろうな?結衣を産んだ奴らは人間ではなかったし、人間だったとしても結衣のような超かわいい子が育つわけないし。


さらに30分後。ようやく家が見えてきた。というより屋敷だな。

「ここだ。」

「でかくね?」

「大きいね・・・。これじゃあまた負担が・・・。」

結衣はそう言ったけれどすごいいい所じゃないか?

「まあここの家賃は高いだろうが、あんたらにとってはそこまで痛い出費ではないぞ。」

「なあ、さっきから気になるんだが、俺らの所持金知ってるのか?」

さっきから喋り方がおかしかったんだ。まるでいくら持ってるかを知ってるようで。

「一応そういうスキルがあるからな。《金眼》っていうんだ。正直驚いたよ。あんたらが持ってる所持金は人間の国・・・つまりここな訳だが国家予算を超えている。下手にバラすなよ。」

やっぱり国家予算を超えてたか・・・。そりゃあ銭の単位があるくらい物価が安いからその分予算も必要無いんだろうが。

「あんたは他の人にバラさないのか?」

これが気になった。他の人にバラすなとは言ったけれどこいつが知ってるんじゃ意味がない。

「別にどうでもいい。誰がどれくらいのお金を持ってるかなんて知ってもどうにもならない。興味本位で見てふーんってなるだけだ。」

金眼か。あとで作ってみよう。

「で、どうするんだ?この屋敷は一階は玄関ホール、大広間、晩餐会、応接間、書斎があり、二階にはまあプライベート空間があるわけだが。」

「お兄ちゃん。これって・・・。」

うん、言いたいことは分かる。

「ああ。貴族の家だよな。どう考えても。」

「よく分かったな。今は亡きどこかの貴族が使ってた屋敷らしいんだ。その当時貴族の屋敷というだけで欲しがる人は多かったらしい。けれど場所の問題があり、結局誰も買わなかった・・・らしい。」

まあそりゃあそうだろうな。こんな所に住むとか物好きもいいところだ。

「とりあえず買うなら前金で150円。一気に払うのなら2000円だな。」

「どうする?結構いい場所だと思うんだけど。」

「でも・・・また無茶しちゃうんじゃないの?そんなのはダメだよ・・・。」

ずっとそこを考えてくれてたのか。スキルでなんとかしてみようか。

「結衣。それは考えがあるから大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね。」

「お兄ちゃんがそう言うなら・・・。」

決まりだな。

「ここの家買うよ。」

「まいどあり。」

売れた時も態度を変えないとか・・・。俺は好きだけどな。別に無くなるようなものでも無いので2000円渡して晴れて俺の家になった。

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以下作者のコメント
休日っていいですね。これにかける時間がたくさんあって。早く冬休みになってほしい。・・・冬季講習があった。
この世界では一食が20銭(1人)くらいで食べれると思ってください。それとお昼という概念はありません。なので2人が食べた所は結構高級店です。ちなみに100銭で1円です。住民の平均月収は50円程です。

あと修正で前話で通帳1億を超えていると書きましたが、2億でした。

ノベルバランキング、冒険ジャンルの日間を見るといつも2位です。ありがとうございます。ちなみの1位は作者が書いてるもう一作品ですのでよろしければ。

まだ先ですが、二月の中盤に学校でスキー教室があります。その間投稿ができません。まだ先ですが。大切なことなので二度言いました。

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コメント

  • サラダアブラ

    有難う御座います。ご期待に応えれるような話を作っていこうと思うので、これからもよろしくお願いします。

    1
  • ノベルバユーザー114788

    面白いです!
    更新楽しみにしてます!

    7
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