妹はこの世界でただ一人の味方

サラダアブラ

入れ違い

「君たち。ちょっといいかな?」

なんだよ?せっかく結衣の可愛いところを見てたのに。

「警察・・・。なんの用ですか?今は妹のケアをしてるんですが。」

「何の用ですか?じゃないでしょ。目の前の状況分かってるの?少し話を聞かせてもらっていいかな?」

目の前の状況とは倉庫が燃えている事を言っているのだろう。実際俺たちは被害者であって加害者ではない。

「お断りします。時間も遅いですし、妹も怪我をしているので。」

「ではせめて名前、住所、電話番号だけ教えてくれませんか?何かあった時用に連絡をしたいので。」

「お兄ちゃん。警察に聞かれてるんだから教えないとダメでしょ。」

怒ってる結衣も可愛いなぁ。

「お前が警察官だったら俺の全てを教えてもいいんだけどなぁ。それに警察の職務質問は任意であって強制ではない。あまり抵抗が激しいと公務執行妨害で罰せられるがこれくらいなら大丈夫。よってあなたの要求はいずれも却下します。」

「そうですか・・・。では気が向いたらお近くの交番にお伝えください。」

「それくらいなら・・・。では失礼します。」

結衣を背負いリュックを前にかけて警官に挨拶した。威厳?そんなもの結衣がいれば無くても大丈夫さ。


帰り道雑談をしていた。
「最近学校生活はどうだ?楽しいか?」

「別に。普通。」

「さっきみたいにお兄ちゃんって呼んでくれよ。」

「嫌だ。」

「なんでさっきみたいな喋り方じゃないんだ?絶対さっきの方がいいって。」

「前と言ってることが違うんだけど。」

「前?」

「何でもない。」

「ならいいんだけど。」

前っていつのことだ?それに何のことだ?結衣との思い出を忘れているだと! なんかつくずくダメな兄になってきてるな。

「ねえ。それより足大丈夫なの?私なんかよりずっと痛いでしょ・・・。」

「大丈夫だよ。結衣が思ってるほど痛くないよ。」

これは本当のことだ。痛いけど歩けないほどではない。

「ごめんっ・・・なさい。何度も自分でしようと思った。けど出来なかった・・・。」

「前から言ってることだけど出来なかったら頼れ。むしろ頼ってくれ。一人で出来ないことなんか世の中たくさんあるぞ。」

「それでも・・・私は何も出来ない。ただ迷惑をかけるだけ。少しくらい出来ることもあったらいいのに。」

「最初から全部出来る奴なんていないさ。ちょっとずつ増やしていけばいいんだよ。」

「うん・・・。ありがとう。」

あ〜可愛いなぁ。どうしてこんなに結衣は可愛いんだよ・・・。抱きしめたいなぁ。ってさっき抱きしめたか。じゃあもう一回したいなぁ。


約2時間15分後
「もうそろそろ家に着くからな。」

「うん・・・。」

結衣は「出来る・出来ない」の話の後ずっと静かだった。俺が話しても無視していた。・・・今更だけどおんぶしている状態だから首に結衣の息がかかってくすぐったいんだよね。あと2つのアレも。・・・。
さて今はもう夜中12時をすぎている。そしてついに家に着いた。

「「ただいま」」

俺は出かける前寝てた布団に結衣を寝かせた。

「今から結衣の布団出すからちょっとその布団で休んどいて。」

そして結衣の布団を出しに行こうとしたが袖を引っ張られた。なんだ?と思っていると結衣が言った。

「まだ怖いの・・・。一緒に寝てくれない・・・?」

ふっ。そんなこと言われたら断る理由なんてないじゃないか!

「勿論いいんだけど、20分くらい待っててもらっていいか?まだしなくちゃいけない事があるんだ。」

「分かった。待ってる。」

そう言ってくれた結衣のためにもさっさと終わらせないとな。
今から俺がすることは小型マイクと小型カメラの確認。どちらも1cmにもならない小さいやつで俺が作った。鉄ちゃんから顕微鏡借りて3日程で作れた。結衣を思う気持ちは誰にも負けないからな。
加えて黒のパーカーを好んで着る結衣に合わせて色もマイク、カメラの色も黒だから見つかりにくい。
毎日変えているから電池切れに心配もない。

「さて・・・地獄に送ってやるよ。」

そこから先はすぐ終わった。カメラはバッチリ犯人の顔を抑えてあるし、会話から結衣と同じ学校だとも推測できた。更にマイクもあり、完全に殺そうとした事が分かった。証拠は十分に揃った。

「ゆ〜い〜。寝よう〜。」

「もう終わったの?まだ五分しか経ってないよ。」

「結衣と早く一緒に寝たいからな〜。全力で終わらせてきた。」

「やっぱり天才だね。」

「もっと褒めてくれ! 結衣に褒められるのが1番いい!」

「早く寝よう。」

スルーされた。

「じゃあ入るぞ。」

そう言って入ると

「ひゃっ!」

ひゃっ?

「どうした?」

「なんでもないよ。」

「ん?そうか。嫌だったら言えよ。」

「早く入って。」

またスルーされた。それにしてもひゃっって可愛かったな。
布団に入ると結衣は震えていた。俺はそれを見て動画に映ってた奴らにイラつき、そして自分にもイラついた。
あと20cmくらいしたらキス出来るくらいの超至近距離で俺は結衣に謝った。

「結衣・・・。ごめんな。俺のせいで危ない目に合わせて・・・。」

「え?何も悪くないでしょ?悪いのは私・・・。火傷までさせちゃって・・・。」

「いや、その前にへんな料理を作った俺が悪いんだ。許さなくていい。憎んだままでいい。だからもう少し一緒にいてもいいか?」

「どう・・・いう・・・こと?」

いつものシスコンの自分は捨てて真面目に話をすることにしよう。

「あんな思いをさせてしまったのは完全に俺のせいだ。だから親戚の家にでも行ってもいい。きっとあの人たちは結衣の事を大事にしてくれるぞ。・・・それとも一人暮らしがいいか?お金は何とかするよ。それとも「バやめて!」・・・。」

それともと言った後、結衣が俺に怒鳴り、泣いて叫んだ。その事に慌ててしまった。そんな気持ちが伝わるわけもなく結衣は泣くのをこらえてつっかえながら言ってきた。

「ねぇ・・・なんで勝手に決めるの!?・・・私・・・私は・・・一人暮らしもっ!・・・親戚の・・・家に行くのも嫌なのぉ・・・。分かってよバカ!」

そう言うと顔を反対に向けて俺が何度言っても振り向いてくれなかった。



俺はいつも通り早く起きて朝食を作っている最中、結衣が起きたのを見て挨拶した。

「おはよう結衣。」

「・・・。」

あからさまに無視された・・・。やっぱり昨日のことで怒っているのか?・・・ダメ兄だな。
朝食を作り終わり、結衣を呼んで待っている最中新聞のチラシを見ていた。ちょうど物件のチラシを見ている時に結衣が入ってきた。
ヤバイと思った瞬間結衣は持ってたチラシを奪い取りビリビリに破いた後ゴミ箱に捨てた。あ〜あ・・・。
その後椅子に座り何も言わないでご飯を食べようとする結衣にデコピンをくらわせた。

「何するの・・・?」

「結衣が怒ってるのは分かるが、いただきます。ごちそうさまは絶対に言え。」

「・・・いただきます・・・。」

結衣はいい子だな。まあその後は何も言わずに学校に行ってしまったが。

「さーてと。地獄に送る準備をするか。」
そう呟いて俺は携帯を手に取った。
テーブルには昨日の火事の記事が書かれている朝刊があった。




学校に着くと結衣は職員室に向かった。学校に入る時も職員用の出入り口から入ったため誰にも見つからなかった。出てきたのは担任の鈴木先生だった。鈴木先生は筋肉はすごい体型で男子や女子からも人気の先生だ。

「どうした霧崎?何か用事でもあるのか?」

「先生。私はこれから卒業まで学校を休みます。その報告に。」

私がそう言うと鈴木先生は可笑しそうに笑いました。

「できれば退学したいんですが義務教育のせいでそういうわけにもいかないですしね。」

「どうしたんだ急に?親御さんが許すわけないだろう。」

お前の親と聞いた瞬間暴力を振るう男。再婚相手が死んだら私を置いて何処かに行った女の二人が頭の中に浮かびました。

・・・ああそうでした。
「私に親なんていません。」

「何?どういうことだ?」

「入学するときに使った印鑑はお父さんのです。お父さんはもう死にました。」

「そうだったのか・・・お母さんはどうしたんだ?」

「母親?そんな物はいません。」
少なくとも私が思う母親は自分の子の事を大事に思う人でしょう。私にはそんな経験無いですしね。

「霧崎・・・お前はどんな人生を送ってきてるんだ?」

先生の私を見る目が恐怖に変わったように見えました。当然と言えば当然なんでしょうね。私はただ淡々と感情のこもってない声で話していたので。

「それでは帰りますね。出来れば私は死んだとクラスでお伝えください。生きていると知られた時はめんどくさそうなので。」

「あ、おい。待て霧崎!」

先生の呼び声も聞かずに職員室を出て行きました。今日で最期。もうこの中学に足を踏み入れることはないでしょうね。




結衣が帰った後次は学が学校に来た。そして入って早々職員室に怒鳴り込んだ。

「オラァ! 校長出てこい! 早くしろ!」

やはりというか、当然というか学はリュックを背負ったまま取り抑えられた。あまりにも抵抗が激しかったため、生徒達が集まって来た。しばらくすると汗だくで息が上がってる人が出てきた。校長だ。

「なんだね君は!? いきなり来て怒鳴り散らしたそうじゃないか! 警察に連絡することも出来るんだぞ! 我々は!」

「うるせぇ! 妹が死にそうだったんだぞ! 黙ってられるか!」

「何のことだ!? 私は誰も殺そうとしていないぞ! 適当な事を言うな!」

頭回んねぇなこいつは。

「お前じゃねぇよ!この学校の生徒だよ!」

ここで校長は怒鳴るのをやめた。それどころか驚いた様子で学を見ていた。野次馬の生徒達もざわめいた。それはそうだろう。自分の学校に殺人をしようとしている人がいると言ってる男がいるんだから。

「・・・話を聞いてもいいですかな?」

「無論だ。俺はそのために来たんだ。」

「では校長室に。生徒の皆さんも授業が始まりますよ! 準備をしてください!」

渋々と生徒達は戻り、その場には数人の教師と校長。そして学が残った。

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以下作者のコメント
転生するのに時間がかかりすぎですね。仲良し→喧嘩→仲直り→更に仲良くって感じが大好きなんですよ。雨降って地固まるですね。ちょっと時間がないので明日投稿できるか分かりません。できる限り頑張ります。

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