凡人達の名言

銀朱

朝、最も見たくないのは時計である。

朝、最も見たくないのは時計である。
2018.04.06_水安 輝

春の陽気麗らかに鳥が鳴いている
釣られて俺も泣いてしまいそうだった
明らかに昨日見た窓からの光の差し方が違う、携帯を開いてみると通知が、、、表示し切れないほど沢山、、
スクロールが終わらない、上に表示され続けている数字は微かに9時と書いているような気がする、せめてもの現実逃避として直接見ないように無駄な抵抗を続ける
通知の主は浅賀 里、新入生寮301号室の住人でお隣さんだ、スタンプ連打してきていたらしい、大量のスタンプを遡ると
「今どこ?」「クラスどこだった?」「同じクラスじゃん!」「お前居なくね?」「おーい」「お茶」
そこから怒涛の688回スタンプ連打と言う事らしい
とりあえず、返信しないとな
「302号室」「クラスはFだ」「同じクラスなのは素直に嬉しい」「俺は此処に居る」「選ばれたのは」「綾鷹でした」
こんな所だろう、一応始業式は11時から12時の間今から行っても間に合う時間だ、但し、説教から始まるのは目に見えてるが
「クラスはCだよ、、お前の頭の良さを聞いた理由じゃないー、それより今日来るの?、先生にはとりあえず前日調子悪そうだったって事だけ伝えてるぜ」
どうやら、里は有能らしい怒られない言い訳が既に用意されていた
「いや、行くよ今から、流石に初日から居ないのってハブられそうだし、自分の席の場所も知らないんじゃ明日の朝迷子になっちまう」
返信しつつ着替えを終えパンを咥えて外に出る
さながら、美少女ゲームの角から現れる刺客のように
違うところがあるとすればパンを咥えている奴が男であるとことと周りにはサラリーマンとゴミ出しの主婦しか居ないって事ぐらいだ
出会いもなく、ただ、一人で虚しい通学路を歩いて行く


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