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異世界といえば魔法? いいえ答えは化学物質です

yosi16

魔王討伐、行く? 行かない?

 翌日、俺たちは再び大広間に集まっていた。朝食のためというのも勿論あるが、それよりももっと重要な案件があった。

「さて、んじゃあ大体の人は聞いてるだろうけど今から魔王討伐組をきっめまーす!! まだ決まってないよ~って人は急いで急いで!」

 そう、本日は雪村たちが言っていたように魔王討伐組と非魔王討伐組を決定する日、この世界で生きていくことを強要された俺たちにとっては運命の日といっても過言ではない。なお司会進行を任されているのはやはりというべきか松村だ。流石はうちのクラスのオカン代表である。

「よし! もう決まったと思うし始めよっか! んー決め方だけど~……、めんどいから討伐組はこっち! 非討伐組はこっち! 適当に固まって~!」

 そう言って討伐組を彼女の左手、非討伐組を松村の右手の方に誘導し始めた。

「ハハハ! 魔王とやらに俺たちの強さ見せてやろうぜ!! なぁ!?」

 いの一番に魔王討伐組に入ったのが例の馬鹿トリオ。大方女子たちにいい格好を見せようとでも考えているんだろう。が、奴らの威勢のおかげかそれが皮切りになり、決意が揺らいでいた面々も続々と討伐組と非討伐組に分かれていった。

 俺も面倒だしさっさと非討伐組に行こうと思ったが、そこでふと木内が動いていないことに気づいた。どうしたのだろうと思っていると、

「浅野君の旅ってさ、誰か連れて行ったりしないの?」

 何を言っているのかさっぱり分からない。だが、

「いや別についてくるっていう奴がいりゃ一緒に行くけど。まぁ多分一人旅になるだろうな」

 俺についていきたいなんてもの好きいるわけないだろうしな。しかしそう言うと何故か木内は少しほっとしたような表情を浮かべ、

「うん、わかった。ありがとう」

 はて、何か礼を言われることをしただろうか? 少し気になったが、これ以上話し込んでしまうと組み分けの進行に差し支えると判断し、俺は一直線に非討伐組の方に向かった。やはりというべきか非討伐組は全体の二割弱とかなり少ないものの、意思を曲げるつもりは一切ないのでさっさとその場で座り込む。

 直後、俺の後ろに誰かが座り込んだ気配がした。俺としては最後らへんまで迷ってた奴だしそりゃそうだろうなと納得していたのだが、そんな俺とは正反対に周りの表情が驚愕に染まっている。驚いていないのは飯島ファミリーの四名だけ。そこまで来てふと気づく、何故か討伐組に木内の姿が見つからないことに。まさかと思い後ろを振り返ると、

「あはは、こっちに来ちゃった……」

 そこにはややばつが悪そうにそんなことを言う木内の姿があった。

「は? え? いやお前なんでこっちに? 討伐組に行くんじゃなかったのか?」

 ずっと飯島たちと同じ討伐組の方に行くものだとばかり思っていた。というか多分全員そう思っていただろう、何やら事情が分かっているらしい飯島ファミリーを除けば。だが、そんなのは序の口に過ぎなかった。次の瞬間彼女は少しはにかみながら、非討伐組に入ったことなんかよりもはるかに大きな地雷を投下した。



           「浅野君、私をあなたの旅に連れて行ってください」




 思考停止中。何を言われたのか理解不能。だが時間が経つにつれ次第に状況を理解し始める俺の脳味噌。そして意味を完全に理解した俺にとれる行動はただ一つ。


  「は……、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!?????????」



 クラス中が呆然とする中、俺の絶叫は城内全体に響き渡るのであった。





「ふむ、これくらいあれば十分ですかの。他に何か必要なものはございませぬか?」

「いえ、他には何も。こちらの身勝手な頼みを聞いていただき、誠にありがとうございます」

 あの後俺と木内は王室を訪ねていた。失礼な行為ではあるが、向こうだって事情など考えず勝手に召喚したのだからそれくらいは許していただきたい。

 少し話が脱線したが、王のもとを訪ねた理由は二つ、資金調達と地図、方位磁針の入手である。資金は当たり前として、この世界にカーナビやらGPS式のマップなんて便利なものは存在しないだろうから最低限正確な地図、方位磁針も必要になる。

 地図と方位磁針くらい買えばよくないかと思うかもしれないが、あいにく俺たちにはこの世界の常識というものが一切ない。つまり粗悪品をつかまされても知る術がないのだ。だから商人ではなく直接的に国王から貰う必要があった。王には俺たちに粗悪品を持たせる理由はないのだから。

「それでは私たちはそろそろここを発つことにします。短い間でしたがお世話になりました」

 そう言いながら俺が一礼すると、

「ほほほ、貴殿のご活躍を期待しておりますぞ」

 王はそう言いながらにやりと笑うのだった。

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