異世界といえば魔法? いいえ答えは化学物質です
ヒーラーってなんですか?
「やったぁ!! またレベル上がったよー!!!」
「あ、うん。そう……」
街を出て俺たちは早速魔物たちと出くわした。魔王がいるというだけあって魔物の群れもかなりの数を誇っていた。RPG脳の俺としては最初の街からこれは流石にやめてくれとも思ったが、しかし同時に男として木内にいい格好を見せようとも密かに張り切っていたのだ。そう、木内の戦いっぷりを見るまでは。
「にしてもクモ型のモンスターとか毛虫型のモンスターとか多いよね。次の街辺りからは強くなるのかな?」
「ソーデスネ」
先程から完全棒読みかつ適当な返答だが許してほしい。木内はヒーラーという能力を授かっていたはずだ、つまり彼女の役職は本来後方支援なのだ。しかしふたを開けてみるとどうだ、彼女はキレのある拳で次々と魔物をなぎ倒していく。えいっみたいな可愛い掛け声で、ステータスにおんぶにだっこした攻撃なら話はまだ分かる。ただはぁっ! みたいな掛け声で高速の突きを繰り出している時点で明らかに武術経験者であることがわかる。
「いやぁ、習い事がどこで役に立つかなんてわからないもんだよね~。空手やっててよかった~」
絶対黒帯とか何かだ。動きが堂に入り過ぎている。てか普通の女子って虫とかダメなんじゃないんだろうか。彼女の戦いっぷりを見ているとむしろ俺の方が苦手まである。
「あ、次のモンスターが来たみたい! 行ってくる!!」
そう言い残すと彼女は駆け出し人間サイズのクモに裏拳を叩きこんだ。断末魔の叫びを上げて崩れ落ちるクモ。明らかに出番のない俺は苦笑いを浮かべ、上機嫌に魔物を蹴散らしていく木内の後に続くのだった。
「ねぇ、浅野君も試しに魔物を倒してみたら?」
しばらく歩いていると木内からそんなことを言われた。
「いや、俺はいいよ。うん」
女の子にやらせてお前はやらないのかよと言われるかもしれないが、それはそれこれはこれ。あからさまに俺より強い木内の前で恥をかきたくない。
「いーじゃんいーじゃん! この世界ステあがると力とか全部変わるみたいだし!!」
しかしなおも引かない木内。これ以上反抗するのもアレなので大人しく指示に従うことにした。もうなんか俺の立つ瀬がない。
一つ息を吸い込みそしてそのまま弱々しい蹴りを放つ、クモにはほとんどダメージがない、予定ではそうなるはずだった。
「え……?」
隣で俺に攻撃するよう仕向けた張本人は呆然としているが、そのセリフは本来俺の物だ。なんせ俺の放った蹴りは恐ろしいスピードを伴ってクモを四散させたのだから。ありえない事態を引き起こす要因など一つしかないと思った俺はステータス画面を即座に開いた。すると、
浅野悠一:LV32
体力 :HP248
魔力 :MP719
攻撃力 :306
防御力 :391
魔攻 :951
魔防 :867
敏捷度 :653
運 :775
ちょっと待て何かがおかしい。一体いつの間に俺はレベル32に上がったのだろうか。というか大体のステータスが10倍以上に上がっているがこれは普通なのだろうか。
「なぁ、お前今レベルいくつだ? 後ステータスどれくらい上がった?」
とりあえず木内に聞いてみる。すると、
「今レベル12だね。ステータスは得意なやつで+60とかそんな感じだと思う」
成る程。つまり俺の上がり方は異常ということになる。だがまだ一体も倒していなかったにもかかわらず、何故俺のレベルは32まで上がっているのかという謎は解明できていない。俺は昨日までレベルアップするようなことをしたかどうか記憶を探ってみた。
「あっ」
こちらに来てからやった特殊なこと、よく考えれば一つしかない。俺はこの世界に来てからいつもやってきた通り適当にイメージする。そしてもう一度確認した。
浅野悠一:LV33
体力 :HP279
魔力 :MP770
攻撃力 :332
防御力 :428
魔攻 :1035
魔防 :921
敏捷度 :704
運 :846
ここまで露骨だと流石に笑うしかない。
「なぁ木内よ。俺はどうやら化学物質を生成すればするほど簡単に強くなるらしいぞ?」
「あ、うん。そう……」
街を出て俺たちは早速魔物たちと出くわした。魔王がいるというだけあって魔物の群れもかなりの数を誇っていた。RPG脳の俺としては最初の街からこれは流石にやめてくれとも思ったが、しかし同時に男として木内にいい格好を見せようとも密かに張り切っていたのだ。そう、木内の戦いっぷりを見るまでは。
「にしてもクモ型のモンスターとか毛虫型のモンスターとか多いよね。次の街辺りからは強くなるのかな?」
「ソーデスネ」
先程から完全棒読みかつ適当な返答だが許してほしい。木内はヒーラーという能力を授かっていたはずだ、つまり彼女の役職は本来後方支援なのだ。しかしふたを開けてみるとどうだ、彼女はキレのある拳で次々と魔物をなぎ倒していく。えいっみたいな可愛い掛け声で、ステータスにおんぶにだっこした攻撃なら話はまだ分かる。ただはぁっ! みたいな掛け声で高速の突きを繰り出している時点で明らかに武術経験者であることがわかる。
「いやぁ、習い事がどこで役に立つかなんてわからないもんだよね~。空手やっててよかった~」
絶対黒帯とか何かだ。動きが堂に入り過ぎている。てか普通の女子って虫とかダメなんじゃないんだろうか。彼女の戦いっぷりを見ているとむしろ俺の方が苦手まである。
「あ、次のモンスターが来たみたい! 行ってくる!!」
そう言い残すと彼女は駆け出し人間サイズのクモに裏拳を叩きこんだ。断末魔の叫びを上げて崩れ落ちるクモ。明らかに出番のない俺は苦笑いを浮かべ、上機嫌に魔物を蹴散らしていく木内の後に続くのだった。
「ねぇ、浅野君も試しに魔物を倒してみたら?」
しばらく歩いていると木内からそんなことを言われた。
「いや、俺はいいよ。うん」
女の子にやらせてお前はやらないのかよと言われるかもしれないが、それはそれこれはこれ。あからさまに俺より強い木内の前で恥をかきたくない。
「いーじゃんいーじゃん! この世界ステあがると力とか全部変わるみたいだし!!」
しかしなおも引かない木内。これ以上反抗するのもアレなので大人しく指示に従うことにした。もうなんか俺の立つ瀬がない。
一つ息を吸い込みそしてそのまま弱々しい蹴りを放つ、クモにはほとんどダメージがない、予定ではそうなるはずだった。
「え……?」
隣で俺に攻撃するよう仕向けた張本人は呆然としているが、そのセリフは本来俺の物だ。なんせ俺の放った蹴りは恐ろしいスピードを伴ってクモを四散させたのだから。ありえない事態を引き起こす要因など一つしかないと思った俺はステータス画面を即座に開いた。すると、
浅野悠一:LV32
体力 :HP248
魔力 :MP719
攻撃力 :306
防御力 :391
魔攻 :951
魔防 :867
敏捷度 :653
運 :775
ちょっと待て何かがおかしい。一体いつの間に俺はレベル32に上がったのだろうか。というか大体のステータスが10倍以上に上がっているがこれは普通なのだろうか。
「なぁ、お前今レベルいくつだ? 後ステータスどれくらい上がった?」
とりあえず木内に聞いてみる。すると、
「今レベル12だね。ステータスは得意なやつで+60とかそんな感じだと思う」
成る程。つまり俺の上がり方は異常ということになる。だがまだ一体も倒していなかったにもかかわらず、何故俺のレベルは32まで上がっているのかという謎は解明できていない。俺は昨日までレベルアップするようなことをしたかどうか記憶を探ってみた。
「あっ」
こちらに来てからやった特殊なこと、よく考えれば一つしかない。俺はこの世界に来てからいつもやってきた通り適当にイメージする。そしてもう一度確認した。
浅野悠一:LV33
体力 :HP279
魔力 :MP770
攻撃力 :332
防御力 :428
魔攻 :1035
魔防 :921
敏捷度 :704
運 :846
ここまで露骨だと流石に笑うしかない。
「なぁ木内よ。俺はどうやら化学物質を生成すればするほど簡単に強くなるらしいぞ?」
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