異世界といえば魔法? いいえ答えは化学物質です
着きました
「おーすげぇ!! 港町だ!!!」
地図で一応港町であることは既に確認していたが、実際に見るのとではだいぶ印象が変わってくる。俺たちの住んでいた世界というか国には、こういう物語に出てきそうな港町は一切なかったからな。無駄にテンションが上がる。それは愛梨も同じなのか、
「ねぇねぇ折角だしちょっと見て回らない!? こっちに象さんいるよ!!」
「いやお前流石にそこまで浮かれんのはやべぇよ!?」
愛梨は浮かれるというよりむしろ浮かれ過ぎていた。絶対お前本来の目的忘れているだろう。が、お陰様で逆にこちらの気が引き締まった。
「あ、ごめんごめん。つい、ね?」
と、言いながら舌を出す愛梨。可愛いので許そう。
「あ、えっと、私のことはお気になさらず……。いえ、救っていただけないのは困るのですが多少であれば案内も出来ますし……」
お姫様から気を使われてしまった。というか自分の命が狙われているのにお気になさらずも何もない。とりあえず話し合いというか作戦会議の場が必要だろう。
「いや、先に用事を済ませよう。どこか落ち着ける場所は知らねぇか?」
すると、彼女は路地裏の方を向き、
「こちらです」
そう言うとそのまま歩き出した。何故王族なのにこんなところにとは思ったが、俺たち三人は素直に彼女について行くことにした。
「ここ?」
愛梨が疑問の声を上げていたが気持ちは分からなくもない。しばらく歩いていると、かなり開けた場所に出た。噴水とかもあるところを見ると、かつては広場として機能していたのだろうが、今では劣化していて明らかに手入れがされていないことが分かる。先ほどから人影が一切見えないところからも、ここがもうほとんど利用されていないのは明らかだ。
「はい。王族の目が届きづらいところは限られていますから……」
成る程。確かに相手が王族である以上、会議をするうえで彼女の屋敷等に行くのは自殺行為かもしれない。であれば最早誰も来ないところを選んだほうがいいというのは理にかなっている。
「そんじゃまぁ時間もねぇことだし始めるとするか。まずシルヴィア、お前は俺たちに何を望んでいる? ただ護衛すればいいのか? あるいは脅威を排除するか?」
まぁ救ってほしいという時点で後者であることは予想できていた。護衛するだけでは救うという目標は達成することが出来ないからだ。だからこれはあくまでもただの確認だ。
「あなた方には脅威の排除をお願いしたいです。第二王女殺害の犯人を撃破していただければ……、あ、でも絶対危険な真似はしないでくださいね!?」
彼女は慌てて最後にそう釘を刺したが、
「残念ながらその頼みは聞けないな。少なくともアンタを見捨てた場合この国と貿易を取り付けるのはほぼ不可能になるしな」
この条件がある以上、俺には仮に命を懸けることになっても彼女を守らなければならないという義務が発生する。だが、今の俺はステータス的に考えてもかなり上位の方にいるはずだし、そこまでヤバい事態には陥らないとは思うが、むやみやたらにステータスを開示するのも個人情報流出みたいで嫌だったのでこういう言い方をするしかない。
「わかりました。ですがくれぐれも気を付けてください。相手は手練れの刺客を何人もこちらに送れるくらいの力は優にあります」
森で戦ったやつも相手が多少抜けてたからどうにかなったものの、予め能力を知らされてなければ負けていたかもしれない。あのレベルが何人も来ると考えると確かに厄介ではある。が、
「状態異常とか特殊能力持ちでなきゃ負けないから安心しろ。その辺の手練れには勝てる」
少なくともうちの聖騎士より強いということはほぼないだろう。その辺の手練れに負ける聖騎士なんていらないのである。彼女もこれ以上は無駄だと思ったのか、
「わかりました。ただしくれぐれも注意だけはお願いします」
言われるまでもない。彼女の忠告もそこそこに俺は話を先に進める。
「で、元凶を断つのはいいがどうやって決定打にするつもりだ? まさかいきなり疑わしいものは全員潰すなんてマネをするつもりはないんだろ?」
が、どうやら彼女はその辺りを何も考えていなかったらしい。
「あ、えっと……。どうしましょうか……?」
言いながら誤魔化し笑いを浮かべている。そういえばこいつは護衛もつけずに森の奥の方まで一人で来ていたな……。意外と後先考えないタイプなのか。
「お前の性格はさておき策がねぇのはまずいな」
相手が分からない上何の策もないというのは、初めから殺してくださいと言っているようなものだ。仮に刺客を全員返り討ちに出来たとしても根本的な解決にはならないし、集中力がそう何週間も続くとは思えない。何よりアデル公国の財政回復ためにもそんな悠長なことは言ってられない。
「仕方ねぇ。ならこっちから行ってカマかけてみるか」
策が立てられないのは情報が足りないからという要素も大きい。であればまずは情報を得るために何かしらのアクションをしなければならない。
「でも第一王女くらいしかカマかける相手いなくない? それだけだと不十分だと思うんだけど」
その通りだ。もし第一王女がはずれの場合振出しに戻る上、別の人間に疑いをかけるのも遅くなってしまう。だからもう一人の候補に話を聞きに行く必要がある。
「だから国王の所に行くんだよ。今回の一件が三姉妹の地位争いだと考えれば最初にそれをやらせた国王自身も何か知ってるかもしれない」
というか知らないはずはないだろう。なんせ今まで国政に携わってきたのだ、自分に強い怨恨を持っている人間は多くとも、国内で、かつ娘を殺害するほどまでに憎む相手となるとその人数はだいぶ限られてくる。
「じゃあシルヴィア案内頼んだ。ま、腹の探り合いといきますかね」
地図で一応港町であることは既に確認していたが、実際に見るのとではだいぶ印象が変わってくる。俺たちの住んでいた世界というか国には、こういう物語に出てきそうな港町は一切なかったからな。無駄にテンションが上がる。それは愛梨も同じなのか、
「ねぇねぇ折角だしちょっと見て回らない!? こっちに象さんいるよ!!」
「いやお前流石にそこまで浮かれんのはやべぇよ!?」
愛梨は浮かれるというよりむしろ浮かれ過ぎていた。絶対お前本来の目的忘れているだろう。が、お陰様で逆にこちらの気が引き締まった。
「あ、ごめんごめん。つい、ね?」
と、言いながら舌を出す愛梨。可愛いので許そう。
「あ、えっと、私のことはお気になさらず……。いえ、救っていただけないのは困るのですが多少であれば案内も出来ますし……」
お姫様から気を使われてしまった。というか自分の命が狙われているのにお気になさらずも何もない。とりあえず話し合いというか作戦会議の場が必要だろう。
「いや、先に用事を済ませよう。どこか落ち着ける場所は知らねぇか?」
すると、彼女は路地裏の方を向き、
「こちらです」
そう言うとそのまま歩き出した。何故王族なのにこんなところにとは思ったが、俺たち三人は素直に彼女について行くことにした。
「ここ?」
愛梨が疑問の声を上げていたが気持ちは分からなくもない。しばらく歩いていると、かなり開けた場所に出た。噴水とかもあるところを見ると、かつては広場として機能していたのだろうが、今では劣化していて明らかに手入れがされていないことが分かる。先ほどから人影が一切見えないところからも、ここがもうほとんど利用されていないのは明らかだ。
「はい。王族の目が届きづらいところは限られていますから……」
成る程。確かに相手が王族である以上、会議をするうえで彼女の屋敷等に行くのは自殺行為かもしれない。であれば最早誰も来ないところを選んだほうがいいというのは理にかなっている。
「そんじゃまぁ時間もねぇことだし始めるとするか。まずシルヴィア、お前は俺たちに何を望んでいる? ただ護衛すればいいのか? あるいは脅威を排除するか?」
まぁ救ってほしいという時点で後者であることは予想できていた。護衛するだけでは救うという目標は達成することが出来ないからだ。だからこれはあくまでもただの確認だ。
「あなた方には脅威の排除をお願いしたいです。第二王女殺害の犯人を撃破していただければ……、あ、でも絶対危険な真似はしないでくださいね!?」
彼女は慌てて最後にそう釘を刺したが、
「残念ながらその頼みは聞けないな。少なくともアンタを見捨てた場合この国と貿易を取り付けるのはほぼ不可能になるしな」
この条件がある以上、俺には仮に命を懸けることになっても彼女を守らなければならないという義務が発生する。だが、今の俺はステータス的に考えてもかなり上位の方にいるはずだし、そこまでヤバい事態には陥らないとは思うが、むやみやたらにステータスを開示するのも個人情報流出みたいで嫌だったのでこういう言い方をするしかない。
「わかりました。ですがくれぐれも気を付けてください。相手は手練れの刺客を何人もこちらに送れるくらいの力は優にあります」
森で戦ったやつも相手が多少抜けてたからどうにかなったものの、予め能力を知らされてなければ負けていたかもしれない。あのレベルが何人も来ると考えると確かに厄介ではある。が、
「状態異常とか特殊能力持ちでなきゃ負けないから安心しろ。その辺の手練れには勝てる」
少なくともうちの聖騎士より強いということはほぼないだろう。その辺の手練れに負ける聖騎士なんていらないのである。彼女もこれ以上は無駄だと思ったのか、
「わかりました。ただしくれぐれも注意だけはお願いします」
言われるまでもない。彼女の忠告もそこそこに俺は話を先に進める。
「で、元凶を断つのはいいがどうやって決定打にするつもりだ? まさかいきなり疑わしいものは全員潰すなんてマネをするつもりはないんだろ?」
が、どうやら彼女はその辺りを何も考えていなかったらしい。
「あ、えっと……。どうしましょうか……?」
言いながら誤魔化し笑いを浮かべている。そういえばこいつは護衛もつけずに森の奥の方まで一人で来ていたな……。意外と後先考えないタイプなのか。
「お前の性格はさておき策がねぇのはまずいな」
相手が分からない上何の策もないというのは、初めから殺してくださいと言っているようなものだ。仮に刺客を全員返り討ちに出来たとしても根本的な解決にはならないし、集中力がそう何週間も続くとは思えない。何よりアデル公国の財政回復ためにもそんな悠長なことは言ってられない。
「仕方ねぇ。ならこっちから行ってカマかけてみるか」
策が立てられないのは情報が足りないからという要素も大きい。であればまずは情報を得るために何かしらのアクションをしなければならない。
「でも第一王女くらいしかカマかける相手いなくない? それだけだと不十分だと思うんだけど」
その通りだ。もし第一王女がはずれの場合振出しに戻る上、別の人間に疑いをかけるのも遅くなってしまう。だからもう一人の候補に話を聞きに行く必要がある。
「だから国王の所に行くんだよ。今回の一件が三姉妹の地位争いだと考えれば最初にそれをやらせた国王自身も何か知ってるかもしれない」
というか知らないはずはないだろう。なんせ今まで国政に携わってきたのだ、自分に強い怨恨を持っている人間は多くとも、国内で、かつ娘を殺害するほどまでに憎む相手となるとその人数はだいぶ限られてくる。
「じゃあシルヴィア案内頼んだ。ま、腹の探り合いといきますかね」
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