お嬢様は軍師様!
お嬢様 討伐をする 10
『だったらオレが何とかしようか?』
暗い森の中から突然、声が聞こえてクロームは辺りを見回した。
しかし、姿は見えない。
でも、この声の主は分かる。
フェイだ。
「フェイ!また、持ち場を離れて・・・。」
「ま~待てよ、セラ。」
「それに貴方が何とかすると言っていましたが何をするつもりですか?」
「平和的に話し合いで・・・。」
「だったら私が話をつけますので大丈夫です。」
セラが森の方向に顔向けて話している。
多分、セラが向いている方向にフェイがいるのだろう。
けど、クロームにはどんなに目を凝らそうとしても、フェイの姿は見えなかった。
「さっきから見てたけど、この坊っちゃんは引く気はないみたいだからね。セラじゃ厳しいでしょ?」
「だから代わりに貴方が話すと・・・?」
「オレの方が、この坊っちゃんと何回か会っているし、セラよりも話やすいと思うよ。」
「まぁ・・・いいでしょう、後はお任せします。」
セラが、ちらりとクロームに目を向けて、スッとその場から去った。
今、この場にいるのはクロームとフェイだけとなる。
と、言ってもフェイは森の中にいてクロームの前に現れてもいない。
「姿を出す気にはならないからね。」
クロームは相手が何を考えているのかわからなかった。
フェイはセラの代わりにクロームを諦めさせようと、話をする為にここにいる。
しかし、その話はしない。
じっと、相手の言葉を待つしかなかった。
「騎士君、これを。」
クロームはフェイから大きく弧をえがいて投げられた物を受け取った。
手の中で微かではあったがチリンと音が聞こえた。
多分、鈴だと思う。
だが、何故フェイは鈴を投げたのか。
「イーゼス様に見せるといいよ。」
クロームは、そっと掌をあけると予想した通り鈴があった。
特に特徴もなく、ただの銀色で出来た鈴が2つ。
赤い紐で結ばれている。
「もしも、こちら側に来るのであれば歓迎するよ。クローム・サジタリア。」
クロームは手の中にある鈴をギュッと握りしめると、改めて顔をあげた。
「後悔などしません。絶対に」
暗い森の中から突然、声が聞こえてクロームは辺りを見回した。
しかし、姿は見えない。
でも、この声の主は分かる。
フェイだ。
「フェイ!また、持ち場を離れて・・・。」
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「それに貴方が何とかすると言っていましたが何をするつもりですか?」
「平和的に話し合いで・・・。」
「だったら私が話をつけますので大丈夫です。」
セラが森の方向に顔向けて話している。
多分、セラが向いている方向にフェイがいるのだろう。
けど、クロームにはどんなに目を凝らそうとしても、フェイの姿は見えなかった。
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