話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

お嬢様は軍師様!

葉月 飛鳥

お嬢様 討伐をする8


「招き起こした・・?なに言ってるの?僕がそんなことするわけないじゃん。」 
「そうッスよ。ヒューデガルド君は俺達を労いをしてくれたんすよ。感謝しているッス。ねぇ、隊長。」
「あ・・・あぁ。感謝をしている。」
「そうだよ。みんな、そう言っているんだ。どこが悪いんだよ。」

ヒューデガルドがイーゼスにくってかかる。
さっきまで目が潤んでいたというのに、今では優越感で顔がにやけていた。

「ヒューデガルド・ブライト。」
「なんだよ、改まって・・・。」

イーゼスは今いる所から一歩進んだ。
一歩進むと、ヒューデガルドとの距離がゼロになり、相手を見下ろす形となった。
ヒューデガルドは、近づいてきたイーゼスに対して一歩後ろに進もうとしたが、イーゼスの威圧感で動けない。

「盗撮達はブライト商会の馬車を見つけ、襲おうとした。それでも自分は悪くはないと言い切れるのか?」
「え・・・?」
「あんな豪華でしかも商会の刻印が入った馬車で来たんだ。これでは狙って下さいとしか言えないぞ。」
「だって・・・その方が皆分かると思って言われて・・・。」

『ヒューデガルド君が来たと分りやすいようにしない?』
『じゃあ、僕の商会の刻印を出せば分りやすいよ!』

オーガスタ達に喜んで貰おうと、食べ物や飲み物を色々準備していた時に、マリアから提案をされた。
良い考えだと思った。
皆に認めて欲しかっただけなのに。

「マリアが、マリアが分りやすく商会の刻印をって言うから・・・。」
「ひどいよ、ヒューデガルド君。私はそんなこと・・・言ってないよ。」

声がした方に顔を向けるとマリアと、その後方にはクロームと女性が立っていた。

「マリア??」
「ヒューデガルド君があの馬車で持っていこうとしてて・・・私は止めようとしたけど・・・・でも、これで行こうって強く言われて・・・」

『でも、大丈夫かな?ケガしないかな・・』
『平気だよ!うちの馬車は頑丈だし、これで行こう!!』

確かに言った。
でも、そんな意味じゃない。
道中に馬車が壊れてケガをしないようにと思っていただけなのに。
盗賊を呼び寄せるような事なんて思いもしなかった。

「ヒューデガルド。」

イーゼスに名前を呼ばれ、ヒューデガルドはゆっくりと顔を向けた。
さっきの威勢とは違って、今は驚きとショックで顔が固まっている。

「イー・・・ゼス、僕は本当に・・・皆を。」
「それは俺に言うことではないだろう。」
「え??」

指を指された方向に顔を向けると、オーガスタとアルトが心配そうな顔をしているのが見えた。

「オーガスタ・・アルト?」
「ヒューデガルド、大丈夫?」
「頬、痛くないのか?」
(なんで・・・。)

なんで2人は、そんな顔をするのだ。
危険にさせたというのに。
心配をされる資格がないのに。

「ご・・め・・・。」

涙が流れて顔が見えない。
はっきりと伝えたいのに嗚咽しか声がでない。
多分、顔がひどい事になっているのに2人には隠したくはなかった。
ヒューデガルドは、オーガスタとアルトの所へ一気に走り出した。

「ご~め~ん~な~さ~い!!」

ガシッーー

「オーガスタ!アルト!ごめん、僕の・・・僕のせいで・・・」
「謝らなくて良いよ、ヒューデガルド。」
「全く、酷い顔だな・・お前は。」
「うあああぁぁぁーーーー!!」

ヒューデガルドはそのままオーガスタに抱きつくと、顔をうめて大声で泣き出した。
オーガスタやアルトも、つられて目が潤んでいる。
3人は暫く、そのままたたずんでいた。

「お嬢様は軍師様!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー158512

    続き楽しみにしてます。
    頑張ってください。

    1
コメントを書く