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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

三章 11話 『知られて知らされた』




 前にミツキから聞いた話だが、この世界、ランドソールには100年周期でオレらの様な異世界人、いわゆる冥護人みょうごびとが訪れるらしい。

 冥護人は例外なく天稟てんぴんと呼ばれる強力なオリジナル能力を持ち、彼らが世界に与える力は絶大。

 いわく、冥護人は災禍をもたらす存在。破滅の象徴、排斥の槍玉、なんて揶揄やゆされ、忌み嫌われている。

 どうやらオレらの先代の冥護人、つまりは100年前の先達さん達がその当時大分ヤンチャしたらしく、こんな不名誉な称号を残してこの世から去っていった。

 まったく、もしも会えたら文句を言ってやりたい。

 思えば迷惑な話だ。実際にそれで委員長達はコルドバで大迫害を受けたそうだ。

 まぁ、クラスメイトの二戸生ニコナマリュウトの天稟である『調和のとれた不協和音パラドックス』・・・もとい『記憶をいじる能力』があって、事態は収束したのだが。

 話は変わるが、ヴァルドだのゴロードだの、何とも横文字チックな名前が普通の世界で、オレ達の名前は結構風変わりである。

 和風に風変わりな日本人ネームは、この世界で異彩を放っているのだ。

 とどのつまり、何が言いたいのか、そう。

 前回の冥護人から100年が経っていて、他では聞かない珍妙な名前を名乗り、あまつさえ天稟を有しているオレの存在。

 勘のいい人なら分かってしまうのだ。オレらが冥護人だと云う事に。排斥の槍玉だと云う事にーーー。


「お前、冥護人だろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・!!!」

 ゴロードにそう指摘されたオレは、二の句がつげなくなっていた。

 元来、嘘をつくのが得意な性格ではない。思ったことはすぐ口に出てしまうタイプだ。

 その性格が、今回、盛大に裏目った。冷や汗が溢れる。言い訳のしようを模索しようと、白色の脳内をアチコチ駆けずり回る。

「な、ななな何を根拠に!?!?!?」

「その動揺だと、そうなんだろうな」

「は、はぁ!?もともとオレはセリフどもりガチなだけだっつーの!冥護人とか、ってか冥護人って何だ!?」

 ダメだ。やっべぇトコトンダメだ。弁解しようとして口を回すと逆に疑わしい感じの言い回しになってしまう。

「知らねぇのか?冥護人っつーのはな、要するに一人一人が強力な天稟を持っている異世界からの訪問者ってやつだ」

「・・・・・・!!」

 こうなったら、黙秘権を主張する。これ以上余計な事を言えば本当に色々が終わる。

 案外ゴロードもカマをかけているだけかもしれない。そりゃ100年に一度しか来ないオレらの存在なんて半分迷信の類だろう。

 つまりオレの目的は、ゴロードの口車に乗せられてボロを出さない事だ。

「ーーーまぁ、冥護人自体は大して珍しくもねぇんだけどよ。実際、オイも何度か出先の街で話した事あるしな」

「えっ!?冥護人ってオレら以外・・・・・にもいるのか!?」

 ゴロードがあまりにも事も無げに言うものだから、つい口をついたのは純粋な驚きと疑問だった。

 当たり前だが、口に出した言葉は引っ込めない。頑張ってもせいぜいノドからシャックリのような変な声が出るだけだ。

「ヒクッ・・・!」

 そう、例えばこんな感じの声がーーー・・・。

「すまねぇな。ウソついた。冥護人なんてそうそうお目にかかれる存在じゃねぇもんな。で、お前らがなんだって・・・?」

 は、ハメられたーーーー!!!!

 ゴロードの口元は、してやったりと言わんばかりに弧を描いていた。

 イタズラに成功した子どもの様に目を煌めかせているゴロードのその反応。オレは思っていた反応と違う事に疑問を抱いた。

「こ、怖がらないのか・・・?もしもオレが冥護人だとしたら・・・・・・」

「ふん、随分拍子抜けな厄災もいたもんだな。話に聞いていたのと全くちげぇ」

「そ、それだけ・・・?」

 拍子抜けは、こっちのセリフだ。なにせオレはてっきりドン引きされるとばかり思っていたからだ。

 オレは今、きっと鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしている事だろう。そんなオレの様子を見て、ゴロードは笑みをさらに深めた。

「なるほどな、そりゃそうだ。誰にも言えなかったんだもんな。って事はあのベンハーとかいう御者にも言ってないのか?」

「当たり前だろ。オレらの身の上を知って馬車に乗せてくれる御者なんているわけあるか」

「ほーう、ふふん。子分から聞いたんだが、アイツはどうやら狼人族ウルフィンらしいな」

 ゴロードはヒゲの濃いアゴをガサガサと擦り、ミツキと話しているベンハーさんに視線を移す。

「おーい、御者のアンちゃん!ちょっとこっち来てくんねぇかー!」

「は!?ゴロードさん、何を・・・!」

 オレが当惑しているのもつかの間、ベンハーさんはコチラに歩いてくる。

「何か御用でしょうか?」

 ベンハーさんは大人びた様子の人だ。動物の解体法や食べられる草花の識別などのサバイバルな知識にも通暁つうぎょうしていて、まさに尊敬する人物像を体現した人である。

「おう、実はミキオ達な、冥護ーーー」

「はじめてーのーちゅうーーー!!!」

 言わせてたまるか。オレは大声でゴロードさんの言葉を遮った。

 ベンハーさんはオレの奇行とゴロードさんの発言との整合性がとれず、首を傾げた。

「ええっと、アッシへの用というのは?」

「何でもないっすよベンハーさん!ほら、ちょっとゴロードさんと話したい事があるので、あっちの方に行っててもらっていいっすか!?すいませんね本当に!」

 冗談じゃない冗談じゃない。目的地ももうすぐの今になって、馬車から叩き出されてみろ。時間制限ギリギリのミッションは完全に破綻する。

 それはつまり、ミツキを助けられないという事だ。絶対にダメだ。ゴロードさんには後でじっくりとお灸を据えてやろう。

「そいつ、冥護人だぞ」

 ・・・・・・・・・ぁ?

 ベンハーさんはしかし、ゴロードさんの言葉を聞くや驚いた様子もなくーーー

「はぁ、知っていましたよ?」








 















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