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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

三章 5話 『賞金首以上の対価』




「オイの首は金貨50枚の値がついてる。普通の市場に行きゃあ店の野菜全部買って余りある金さ。悪い話じゃねえだろ?」

 眼前でアグラをかき、ミツキと向かい合っている盗賊団の長、ゴロード。

 その顔は酷くやつれていて、現在アグラをかいたままで交渉をしているのも既にゴロードの脚が満足に機能していないからなんだと思う。

 丸太の様に太い腕も無数の裂傷れっしょうが目立ち、指先は剣を握り締めすぎて血が止まり、白くなっている。

「・・・・・・・・・っっ!!!」

 そんな満身創痍まんしんそういの元豪傑の目は、しかし真っ直ぐに、力強くミツキを射抜き、微かに漏らした吐息は、闘志を含んでいた。

「・・・ふざけんじゃねぇ!そうだろみんな!!この親分は!今まで必死こいてここまで運んできた恩を!忘れて自ら死を選んじまったらしい!!」

 激昂げきこうしたのは、むしろゴロードの部下だった。彼は先ほどの戦闘で先陣切って突っ込んでいったうちの1人だ。

 天をく双角のカブトをガタガタと震わせ、ツバを飛ばしながら言葉をまくし立てる。

 恩着せがましい文言だが、その語調は痛ましく、どこかすがる様ですらあった。

「アンタ、本気で言ってんのか!?なぁ、ゴロードさん!アンタがここまで俺らを連れてきたんじゃねぇんだ!」

「俺らが!アンタと来てぇから来たんだ!!アンタと一緒なら、みっともなく敗走したって構わなかった!またどっかでやり直せると思ったから来た!!それをアンタ、自分勝手に!!終わらせちまうってのかよ!!!」

「ーーーーー・・・・・・・・・バッファ」

 ゴロードは厚い唇を重々しそうに開き、背中越しに語りかける。

「お前は団で一番古株だ。しらねぇ筈はねぇだろ・・・?オイの意向に反対したかったらそれで良い。その後、なにで最終決定になる・・・?」

「団員の・・・!多数決・・・・・・!!」

 ゴロードの子分、バッファと呼ばれる男は愕然がくぜんと息を呑み、直後、背後にいる子分仲間たちに激怒する事になるーーー・・・。

「お、俺は・・・ゴロードさんの意向に従う」

「俺もだ・・・。お、親分の決定に、逆らっちゃならねぇ・・・・・・!」

「ぼ、僕も、その方が良いと思い、ます」

 バッファ以外の子分たちは口々にゴロードの決定を肯定する。

「・・・・・・ッッ!!!」

 バッファはそれを聞き、辺りにひりつくほどの殺気を漏らした。振り向く直前のバッファはまさにブチ切れており、事実、腰元の剣に手を伸ばしていた。

 しかし、彼らの対面にいるオレたちは分かってしまう。

 殺気を込めた瞳で、彼らを見る直前のバッファも、ややもすれば意志の強い瞳で真っ直ぐミツキを見るゴロードも分かっていない、彼らの、言葉以上の本意を。

「・・・お、前ら」

 ゴロードの子分、そのだれも彼もが、顔をグシャグシャにして、必死に本音を抑え込んでいる。

 大の大人が十数人。奥歯を食いしばり、握る拳は血が滲み、ポタポタと垂れて乾いた地面を黒く染めていた。

「はぁーーーーー・・・・・・」

 途端、ゴロードが野太い声でナニカを言ったのだが、既にその場を離れていたオレには聞こえなかった。

 次にオレがゴロードを真正面に捉えた時、ゴロードは、その子分たちは、驚愕に目を剥いていた。

「樽に入った水、15個。保存用の干し肉とその他の食料、200袋ちょい。万能御者のベンハーさんはテキトーに獲物を狩ってくりゃあ血抜きして即座に食えるようにしてくれる」

 鎖に変貌したオレの10指と腕から伸びるもう数本の鎖は馬車に備蓄してある全ての食料と水にくっつき、ゴロードの前にドサッと置いた。

「おい、ボウズ、オイはまだこの首を差し出しちゃいねぇぞ」

「要らねえよ首なんざ。生々しくておっかない。それよかもっと欲しいもんがあるんだ」

「・・・なに?金貨50枚より欲しいものなど何がある?」

「初手で金貨200と2枚をゲットしたオレらに50枚ぽっち、はした金だって。オレらが今、ノドから手が出るほど欲しいのは、アンタの子分が着ているソイツだよーーー」

 



 















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