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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

コラボ章 12話 『風に舞って巡り逢う』




「・・・ッッ!」

「・・・・・・ッッ!!」

「・・・・・・・・・ッッ!!!」

「勝っっっっったーーーーーーーッッ!!」

 爆風に散る閃光、モウモウと立ち込める黒煙も晴れて、辺りが再び殺風景なソレに戻ったとき、オレは、原ちゃんは、サイトーは、あらん限りの快哉かいさいを挙げた。

 ヘロヘロにクタクタの体で、それでも手を取り合って小躍りするくらいに嬉しいのは強敵を打倒した達成感に他ならない。

「ミキオ、お疲れ様ぁ」

「お、ミツキ!すっげえじゃん、超助かったぞ!」
 
 鉄人形ゴーレム討伐の際、ある意味キーパーソンとなったミツキだ。

「木霊ザルのとき結局使わなかった火の魔石をあそこで使うとかミツキマジリスペクトだわ」

 見た目ズタズタのボロ雑巾の割に、原ちゃんは平時通りのおどけた口調でミツキに声をかけた。

「・・・おつかれ、ミキオ」

「ん?マドリ、どうしたんだ?目のトコ赤いぞ」

「べ、別になんでもないけどっ!?」

 マドリは目のあたりを両腕で隠しつつ白銀のツインテールで楕円だえんに空を切った。

「マドリねぇ、さっきまでは涙目になって『ミキオが死んじゃうぅ』とかーーー」

「わーっ!わーっ!『リリーフぅ!!』」

 マドリは強引にオレの頭をムンズと掴むと一息に治癒の呪文を詠唱。

 マドリの手から発せられるエメラルドの光がオレの体を包み込んで疲労感がスッと抜けていく。

「ーーーそういえば鉄人形ゴーレムを倒したわけだけど、ミッションはどうなったの?」

 柔和な声が聞こえて、首を巡らせる。サイトーだった。

「あ、たしかに。まさかもう一体居たりしないよねーーーーー」


 パンパカパーン!!!


 恐々こわごわとマドリがそう呟くなか、突如虚空からけたたましいファンファーレが鳴り響いた。

「な、なんだ!?」

『コラボ特別ミッション達成オメデトウゴザイマス!今回ご贈呈させてイタダク達成報酬はコチラデス!お納め下サイ!』

 調子の外れた聞き慣れない声が何処からともなく耳朶じだを打ち、次いで空から舞い落ちてきたのはA4サイズの紙だった。

「何?この紙。ええっとーーー」

 マドリがキャッチして、紙に書かれた文を読み上げる。

『この紙に一定以上の衝撃を与えれば元の世界に帰れます』

 端的に、そう書いてあった。

 むしろそれ以外の情報を全て排した様な、真っ白な紙片だ。

「衝撃?ブン殴ればいいのか?」

「原始の人レベルのコメントありがとミキオ。破れば良いんじゃない?」

「普通に訂正してくれませんかねぇ!?」

 思えばマドリの毒舌も久々だ。そう思うと感慨深かったり・・・無いな。うん。微塵もない。

「って事で・・・」

 改めて、サイトー、原ちゃん、光希を見る。

 たった数時間前に初めて会った程度の仲、そう言ってしまえばそれまでだが、何故か、彼らからはそれを超えた縁がある様な気がして、何というかーーー。

「お別れ、だな」

「・・・ああ、そうだな」

 ポツリと零したオレの言葉に、原ちゃんは静かにそう答えた。

「その、ありがとう。サイトーたちが居たから、鉄人形ゴーレムを倒せた、ってか、居なかったら、倒せなかったと思う」

「・・・別に、そんなこと」

「いや、絶対にそうだった。だからもう一度、助けてくれて、ありがとう」

 深々と、頭を下げていた。オレに倣って、マドリとミツキも腰を曲げる。

「ーーーじゃあ、これで」

 マドリに目で促すとしかし、マドリは紙を持った手をこっちに突き出した。

「・・・ミキオが破って」

「ん、分かった」

 紙を受け取ろうと手を伸ばした瞬間ーーー

「あ」

「あ」

「あ」

 突如吹き抜けた突風に煽られて、紙は、果たして大空に飛んで行った。

「ちょ、おいおいおい!!?待ってくれーー!!」

 すかさず右手人差し指の超常を解放し、空に舞う紙を追いかけるーーーが、届かない。

「・・・・・・・・・」

 重苦しい沈黙が辺りを席巻して、原ちゃんの乾いた眼差しが図らずもぶつかった。

「・・・探してきまーすッッ!!」



ーーーーーーーーー


 渓流を少し行ったそこは森だった。

 乾燥した小枝を踏みならしながら、オレは目を皿にして例の紙切れを探している。

「多分、ここら辺に飛んでったよなぁ。お、あった!」

 全長数メートルの木、そのてっぺんに紙が引っかかっているのを発見して、オレは胸を撫で下ろす。

「あんなに高いところに探し物があっても、問題なく届くんですよ。そう!天稟ならね!」

 森閑とした森で1人、ハイテンション気味に超常を解放して、一歩前に踏み出すとーーー。

「ーーーえ?」

 恐らく何かを踏み抜いて、右足首が締め付けられ、次の瞬間、世界が上下逆転する。

 ーーー何が起きた?何かに、足をとられて逆さ吊りに?何かってなんだ?

 重力に耐えかねてギシギシと痛む足首を見る。何も、無い。

 不可視だ。不可視の罠にらわれたのだと気づいたのはもう少し先の事だった。

「かかりました!!イヌマルくん!お願いします!」

「任せろ委員長!」

 静謐せいひつだった森に響くソプラノ声、そして次いで聞こえた男の声。どちらも確かに聞き覚えがあった。

 が、記憶を巡らせている時間は無い。

 棒を構えた男たちが、一斉に襲いかかってきたのだ。

 オレはそんな彼らを見て、二度、息を呑んだ。

 一つはその男たちは、全員、一纏め・・・で知己の人間である事。

 そしてもう一つは、1人であるはずの彼が、三方向から迫ってきた・・・・・・・・・・事だ。

「お前っ!永犬丸エイノマルーーーぐぇ!?ヒグッ!オゴォ!!?」

 有無を言わさず三箇所を棒で滅多打ちにされて、空気を多分に含んだ嗚咽を漏らした。

「ふっ、ムギヤの言った通りだったな。追い詰めたぞ瀬屑!!ーーーアレ?ちがくね?」

 同じ服装、同じ背丈、同じ顔貌の3人の少年はやはり三者同様にキョトンとした目でオレを見た。

「イヌマルくん!あまり強く殴ってませんよね!?アズミくんだってクラスメイトの1人でーーーあれ?」

 現れたのは、三つ編みおさげの真面目系少女だった。縁の赤いメガネの奥に、驚愕の色が映っていた。

「おーい、こっちの罠にかかったらしいぞー。集合してくれー。ーーーマーメイドじゃん」

 伸ばしきった群青の髮、覇気の無い顔には見覚えがある。

 木々の裏からワラワラと出てきた少年少女。

 頭数7人。しかしこれは適切な数字では無いかもしれない。

 今しがたオレを棒で襲撃してきたこの3人の男たちは、まるでドッペルゲンガーの様に同じ顔貌をもっていたからだ。

 と言うか、死ぬほど顔見知りだった。なんなら、クラスメイトだ。

「・・・説明してもらっていいっスか?」



「ーーーーーー成る程、委員長たちもこの世界にいきなり転移させられたのか」

「はい。それでこの森を探索してたら瀬屑くんとバッタリ再会してーーー」

「アイツ、出会うなり襲いかかってきたんだわ。千波チナミの天稟が無かったらうっかり死人が出てたな」

 委員長の説明にムギヤが補足する。

千波チナミの天稟って・・・?」

「『視認した天稟を無力化する能力』です。それでアズミくんの天稟は多分、『物質を塵に変える能力』だと思います」

「んな物騒な・・・!」

 最悪なヤツが最悪な天稟を持っちまったのか。

 戦慄混じりの声を漏らして、オレはブルリと身震いした。

「あ、今ミキオくんがかかった罠は私の天稟で作ったヤツですよ」

「委員長の天稟って確かーーー」

 『非物質を物質化する能力』。だとすれば、さしずめ空気を物質化したんだろう。

 不可視で、不可避の罠だ。タチが悪いにもほどがある。

「そういえば他のクラスメイトたちはどこ行ったの?姿が見えないけど」

「瀬屑くん探しと、あと並行して鉄人形ゴーレム討伐をやってます。安否確認は私の『アイテム』で出来るので皆さん何チームかに分かれて」

「『アイテム』?」

 聞き慣れないワードだ。いや、道具、という意味の英訳の可能性もあったが、この場においてその理解は不自然な気がしたのだ。

「あ、前のミッションの達成報酬です。髪の毛を鏡面に入れるとその人の現在地や簡単な喜怒哀楽なんかが分かるんですよ」

 委員長はポケットに入れていた手鏡を出してオレに見せた。

「使い方次第でストーカー御用達ごようたしみたいな代物だな・・・」

 というか、目下ミッション期限ケツカッチンなオレにとって『前のミッション』と言えてしまうのがとても羨ましく思えた。

「うん。大体分かった。委員長たちも大変だったのな。でもさーーー」

「いい加減頭に血が上ってきたから、この逆さ吊り状態どうにかしてくれない・・・?」

 

「ーーーーーーご、ごめんなさいミキオくん。まさかミキオくんに会えるとは思ってなかったので驚きが先行してしまって・・・」

「ぃや、いいよ。怪我はして無いしさ。・・・ゴメン訂正。三度ほどぶっ叩かれたけど」

 正直マドリに治癒してもらった直後に再び傷ができるとは思いもしなかったが、まぁ、何も言うまい。

「ふん、紛らわしい所に居るのが悪いのだ」

 不機嫌そうに眉間にシワを寄せている紫髮の少年、永犬丸エイノマルブンタはフンと不遜ふそんに鼻を鳴らした。

「・・・なぁ、委員長。オレの目の錯覚じゃなけりゃコイツ、ただでさえ憎たらしいコイツの分身が二体いるように見えるんだけど」

「イヌマルくんの天稟ですよ。『切った爪が自分の分身になる能力』です」

「おい貴様、俺の顔を憎たらしいと言ったか?いいだろう、貴様の顔、二目ふためと見られぬ出来にしてくれるッ!」

「落ち着けバカ。すまん加藤。コイツ瀬屑にさっき殺されかけて気が昂ぶってるんだ」

 激昂し、棒を振り上げた3人の永犬丸をムギヤは押さえつけ、なだめすかす。

「・・・どーでも良いけど、まさか加藤ミキオ1人って訳じゃないでしょ。少なくとも安倍と、鏡山はどこに居んの?」

 群青のポニーテールを指先で弄びつつ、気だるげな声音でオレに問いかけたのは北村ホナミだった。

「あぁ、ここからちょっと行った所で待ってる」

「ーーーヤバいかもね」

「え?」

「ただでさえ神出鬼没な瀬屑だし、森中探しても居ないってことはもしかしてそっちに行ってる可能性もーーー」

「ミツキたちが、危ない・・・!?」

 想起した最悪が一瞬現実味を帯びたソレに姿を変えてオレの心を突き刺した。

 ゾワリと肌を撫でる冷たいその感触に居ても立っても居られず、オレは弾けるようにその場を後にした。










 どうも!キズミ ズミです!!

 
 ・・・・・・。すいませんでしたっ!!


 前回あたり『次の話で終わります』的なこと言っといて終わりませんでした。アレです。いつもの。


 いざ書いてみると想定の50倍くらい文字数が膨れ上がる現象。


 とは言え流石に次回で終わると思いますし、割と早めに更新出来るとも思います。(テスト期間)


 イイね、フォロー、コメントよろしくお願いします!


 










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