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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

コラボ章 5話 『強さ番付2位の実力』




 地を踏みしめる度、乾いた枝がパキパキと小気味良い音をたて、木々の隙間から何本もの木漏れ日が差し込んでいる。

 そんな森林の懐で、行軍しているのは男3人。

「へぇ、秘境   イルシアかぁ。面白そうな所だねぇ」

 歩きながら、長身痩躯の男、ミツキはアゴに手を当て興味深げに吐息を漏らす。

「そーだろ!行き着いたのは偶然なんだけどな、村の人たちがとにかく面白いんだっつの!」

 ミツキより少しだけ前を歩いている運動部然とした男、原は振り向きざま、快活に笑った。

「ベジタリアンな狼族ウルフィンとか目玉が2個ある一ツ目族サイクロプスとかエロ本大好きな天狗のオッさんとかな!」

「・・・まぁとにかく、色んな種族の、言い方は悪いけれどハズレもの達が十把一絡げに暮らしてる種族の坩堝るつぼなんだ〜」

 原の後に続き、行軍の最後尾にいた柔和な顔の男、光希がイルシア、という村の総括をする。

 
「何というか、文字通り異世界冥利に尽きるような村だねぇ。ミキオやマドリが居れば絶対に羨ましがるよぉ」

 ーーー自分とは違い、感情表現が豊かな彼ら・・・マドリって彼と彼女どっちにカウントされるんだろう?

 益体も無いことを考えながら、ミツキはまた自分の立場を思い出して暗澹あんたんが胸にわだかまった。

 そんなミツキの懊悩おうのうをまるで知る由が無い原は、頭を掻きながら低く唸る。

「つってもアイツら何処行っちまったんだろうなぁ。サイトーはともかく、ミキオとマドリは戦えるのか?」

「魔物との戦闘って意味だったら、ミキオはまず心配ないよぉ。問題はマドリかなぁ。何しろ、回復魔法専門だからねぇ」

 口調こそ豪気なマドリだが、単独で魔物に襲われたらひとたまりもない。

 せめて自分たちと同じように、知り合いと合流できればいいのだがーーー。



 ーーーーー時間は前後するが、数十分前、ミキオ、ミツキ、マドリ、サイトー、原、光希は突如発生した濃霧によって意識をなくし、転移した。

 ミツキが目を開けた時、そこは先ほどまで全員が一堂に会し、自己紹介に花咲かせていた渓流ではなく、見知らぬ森の真ん中で光希と原が並んで寝ていた。

 それから今に至るが、正直心配事に尽きない。

 ミツキの場合、うっかり取り乱して天稟を暴走させようものならば、取り返しのつかない事になるのは自身が最も理解していた。

 そんな中で、原の存在は実にありがたいものだった。

 原はイルシアからも近いこの森を修行の場所として頻繁に通っており、ミツキにすれば未知のこの森も、原には既知のものに他ならない。


「ーーー話は変わるけどよ、逆に、異世界に来て大変だった事とかあるか?」

「・・・うーんそうだねぇ。そりゃ驚いたけどぉ」

 原の唐突な問いかけに、ミツキはしばし押し黙る。

 ーーー本人は不本意だと唇を尖らせるだろうが、そういった厄介ごとや苦労話のたぐいなら自分ではなくミキオの専売特許だろうと思った。

 異世界に飛ばされてから数日間、たったそれだけの間にミキオは枚挙にいとまが無いほど様々な艱難辛苦かんなんしんくを乗り越えて来たと言えるだろう。

 無数にあるミキオの失敗談諸々、どれを語ろうかと考えている最中だったが、原はミツキが答えにきゅうしたと思ったのか自分から口火を切った。


「オレはあるぜ・・・。異世界に来た弊害へいがい、いや功罪こうざいと言うべきか・・・、まるで自分の半身を取られちまったのさ」

 普段おどけた口調の原とは一転、声のトーンはショボくれて、顔におとした影を見られたく無いのか片手で顔を半分覆った原に、ミツキはゴクリと唾を呑んだ。

「ーーーその、功罪って・・・?」

 原は待ってましたとばかりにフッと笑うと大きく息を吸い、

「アニメが観られねぇんだよおぉぉおお!!」


「・・・へ?」

 斜め上な回答に、虚空を踏んだかのようにミツキは片膝を曲げて態勢をくずす。

「『君の居た惑星』、『妹は天使で小学生』、『可愛い娘はみんな嫁!』、等々。特に今期は観るアニメ多くて豊作だったのによぉ!」

「この世界にはテレビどころかまずアニメって概念が無ぇ!!おッかしいだろこんな世界!頭沸いてんのか!」

 原の剣幕に、とてもじゃないがミツキは『沸いてるのは君の頭だ』なんて言えなかった。

「アニメねぇ。ボクはあんまり知らないけど確かに、テレビとか、そういう情報媒体が無いのは不便だよねぇ」

 奇妙ではあるが、強引に話の落とし所を見つけたミツキは僅かばかり同調した後で会話を終わらせようとした。

 ーーーしかし、

「えぇ!?ミツキ、アニメ見た事無いのか!?それ人生半分くらい損してんぞ!」

「うぅん、ぃや、少しはあるよぉ。例えば・・・『ワンピ』、とかぁ」

 『ワンピ』とは、国を代表する少年漫画の金字塔、そのタイトルだ。

 以前ミキオに勧められて以来最新刊が出るたびに購入しているので、その派生形のアニメもまた、少しではあるが観たことがある。

「『ワンピ』かぁ!ど定番だけどオモロいよな」

 と、言っておもむろに原は右手を振り、一振りの刀を創りだした。

「ーーーよぃ・・・ッ!!」

 予備動作無しに、原は刀を下から上へ一閃。

 寸断された毛むくじゃらの断面から、遅まきに血が噴出するのを理解するのに、数瞬。

「ギ、ギィアアァァァア!!!」

 森閑としていた森を席巻せっけんするのは、茶色い魔物の断末魔。

「あちゃ、木霊ザルかよ。面倒なヤツ斬っちまった」

 原の頬に冷や汗がつたい、絶句から解放されたミツキが久し振りに息を吸った。

「木霊ザル・・・?確か、生息区域を森に限定し、常に群れで行動する魔物、だったっけ・・・?」

「おぅ、ミツキよく知ってんな。コイツらは森全体を縄張りにしてる。姿こそ一回り大きいだけのプレーンなお猿さんだが動きは速ぇし爪が超、鋭い」

 原は困ったような吐息を漏らして真っ二つになり絶命した木霊ザルを睥睨へいげいする。

「そんで何より、1匹殺すと100匹の仲間が仇討ちにくる・・・!!」

 辺りに自分たち以外の、無数の荒い息遣いが聞こえることに気づいてミツキは顔を強張らせた。

 木漏れ日が差すとはいえ、昼間から薄暗い森の中、木の上から向けられる無数の熱視線は間違いなくミツキたちを射殺した。

「100匹・・・?」

 ーーー冗談じゃない。もっといるぞ・・・・・・

 森が薄暗くなったのは、太陽光が木で隠れているだけじゃ無い、太陽が雲に隠れた訳でも無い。

 ーーー・・・木の葉が覆い隠されるほど、居るんだ。

 サルたちが・・・たくさん。

「繁殖期か・・・?よく見りゃジャイアントもチラホラと」

「ーーーッ!原ちゃん、ミツキ、逃げるよ〜!!」

 いの一番に走りだしたのは光希だった。

「森の中は僕たちにはアウェイ過ぎるよ、木がなくて、ひらけた所ならまだしもね!」

 光希より半歩遅れて原とミツキも追随する。

「俺も光希の意見に賛成だ!ーーーつっても・・・」

「全員付いてきてるよぉ。ボク達より速い・・・!」

 1匹あたりの大きさと重さは大したことないが、それが何百匹も徒党を組んで猛然と走ってくれば、地鳴りのような音になる。

 ミツキ達と木霊ザルの距離は刻一刻とゼロに近づいていっている。

 原だけならサル達から逃げ切ってもいいし、最悪迎え撃つという手段もある。

 が、ミツキと光希をおもんばかりながら、となると与えられた選択肢は限りなく少ない。

 追いつかれるのも、時間の問題。

「ミツキ!何か時間稼ぎができるモンあるか!?」

「・・・コレ高かったんだよねぇ。背に腹は代えられないけどさぁ」

 刹那だけ逡巡した後、ミツキは赤の光芒を纏う、赤熱した小石をポイと後方に投げ捨てた。


 ドオォォォォン!!!


 空気が爆ぜ、鼓膜を突き破る様な爆砕音の後、熱を伴った衝撃波が瞬間的に3人の背中を炙った。

「熱っっっつぅぅ!!?ミツキ何したんだよ!?」

「説明は後でねぇ。前、森を抜けるよぉ」

 森を抜けた先、そこには辺りをグルっと森に囲まれた平らな更地があった。

 例えるなら、広大な森の真ん中にある十円ハゲの様な所だ。

 更地の中央まで駆け抜けて、ピタリと走行を止めると原は森を睨んだまま、ミツキに問いかける。

「ミツキ、さっきのアレ、爆弾でも持ってたのか?」

「アレは火の魔石だよぉ。普通に使えば火種になる便利な石だけど、込めた魔力が魔石の限界値を超えるとオーバーヒートして大爆発を起こすんだぁ」

「・・・で、あと何個、魔石がある?」

「元々買った魔石は2つ。1つはサイトーに吹き飛ばされた火の魔石を回収してさっき使ったから、残りは1つだけ」

「オーケ、極力守る様にするが、ヤバかったらそれ使ってくれ」

 原はそうとだけ言うと血に濡れた刀を捨て、新しい太刀を創りだした。

 視界の先、森の中でギャァギャァと鳴く木霊ザルを見据える。

 こちらの様子を伺っているのだろうか、まだ陽の下に姿は表していないが、時間の問題だろう。

 と、先走った木霊ザル、否、ジャイアントが単身こちらに猛然と走ってきた。

 ジャイアントはサル、と言うよりゴリラの様な姿の魔物だが、時速何十キロという速度であっという間に距離を詰められた。

 ダンプカーの如き威力は想像に難く無い、ジャイアントの突進が今、原の身体に、衝突してーーー!

「かぁらッッ・・・!!!」

 瞬間、スローモーションに見えた世界で、血の花が咲いた。

 裂帛れっぱくの気合を以って放った斬撃がジャイアントの巨大な体躯を細切りにして、原を起点に血臭混じりの風が発生する。

「俺の心配とかすんなよ。ミツキーズ」

「サイトーにゃギリ及ばねぇかもだが、俺のクラス内強さ番付は堂々の2位だぜ!!」

 返り血で濡れそぼった髪を後ろにかき揚げて、原は朗々とそう言った。










どうも!キズミ ズミです!!


今回はずいぶん早く更新できました(これが普通)。


原ちゃんは個人的に色々愛着のあるキャラなのでタイピングする手にも熱がこもりますよ!楽しい!


後書きとは言え、あんまり書くこともないのですが、取り敢えずセルフ質問コーナーやります。


Q・・・原ちゃんはクラス内強さ番付2位って言ってたけど『光を操る能力』の神崎さんや『植物を操る能力』の木澄より強いの?


A・・・結論から言えば、強いです。能力的には神崎、木澄の方が秀でてますが原はその能力差を帳消しにして余りあるほど身体的スペックが高いので。



って事らしいです。作者のAkisanに聞いたから間違いない。


・・・今更ながら、1人で何やってるんだろう感がこみ上げてきました。もうすぐテストなのに・・・。


まぁさておいて、次回は戦闘回です。


ネタバレかどうかは微妙なラインですが、実は僕の作品、剣を使って戦うやつが全くいないんですよ。


剣と魔法の世界なくせに。


正直、原ちゃんの剣戟を描写したくてコラボの打診を受けたくらいですから、もう超楽しみです!!


てことで、乞うご期待です!!!













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