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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

コラボ章 1話 『クロスオーバー』



 一章、二章がアホ長くて読む気になれねぇ、って方。

 コラボ章は本編から独立した物語なのでこっから読み始めても可です!








 コルドバ、ひいてはヴァルドたちと別れてから数日経った。

 つまり、オレ、ミツキ、マドリは馬車に揺られ続けること数日。

外はどこまでも続く変わりばえのしない大草原。

いい加減飽きて来た。

「次のお題、産卵期のサメ」

マドリの無茶振りにも、この数日で慣れたものだった。

「合点承知!ホイホイホイッと」

 オレは鎖に変貌した10指を小器用に操って束ね、獰猛そうなサメの形を作り上げた。

「おお!凄いめっちゃ良くできてる。50点!!」

「感想の割に採点辛口過ぎじゃね!?」

 暇にかまけて、2日前生み出したオレの天稟を活用した遊び、鎖絵。

「次のお題はぁ、サグラダファミリア」

「難ぅ!?」

 ミツキとマドリからのお題は回を重ねるごとにその難易度を上げていき、最終的には各々、インスピレーションだけでモノを言っていた。

作成者の苦労も少しは考えてくれよぉ・・・。

が、そこは鎖絵キャリア2日のオレである。

 この2日間、それしかやる事が無かったオレの鎖絵はもはや芸術の域に至っていた。

「確かこんなんだったろ、サグラダファミリアッ!」

 鎖を何メートルも伸ばして組み合わせ、作り上げたその教会の出来に、マドリは感嘆を漏らした。

「最初は指が鎖になるだけのゴミ能力かと思ったけど、使い方次第で人を感動させられるんだね」

「お前やっぱちょくちょく毒吐くよなぁ!」

 マドリは目尻の涙を拭う仕草をした後、ふぇ?とばかりに首をかしげる。

 数日間マドリと寝食を共にしたオレなのだが、やっぱコイツあれだ。

 目の前の美少女、マドリ、こいつ天性の煽りの才能がある。

 今まで意図して毒を吐いてるのかと思っていたが、マジで自覚が無いのだ。

「いやまぁもう慣れたから良いけどな・・・」

 解放していた超常をニュートラルに、すなわち鎖を再び指に戻す。

 自分でも割と満足のいく作品だったサグラダファミリアは指の根元から巻き取られていく鎖の為、徐々に形を失ってゆく。

 鎖を回収している間、マドリがボソリと「掃除機のコード・・・」と呟いたのは意図的に無視した。

馬車の隅に背中を預けて、ふと外を見る。

 風を切り、目まぐるしい速さで馬は走っているにもかかわらず、景色はやはり青くさい草原に埋め尽くされていた。

「あ〜〜〜、ミツキぃ、あとどんくらいでマラケシュ村に着くんだ?」

「経過日数から見て、やっと半分ってとこかなぁ」

「まだ半分もあるの・・・、いい加減お風呂入りたいなぁ」

 パタンと読んでいた本を閉じてそう言ったミツキの言葉にマドリは目を伏せて落胆した。

「思ったんだがマドリって本来は男だろ?女体化した今は一人称変わってるけど、思考とかはやっぱり男だった時と変化してんの?」

 自身の天稟によって、強制的に性別が変わったマドリ。

 異世界転移前にさほど深い関わりがあった訳では無いにしろ、現在、暫定女子のマドリの言動は、転移以前とは少々違うように見える。

「うーん、あんま考えた事無かったなぁ。ワタシって言ってるのだって指摘されるまで気づかなかったし」

「よく分かんないやっ!」

 マドリはしばし自問するもすぐに投げ出し、ニコパっとした笑みで微笑んだ。

「でも、ワタシの天稟の本質は、ただこの姿になるだけじゃ無い気がするんだ。例えるならそう、ミキオみたいなジミジミ能力じゃ無いような」

「一言多いんだよお前は!」

 マドリが自分の胸を抱いて目を瞑る様は、一枚の絵の様に完成されていたが、直後吐いた毒にオレは唾を飛ばした。

会話に奇妙な落としどころが見つかり、馬車内に沈黙が訪れた。

 オレは更なる会話の接ぎ穂を探そうかと何気なく外を見ると、頬に水滴が当たる。

「ん?雨か」

 遮蔽物一つ無い広い大空には雲霞がかかっていて、次第に強まる雨足を呼び水に、遠いところに雷が落ちた。

「ミツキさん方!霧が濃すぎてこれ以上進めません!今日はここで野営しましょう!!」

 馬の手綱を握っていた御者のベンハーさんは御者台とオレたちが座っているキャビンを繋ぐ小窓を開けてそう言った。


ーーーーーーーーーー


 その夜、ふと目を覚ましたオレは何者かの気配に気づいて身を強張らせた。

 近くにいたマドリとミツキを突いて起こすとそろりとキャビンのドアを開き、外の様子を伺う。

 冷たい夜露が気化した大気が顔を撫でて、背筋にゾワリとナニカが伝う。

「あの霧の向こう、人の気配がする・・・!」

 いや、この気配は人のものか、もっとつかみ所のない、眼前の霧の様な気配だ。

気配はズンズンとこちらに向かって来ている。

 それなのに、姿形は見えず、やがて霧がオレたちを呑み込むと耳元で、聞き慣れない誰かの声がした。

「『コラボ企画』」

「ーーーぇ?」

 逡巡の余地もなく、いつのまにかオレたち3人は意識を霧散させていた。



ーーーーーーーーー


「ーーーーーーーはっ!?」

 一瞬ぶりか数時間ぶりか、時間の感覚が曖昧だが精神と身体が一致した時、オレは小川のせせらぎが聞こえる昼間の渓流で立ち尽くしていた。

「あっ、やっと起きた。おそようミキオ、どうやらワタシたち、どっかに迷い込んだみたい」

「ぇ?それ、どういう・・・?」

 まだ意識を失う前の記憶が判然としていなかったが、だんだんと思い出していた。つまりーーー

「あれ!?馬車はどこにあんの、つか、なんで大草原からこんな渓流に・・・?」

ミッションの期限まであと10日程しか無い。

 早くマラケシュ村に着いて、武具を揃えなければいけないのに・・・!

いや、オレはどのくらい意識が無かったんだ・・・?

 目覚める前が夜だったのに、起きたら太陽があんな高いところにかかっている。

 もう・・・昼か、穏やかな光が辺りに等しく降り注いでおり、小鳥のさえずりさえ聞こえるほどのご機嫌な陽気だ。

 しかしオレの胸中には無理解と焦燥のみが支配して、状況の判断に勤しむ。

「燃えそうな木の枝を集めてきたよぉ、あ、ミキオ起きたんだぁ」

 視界の端、森の中から、見慣れた長身の少年が姿を現す。

 声音はいつもの間延びした穏やかなもので、オレは若干面食らった。

「ミツキ、どうなってんだよ!もしかして誰かに転移させられたのか・・・?」

 あり得ない事だと思いつつも、可能性としてはなくは無い。

 オレたちはかつて、教室からランドソールまでそうされたのだから。

「多分、そうだろうねぇ、でも落ち着いてミキオ、コレはボクたちに有害なものじゃ無い気がするんだ」

「どういう、事だ?」

 ミッションクリアの期限に追われて焦っていたオレは、ミツキの取り澄ました声音になだめられて緊張の風船をしぼめていく。

「霧に包まれる寸前、声が聞こえなかったぁ?」

 記憶を巡らせるまでもなく、思い当たった。

「ああ、なんか、『コラボ企画』って誰かの声が」

『コラボ企画』何の事なんだろう・・・?

 思い当たる節は何にも無いし、しかしオレたちはその『コラボ企画』とやらのために転移したのだろうか?

「うん、ボクも聞こえたんだぁ。で、この転移は危険なものじゃ無いって直感した」

「なんでだ?」

「なんとなく」

 なんとなく、か。まぁミツキの勘は大体当たるからバカにしたものじゃ無いな。

「まぁそれだけじゃ無いんだけどねぇ」

 ミツキは羽織っていたブレザーの胸ポケットから一枚のA4用紙を取り出して、オレに見せてきた。

「ん?これは・・・ミッション指示書!?」

「うん、ボクが起きたところに置いてあったんだぁ」

「えっと、なんて書いてあるんだ・・・?」


『コラボ特別ミッション、鉄人形ゴーレムを討伐せよ』

『制限時間  無期限』


「コラボ特別ミッション?」

 見慣れない言葉と、ミッションの重複、それら全てが交錯してオレの頭はいっぱいの疑問符で埋め尽くされた。

「通常、ミッション指示書はミキオが持ってる様な謎の箱から出てくるものだけどぉ、この指示書はそれとも違った」

「ちょっとこの転移は他のとは例外な感じがあるんだよぉ、だからボクらは、現状どうにもできない」

「ーーーまぁだから取り敢えず、ご飯、食べようか」

 オレはミツキに促されるまま肩の力を抜き、大きく吐息を漏らすと腹が空腹を訴えた。



ーーーーーーーーーーー



「がんばれーミっキオ、すっごいぞミっキオ」

 感情のこもってない応援を背中で聞きながら、オレは血眼で乾いた木々を擦り合わせていた。

「ふぉぉぉぉぉ!!火ぃ、つけぇぇぇぇ!!!」

 現在オレがトライしている行為は、イメージ的に原始人がよくやってそうな、木同士の摩擦力で着火させる有名なアレだ。

 近くに渓流があるわけだし、魚をとって食べようと3人の意見が合致した先ほど、先ずは大元の火をつけなければ始まらない。

 なので、その役はやはり人域を超越した身体能力を誇るオレの出番だ。

 一心不乱に木々をこすって20分。

 シュゥーーー、みたいな音はするのだが煙のけの字もあがらない。

 それでもオレの持つ全ての力とパワーを眼前の木々に注いだ。

 ーーーパキン、と小気味良い音がしてこすっていた木々が同時に割れた。

「・・・・・・出来るかぁ!!」

 半分くらい割れた木々を地面に投げ打つ。

 と、いつのまにかマドリからの気のこもってない声援が途切れていることに気づいた。

 汗ばむ額を手で適当に拭うと背後を振り返る。

「んしょ、んしょ、よし!出来た!」

 マドリは小さめの、キャンプファイヤーのヤグラみたいなものを組み立て終えるとニパーっと爛漫に笑った。

「マドリ何やってんの、つかもう火ぃ使わない料理にしようぜ、こんな原始の人メソッドでやっても一生つかんわ」

 やや悟ったような、はたまたうんざりしたような声音でマドリに計画の頓挫を告げるが、マドリは淡青色の瞳を片方だけをつむってチッチッチと人差し指を左右に振る。

「それではミツキさん!お願いします!!」

「はぁい」

 いつもの間延びした口調でミツキは仰々しく登場すると、右手に握っていた赤い石ころをヤグラに放り投げた。

 瞬く間にパチパチとヤグラから煙があがり、中央は赤熱していく。

「はぁぁぁぁーーー!?火、なんであがんの!?」

 オレはまぶたをかっぴらいて、ついでにアゴを落としてミツキに問いかけた。

「火の魔石って言ってねぇ、少しだけ魔力を込めるといい具合に火種になる魔道具なんだぁ。ちょっと値は張ったけど、コルドバを出る前に買っておいて良かったよぉ」

「良くないけど!?オレの努力どこフライアウェイ!?」

「いや、説明される前にミキオが飛び出したんでしょ、オレに任せとけーとか言って」

「途中で教えてぇ!!」

 と、マドリは「それにしても」と口元に弧を描くと

「こんな渓流が近い湿気の多いところで火をつけようとかミキオってホント面白いよね。ところでミキオ、H2Oって何か知ってる?」

 口の端からこぼれた嘲弄を込めて、淡青色の瞳でオレを見た。

「ぐぅ・・・、あんまオレをバカにするなよ?H2Oくらい知ってる。アレだ、酸素だ酸素」

 直後、マドリはその白銀の髪を振り乱して、腹を抱えて1人笑い転げた。

 あと、ミツキもちょっと笑ってた。

 ・・・後から思い出したが、H2Oは水だった。



ーーーーーーーーーー



「おぉ、水しぶきスゲェ。マイナスイオン高めだな」

「ほほー、荘厳だね。でもホントに魚いるの?」

 全身に霧状の水を浴びながら、オレは手でひさしを作って滝を見上げた。

 火がついたら、今度は食料、魚のハントである。

 て事で、オレとマドリは渓流を上って滝つぼにやってきた。

 ちなみにミツキは火の番をしてるのでお留守番だ。

「で、ミキオ、どうやって魚とるの、素潜り?」

「あ、それいいな。ワイルドでカッケぇ」

「なんかミキオってつくづく原始チックな感じが似合うよね」

 ーーーそれ、褒め言葉じゃないよなぁ・・・。

 マドリの舌鋒にやや閉口しながらも、オレは水際まで行き指を引っ張った。

 ジャラジャラと音を立てて鎖に変貌する指先。

 オレの意思に呼応して動き出す10本の鎖は、水面を突いて水底に潜っていった。

 意思を集中させて、解放した鎖に神経をつなげて行く。

 何気に、コルドバ以前は操るのが難しくて持て余していた十指全解放。

 が、それも過去の話。

 この2日間、惰性でやり続けていた鎖絵の技術は間違いなくオレの中に培われ、今や本物の指先の様にウネウネと鎖が動く様になった。

 鎖の腹から微かに伝わる、質量物が当たる感触。

 「きたッ!」

 オレはクワッと目を見開き、脱力していた分だけ力を込めて鎖を蠢かせた。

「いくぜお魚大量水揚げ漁!」

「『鎖縄ーーーニビイロ螺旋ッッ!!』」

 水面が荒ぶって、水が巻き上がる。

 陽光に反射してキラキラと光る水滴は背景も相まって幻想的な光景だったが、オレは別の理由で瞠目した。

 宙空を舞って水辺に打ち上がったのは、活きのいい魚では無く、生きた人間だった。

 それも、頭数3人。

 生きた、と形容したがダラリと力無く地に伏しており、ともすれば、水死体・・・。

「ーーーーへぇ!?」

 マドリが悲鳴に似た声を漏らす。

「ぁ、ああああぁぁぁぁ!!?」

 脳みそがショートしたオレは、小粋な見出しとオレの顔写真で飾られた明日の朝刊を想起した。









どうも!キズミ ズミです!!


コラボ章1話、どうでしたでしょうか?


って言っても、今回はミキオサイドの話に終始しちゃいましたけど・・・。


安心してください!次からはちゃんとコラボ先のキャラクター、秋、光希、原がでます!!









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