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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

二章 15話 『爪弾き者と嫌われ者』



「な、大変だよな。・・・・・・んあぁあ!?」

委員長、今何つった!?したの!?クリア!??

声を張り上げすぎて、一瞬流れていたバイオリンの音が止まった。

周りの人たちがジロリとオレを睨む。

「ミッション指示書ってあるじゃないですか。あの赤い紙の」

「ん、うん。あるな、オレの紙は黄色いけど」

何なら今手元にあるぞ。

オレはポシェットからA4サイズの黄色い紙を取り出してテーブルに置いた。

「実はこの紙、あぶり出しになってたんです」

「あぶり出しって事は、焼くと字が出てくるってヤツ?」

委員長は頷いた後、「焼く?」と呟いて首を傾げていた。

「偶然、暖炉の前に指示書を置いていたら紙の裏側に文字が浮き出て、それに従っていたら武具が手に入って、それをカエデにあげたんです」

「それ!その方法なぞればオレ達も武具貰えるのか!?」

突如、差した光明に食いついた。

しかし委員長は首を横に振ると、

「それは難しいと思います。私がやった方法は結構運っていうか、一期一会だった感じなので」

聞くと、委員長と秋山は指示書にあぶり出された所に行ったら女の子が悪漢に襲われていて、秋山がそいつらを追っ払うと実は襲われていた女の子が街で一番大きい武具屋の店長の娘だったらしく、お礼として武具を一式頂いたらしい。

「・・・・・・日本昔話か!!」

どこか作り話チックなその説明にオレは突っ込まざるを得なかった。

いやでもしかし、この情報は今までにないほど有力だぞ。

つまりオレのこの紙も、火にかければーーーー

「いや、指示書の仕組みは1つだけじゃないんです」

「私の指示書は赤くて、コレは私が火属性だから、らしいんです」

「何、火属性って・・・?」

「いわゆる、魔法の適正らしいです。つまり私は火魔法の親和性が高いんですよ」

「じゃあオレの紙は黄色いから・・・?」

「ミキオくんは雷属性ですね。だから指示書に雷を浴びせれば良いと思います」

へえぇ、目から鱗だ。オレがグースカ寝てる間に、委員長たちはここまで情報を集めていたのか。

「いや、ここまでのウンチクは全部昨日ミツキさんに聞いたんですけどね・・・」

委員長が苦笑して頬をかく。

「・・・・・・」

「な、何ですかその目ぇ!!仕方ないじゃないですか、私たちだってずっと大変だったんですよ!!」

「いや、やっぱミツキスゲェなぁ、って思ったんだよ」

「・・・はい。本当に何者なんですかミツキくんって、なかなか会えなかったから心配してたんですけどね」

「あ」

「何ですか?あ、って」

頭に浮かんだのは一人のクラスメイトだった。

クラスメイトでしかなく、彼との繋がりは実際それしか無いのだが。

「瀬屑って、そっちに合流してんの?」


「ミキオくんとミツキくんを抜くと今、合流してないのはマドリくんとアズミくんだけです」

「やっぱ瀬屑はいないかー。って鏡山も?」

鏡山マドリ


彼について、特筆すべきはその恵まれ過ぎた容姿だ。

美の神の祝福を受けたのではと思うほどの超絶イケメン。

が、性格は最悪の一言に尽きる。

何というか、全体的に他者を見下した感じの雰囲気なのだ。

その尊大な物言いは大勢のヘイトを一手に引き受け、結果として彼はクラスの爪弾き者になったのだ。

「途中まで一緒に居たんですけど、いつのまにか居なくなっちゃいまして・・・」

委員長は心配そうな顔を浮かべているが、彼の性格を知る者の中で彼を慮る者は多くはないだろう。

「アズミくんはアズミくんで最初から何処か行って生きてるのか死んでるのか・・・」

「いや、アイツは絶対死なないだろ、むしろこの状況楽しんでそうまである」


修羅の国の寵児、瀬屑アズミ

彼はオレの知る限り、ブッチギリにヤバイ奴だ。

彼を少しでも知っている人は皆、口を揃えてこう言うだろう。

瀬屑は、人間じゃ無い、と。

ギラギラと妖しく光る眼光には、彼の天性の捕食者としての風格を飾っていた。

小柄な体ながらその身に纏う雰囲気は正しく鬼。

普段はなかなか学校に来ないクセに、最低限の成績を取るために受けるテストでは毎回高得点をかっさらっていく。

瀬屑はそんな、よくわからない奴だった。


「ーーーーーまぁ、委員長たちが無事で良かったよ。異世界に飛ばされて、自暴自棄になってたら大変だしね」

オレは脱力して息を吐くと背もたれに寄りかかった。

「・・・実は、半分くらいミキオくんの功績なんですよ?」

「え?」

「ミキオくんが『トラ』を倒したってことを知って、みんな発奮したんです」

「『加藤でも『トラ』を倒せるならオレらだってー』って」

「・・・オレって大分下に見られてたんだなー」

別にショックじゃないぞ。いやほんと。

それにしてもこの喫茶店、随分室温高いなぁ。目頭が熱くなってきたわ。

と、委員長がクスクス笑ってこう言った。

「フフフ、冗談ですよ。それに本当に感謝してるんです。あの時、私を『トラ』から助けてくれてありがとうございます」

委員長は真面目な顔で深々と頭を下げると次いで、

「もし、困ったことがあったら言ってください。私たちは、どんな時も助けに行きますから」

「委員長・・・・・・」

図らずも、泣きそうになった。

学校では正直疎ましく思っていた委員長のお節介だが、今、オレは委員長のクラスで良かったと心から思っている。

「ところで、ミキオくん?」

そんな感じでオレが感動していると、ニッコリと微笑んで委員長がオレに問うた。

「委員長じゃなくてさ、私の名前、覚えてますか?」

「・・・・・・・・・・・・」

アレ?何だっけ・・・?

確か山田ナントカーーーーー

「間宮ミヤコですからぁ!!」

ーーーーーーーーーーーーー


コルドバから少し離れた森の中。

広葉樹林が立ち並び、木漏れ日が漏れるその森には、魔物に囲まれた少年の姿が在った。

「ケケケ、この世界はぁーーーー」

魔物の体躯は少年と同じくらいでそれは平均的な男性よりやや身長が低かった。

魔物は皆ドス黒いグリーンの肌に剥き出した歯はギザギザの乱杭歯だ。

皆手に武器を持ち、眼前の少年を見据えていたが、現在、明らかな劣勢であるその少年の瞳に一切の絶望が無いのが、少し不思議だった。

少年はギラギラと妖しく光る眼光で魔物を見つめ、不敵な笑みを浮かべていた。

「ギャァ!ギャァ!ギャァァーーーー!!」

魔物はさして意味のない奇声をあげると全方向から少年に躍りかかる。

「ーーーー最高だぁ・・・!!!」

少年は、喜悦満面、粘つくような狂気を辺りに撒き散らす。

魔物の刃が少年に至るまで、あと僅か。

と、そこで少年を中心に一陣の風が吹いた。

「ーーーーーーグギャ?」

風を、狂気を全身に浴びたグリーンの魔物は、顔面を弛緩させて、何が起きたか分からない、と言った表情だった。

そんな魔物の逡巡も一瞬のことで、次の瞬間、魔物の矮躯はグズグズに腐り落ちて大地に還った。

「ぁーーーあ、気っ持ち悪い魔物を殺しまくるってのも飽きてきたなぁ。ダメだなぁ、停滞は妥協だぁ・・・、オイラは、次、何を求めてんのかなぁ・・・」

少年は木々に隠れる大空を仰いで一人、自問する。

しかし少年の中で既に答えは出ていた。

「うあぁ・・・」

少年は顔のシワを目一杯折りたたむと嗚咽する様に声を絞った。

「街に行こう・・・!美味しいものを食べて、人々の営みを眺め、悦にいってからーーーー全てぶっ壊してやろう」

少年から滲み出る狂気は留まるところを知らず、森中に席巻する。

とりわけ、彼の殺戮範囲、半径の5メートル以内の草は塵となり、木は立ち枯れた。

少年はゆったりとした足取りで遠くに見える、コルドバを目指した。

と、その時。

「ーーーーーーー!」

右方のやぶを飛び越えて、グリーンの魔物が飛んで来た。

いや、正確には誰かに投げ飛ばされた形で、四肢を投げ出し、その魔物は飛んできた。

少年は右手を振り上げ、魔物を塵に変える。

「ガッハッハッハ!コレは済まない!類稀なる殺意を浴びて我輩、うっかりそちらにゴブリンを投げ入れてしまった!!」

藪の中から出てきた男は、豪快な笑いをあげて少年に近づく。

「ーーーーー熊?」

少年は男を見て一言、そう呟いた。

男は、グリズリーを思わせるほど巨大で、たくましく、ギョロリとした瞳は少年を遥かに高みから見下ろしていた。

「ガッハッハ!我輩が熊とは、言い得て妙!思えばかつて、我輩は熊を志した事があった気もする!!」

「で、誰、あんた」

豪放らいらくな男のテンションとは対照的に、少年の態度は冷たいものだった。

「我輩!この度、放浪の旅に出た流浪人である!旅の供として無二の友である『搏撃』のカムリを迎えに来た最中ではあるが気に入った!!」

「少年!そなたは我輩の旅の供に相応しい!名は何という!」

「・・・アンタウザいよ。死ね」

どこまでも自分の道を行く男に辟易して、少年は天稟を発動する。

が、男は大柄な体格の割に疾風の如き動きで殺戮のオーラを躱すとボリボリと頭を掻いた。

「ふむ、これから旅に出る供に対して隠し事はできんな。実は我輩、ただの流浪人では無い」

「我輩の名はオーゼ。バッバルーザ公国公王にして、王前四腕オウゼンヨンカイナ『攻城』のオーゼ・バッバルーザである!!」

熊のような大男、オーゼが名乗りをあげたが、少年は冷めた視線で、オーゼを見る。

「さぁ、少年!そなたの名は何という!?」

「・・・瀬屑アズミ」

少年、アズミが苛立たしげに答えるとオーゼはデカい口を更に大きくして笑う。

「成る程、ではアズミよ、我輩と共に行こう。まずはカムリを見つけ出すのだ」

「・・・あぁぁ、うっざいなぁ!!!」

アズミは自分の髪を掻き毟ると募った苛立ちを全て、オーラに変えて撒き散らす。

「お前が何だろうが関係ない。オイラはただぶっ壊すッッ!!」








どうも!キズミ ズミです!!


今回は多分、最初で最後の二話同時掲載ですが、もう本当、死ぬほど疲れました。


話が思ったように進まず、リテイクを繰り返しまくった末の今話、前話ですがどうでしたでしょうか。


さて、2017年最後の投稿になりますが、来年も是非、今作品。


チート無しクラス転移〜〜Be  chainedベチーン〜〜をよろしくお願いします!!












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