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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

二章 11話 『求む!就職先!』




「:・・・ッ!・・・ッ!・・・ッ!」

「・・・ガァッ!クソ、流石に、もォ動けねェ・・・」

息も絶え絶え、と言った様相で背中合わせに立ち尽くすオレとヴァルド。

眼下には、ありえない人数の男たちが力なく地に伏していた。

ザイーダ組、総勢、100人超。

オレ自身、向かってくる男たちを倒し続け撃墜数が50をカウントもしたところで意識が飛んだ。

ただ手足を無茶苦茶に振り回していたら、気がついたらこうなっていた。

死屍累々、この時この場所のために生み出された言葉じゃないだろうかと益体も無い事まで頭をよぎった。

「そ、そんなバカな!オイラの、オイラの組がたった2人に、全滅・・・!?」

壁に背中をつけ驚愕を宿す瞳。

禿げ上がった頭にネズミ顔の彼こそ、この度の襲撃の元凶、ザイーダだ。

「・・・ウハハ、ザイーダ。終いだ」

「ガァ・・・・・・ッ!?」

ヴァルドの右腕から勢いよく伸びる鉄骨がザイーダの体を突き刺し、ザイーダは絶命した。

「ーーーーガハァッ・・・、ッと」

ザイーダによる奇襲が終焉を迎え、ヴァルドはどっかりとその場に腰を下ろした。

「オレ様の子分がお前の宿まで運ぶ、もちろん鎧も持たせてな」

「冥護びーーミキオ、ワリかったなァ、ロクでもねェ事に付き合わせちまった」

ヴァルドが言うと、何処からかゾロゾロとヴァルドの子分が姿を現した。

ヴァルドの子分は、全体的に子供が多い。

ある程度戦える男の子分はオレやヴァルドとザイーダ組に立ち向かっていたが、戦えない女子や子供たちはヴァルドの指示でどこかに隠れていた。

ミツキもその戦えない子分たちに手を引かれ、隠れていたので、どうやら無傷の様だった。

「なぁヴァルド、お前がオレを子分にしたかったのって、いわばザイーダ組のせいだろ?」

「だったら、そのザイーダ組が今、壊滅したんならもう子分の心配はしなくていいんじゃないのか?」

ヴァルドは苦々しげに首を振って否定した。

「ザイーダ組ッつーのは、それこそスラムのネズミくれェクソしぶてェ・・・」

「第一ザイーダってのは、襲名制でなァ、今殺ったのは大体153代目のザイーダだ」

「そんな端数まで知ってんのかよ、随分詳しいな」

「オレ様は殺した相手の事ァ忘れねェよ」


・・・殺してきたのかよ、歴代のザイーダを・・・。

「にしたって今回の襲撃は大分頭数が多かったからなァ、復活するまで時間はかかるだろうがな」

「・・・そうか」

「ウハハ、安心しろよミキオ、もォお前を子分にしようなんざ考えてねェ」

「ーーーーーーん?あぁ、フヒヒ」

「ンだよ、気持ち悪りィ笑い方しやがって」

実は、思いついたのだ。オレを子分に迎えなくとも、出来るだけヴァルドの意に沿うような妙案が。

「オレにいい考えがある」


ーーーーーーーーーーーーーー

ヴァルドは知らないが、少なくともオレは出来る限り襲ってくるザイーダ組の奴らを殺さずに無力化した。

つまりあの場にいれば、いつザイーダの子分が意識を取り戻し、オレらを襲ってくるか気が気でない。

だから、オレとミツキ、ヴァルド組は場所を移した。

「そんで、ミキオ。お前の言う、いい考えッて何だよ」

その問いかけにオレの口はニマリと三日月を描く。

「フフフ、その名も!『ヴァルドが別の街に行ってる時に子分たちが街で働いてればザイーダ組も襲う事は無いんじゃね?』作戦だ!!」

長い作戦名を言い切って、その後に補足説明をする。

「ほら、この街とスラムの不文律ってやつを利用するんだよ!」

「スラムの人間は街の人間にチョッカイかけられないんだろ?」

「じゃあ子分たちが街の仕事場に就職して生活してればザイーダ組は子分たちをどうにもできないじゃんか!!」

この街、コルドバは不良品の鎧をスラムに譲渡し、その代わりに街で犯罪を犯さないという暗黙のルールがある。

ならばソレを逆手に取ればいい!!

「ーーーいやァ、それャァ・・・」

「ミツキっ!この街のどっかで今求人出してるトコはないか!?」

ヴァルドが何事か言いかけてたがそれより早くオレがミツキに尋ねる。

「・・・この街には魔物侵入対策の壁が無いからねぇ、その壁の代わりに護衛兵っていうのが一年通して志願募集かけられてるよぉ」

「それと、1店舗だけ、臨時で従業員募集探している店も、確かあったと思うよぉ。ーーーーでも」

ドンピシャじゃんか!

そういえば、壁の代わりをする護衛兵の話はこの街に入ってから何処かで聞いた気がする。

いわく、物凄い重労働で途中で仕事を放棄して逃げ出す人が多いんだとか。

「じゃあ、ある程度動ける男たちは護衛兵になって、女子や子供はその防具屋で働けばーーーーー」

「そりャァ、無理だなァ」

「え?」

どこか申し訳なさそうに顔を伏せるヴァルド。

「スラム街の不文律ッてのは『街の人間に手を出さねェ事』じゃねェ、『街の人間に一切関わらねェ事』、だ」

「え・・・?」

ちゃんと事実確認をしなかったオレが悪いんだが、真相を聞いてオレはコルドバという街に、少しだけ憤りを覚えた。

この街は、スラム街を切り離したのだ。

それはあたかも臭いものに蓋をするかのように、スラムも、そこに住まう人も、いないかのように扱っている。

「今の、ミキオの考えも昔考えなかった訳じゃねェんだ」

「護衛兵ならスラムの人間でも働ける。激務だからな、ネコの手でも借りたいんだろォ」

「だが男たちが護衛兵やってる最中、残された女はどうなる・・・?」

「第一、もし雇ってくれる物好きがいたところでスラムの小汚ねェガキのいる店ッつー、悪評に直結しないとも限らねェ」

「オレ様らは詰んでるんだよ、ずっと前からな」

一見して、貪欲とさえ思えたヴァルドのギラついた雰囲気はなりを潜め、瞳は諦観を宿していた。

「そんな・・・詰んでるとか、言うなよ」

その瞳がなんとなく気に食わず、つい喧嘩腰になってしまった。

「お前にャァ分かんねェ話だろ、なんせカミサマに選ばれし冥護人サマだからなァ」

オレの頭の中で、白い何かが爆ぜた。

「オレが、なりたくてなった訳じゃ・・・ッ!」

歩み寄り、ヴァルドの胸ぐらを掴む。

連戦により既に原型を留めていないヴァルドの甚平はオレが引っ張った事でブチブチと繊維が千切れた。

「・・・ンだよ、何キレてんだお前、関係ねェだろ」

お互いにメンチをきりあって一触即発を呈してきたが、何しろ、2人とも既にヘロヘロだ。

摑みかかる手は震え、交錯する視線はどこか弱々しい。

だから

「やめな、バカ2人」

赤茶けた髪に豊満な体の女に、暴力的な仲裁を受けた。

バスン!と後頭部をはたかれて、オレとヴァルドは額をぶつける。

「づあぁぁぁぁッ!?」

オレが痛みに耐えかね悶えている間、赤銅色の髪をした女はヴァルドを諭すようにヴァルドの手をとって、言った。

「ヴァルド、アタシはこの少年の、ミキオくんの話をもっとよく聞いた方が良いと思うんだけどね」

赤銅色の髪の女は多分、ヴァルドの子分の1人なんだろうが、ヴァルドに接する態度がなんというか、フランクだった。

年はオレよりも年上、日本だったなら女子大生くらいのお姉さんだ。

「アリエッタ、これはオレらの組の問題だ。子分でもなんでもねェミキオが関わる事じゃねェンだよ」

「なんだいヴァルド、アンタのバカ騒ぎに巻き込まれたこの哀れな少年の意見の1つも聞かないのかい?薄情な男だねぇ」

「なッ!?クソ・・・!」

ヴァルド的に痛いところを突かれたのか顔を歪めて閉口する。

諭す声音から、一転、どこか諌めるような目でヴァルドを見る赤銅色の髪の女、アリエッタ。

アリエッタの瞳は大きく、生命力の強さが満ち満ちているようだった。

よく見れば引き込まれそうな美貌に恵まれたプロポーションをもったアリエッタ。

惜しむらくはその身なりの貧しさと顔についた黒いススが彼女の魅力を相殺している。

アレ?んんん・・・?

喉元から、ヒラメキが上がってきた、あと一歩の所まできている。

「・・・ヴァルド、オレが関係ないとか、オレには分からないとか、言うなよ。オレだって思うところくらいあるさ」

ヨロリと立ち上がり、大きく息を吸った。

「ありがとっス、アリエッタさん。頭冷えました」

危うく、またヴァルドと戦うところだった。

「ヴァルドの子分たち!聞いてくれ!!まず、確認を取りたいんだ!お前たちは、街で働く気はあるか!?」

オレが、近くで固まっている子分たちに問いかけた。

思えば始めてまともにヴァルドの子分を見た。

20人弱だと大まかに思っていたが正確には18人。

その内訳は、男12人、女4人、10歳くらいの子供が2人。

やはり全体的に若く、おおよそ20歳くらいのアリエッタが一番年上に見える。

何にせよ、子分たちはオレの言葉を皆一様に困惑した顔で受け取り、しばし子分の中で話し合っていた。

そしてーーー

「ええっと・・・、ミキオさん、で、いいですか?私はその、みんなの代表って事で選ばれました、ナーナスっていいます」

どこか薄幸そうな穏やかな目の少女がオレの前に来て、そう説明した。

「えと、さっきまで話してたんですけど、結局最初から結論は変わらなくて、でもそれって出来るのかなって思ってたらーーーーー」

「うん、それで、みんなは何だって?」

「ーーーー私たちは、お兄ちゃんの役に立ちたい」

ほんの今まで伏し目がちに、たどたどしく話していたナーナスとは、別の人になったのかと思うほどに、その一言は力がこもっていた。

「・・・お兄ちゃんがあんなにボロボロになる程私たちの事を考えてくれたのは、すごい嬉しい。のに、私たちは何もできない」

「だからすごく悔しくて、でもどうしようもなくて、もし街で働けるなら、どんなにいいかってーーーーーーーひゃあっ!?」

ナーナスが子分たちの総意を伝えている間、オレはナーナスを間近でガン見していた。

誓って言うが、やましい気持ちは一切ない。

しかし目を奪われたのは確かだ、ナーナスの顔に。

大分傷んでしまっている青い髪に顔にまみれた黒いスス、黄色く変色した見るからに粗悪な服。

言い方が悪いかもしれないが、いかにもスラム街の住人って感じの雰囲気だ。

だから、それらのマイナス要素にブラインドされて、見えていなかったのだ。

有り体に言って、ナーナスは、すごく可愛かった。

「ミツキ、こっちきて、耳かして」

オレはその場で手招きしてミツキを呼ぶとコソコソと耳打ちする。

「・・・!でも、いいのぉ?だってボクら今ーーーー」

「スマンミツキ、でも、な?」

「・・・・・・はぁ」

ミツキはオレに根負けして1つ、ため息を吐くとゆらりとした足取りでオレに背を向けた。

「とりあえず、必要なもの買ってくるねぇ、だからミキオはーーー」

「分かってるって、あ、案内誰か1人お願いできるか?戻ってくるときミツキが迷わない様に」

「・・・オレ様が付いてってやるよ、何すんのか分かんねェけどよ」

意外にも、ヴァルドがミツキの案内人に立候補した。

しかし、

「アンタはまだ休んどきな。ボロボロじゃないか」

と、アリエッタに止められていた。

「1人で大丈夫だよぉ、ここまでの道は覚えてるし、絡まれても出来るだけ逃げるからさ」

そうミツキは言ってオレたちがいる場所を後にした。

ーーーーー歩き出したミツキが見えなくなるまで、ヴァルドだけが、喰い殺す様な目でミツキを睨み続けていた。


「ーーーーーさて、説明するぞ、『ヴァルド組女性陣、防具屋に就職しようぜ大作戦』開始だ!」










どうも!キズミ ズミです!!

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当初の想定の50倍くらいストーリーが膨らんで全く進まない作家あるある。



オレだけかな・・・?









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コメント

  • 美浜

    私も全然進まなくて困ること、よくあります。

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