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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

二章 6話 『独りよがりな決断』





「オレ様とサシで勝負しろ。もし勝てれば鎧はくれてやる、ただしお前が負けたらオレ様の子分になれ」

オレが異世界から来た人間、つまり冥護人だという事を知るとヴァルドは唐突に、そう提案してきた。

「どういう事だよ、第一、子分って・・・?」

「悪い待遇はしねぇぜ?ただオレ様の言う通りに、動いてればいいんだ」

「・・・・・・少し、考えさせてくれ」

「ーーーー10秒くれてやる、じっくり考えろ」

この状況は、考えようによっては棚からぼた餅が降ってきたと考えてもいいかもしれない。

何しろ、先ほどまで絶望的だった鎧入手に光が差したのだから。

だけども、それにはヴァルドの手先になってしまう可能性も孕んでいる。

もしも、オレがその勝負、とやらに敗北すれば、

このアウトローを具現化したみたいなオレンジ髪の青年に屈服しなければならない。

ふと、背後に立つミツキを見た。

しかしそれはミツキに指示を仰ぐ為ではない。

オレの中で、返答は既に決まっていたのだから。

ミツキはオレの視線に気がつくと唾を飲み込み、何事か言おうとしていた。

平時は淡白な、感情が希薄な印象を受けるミツキの顔貌には、冷や汗がつたっている。

だがオレは、ミツキの発言を待たずして、ミツキにニッと、笑みを浮かべるとヴァルドに視線を戻し、口を開いた。

「ーーー再確認しとく、勝ったら鎧は貰えるんだよな?」

「・・・あァ、二言はねェよ」

「じゃあ、受けるよ、勝負」

言うとヴァルドは、凶悪に口の端を吊り上げた。

「・・・ッ!ミキオ・・・・・・!!」

背後から、冷然とした声が聞こえた。

聞き覚えがある、しかし聞き覚えのないそんな声音。

すぐに分かった、ミツキは、焦っているのだと。

焦燥にかられ、結論が出ない内に、オレが勝手に勝負を受諾した。

そりゃあ、焦るだろう。

もし逆の立場なら、オレはミツキを第一に心配するし、怒るし、少し、悲しくなる。

オレはそんな、人身御供の道を選んだ。

自己犠牲なんて、おごる気は無い。

それはただの裏切り行為だと知って、誹りを受ける事も厭わず、オレは目の前の不確定な希望を掴んだ。

何故か?それはーーーーーー


「ーーーーーーじゃあ、勝負開始だ・・・!!」

ヴァルドはまるで独り言の様に、ボソリと呟くと地面に突き立てていた鉄骨を持って、駆け出した。

オレの方に、だ。

「ぇ?う、わあァァァァァ!?」

突然の事に、オレはまるで反応出来ずにいたのにもかかわらず、ヴァルドは数歩でオレに近づくと横薙ぎに、鉄骨を振るった。

ーーーーブォンッッ、と、凄まじい音がして、鉄骨は空を切った。

「・・・流石のオレ様も、天稟持ちとやりあった事は一度もねェが成る程。やりずれェな」

と、ヴァルドは空を睨む。

ヴァルドの視線の先、何も無いはずの中空には、指から鎖を伸ばしたオレがブラリとぶら下がっていた。

「危なかった・・・!マジでアイツ、オレを殺す気かよ!?」

オレが負けた場合の報酬がまさにオレなのだから、穏当な勝負になるとタカをくくっていたが、とんでもない。

まさかいきなり鉄骨ぶち当ててくるとは思ってなかった・・・!!

ていうか今ヴァルドが振るった鉄骨、2メートル以上の長さだぞ!

そんなの振り回せるって、ドテッコツかアイツは。

幸いにも、指の鎖が危機的状況によってオートで発動し、空気にくっつき、巻き取ってくれたから良かったものの、多分次はふつうに死ぬ気がする。

「なァおい、ずっとそこで宙ぶらりんしてるつもりかよ。
つまんねェだろうがよォ!!」

ヴァルドは激昂し、手にしていた鉄骨を捨て、地面に手のひらをつけた。

途端、ヴァルドの足元から何本もの鉄骨が垂直にせり上がる。

鉄骨に押しあげられたヴァルドはすぐにオレのいる高度まで届くと、更に大きく飛ぶ。

瞬時の機転、オレは空気につけた鎖を解除し、自由落下する。

しかし間に合わない。

ヴァルドは手から生えた鉄骨を、オレに叩き落とした。

空中のため、踏ん張りが利かず、しかしそれでもとてつもない威力を持った鉄骨はオレの左肩をかする。

「つぅぅ・・・・・・ッッ!!!」

鈍い痛みが走り、直後オレは背中からの衝撃にも顔を歪める事になる。

自由落下プラスアルファの速度を伴ったオレはヴァルドの攻撃に意識を向けていて、迫る地面を失念していた。

激突して、辺りに砂塵が飛び散った。

「冥護人っつーのはカミサマからの恩恵を預かった言わば選ばれしものらしい」

「いわく、冥護人全てが例外なく天稟を有しており、彼らの怒りは山を割る、まァそんなんが俗説だな」

「話は変わるがお前、ーーーーー全然期待はずれだわ」

晴れた砂霧の中で、倒れ伏すオレにヴァルドは侮蔑の目を向けた。

「鎧はやらねェ、子分にもならねェでいい、失せやがれ二度とオレ様の視界に入るな」

手にしていた鉄骨をヴァルドは自らの体に『収納』すると踵を返し、オレの前から去ろうとした。

「・・・待てよ。勝った気になってんじゃねえ・・・!」

「ーーーーーーッ!?」

ヴァルドの背後から、呼びかける声、否、もはや怨嗟とも言えるその声音に、ヴァルドは図らずもその身を固くした。

「なァんだよ・・・!まだ意識あったのか」

「最近、パワーアップイベントがあったばっかだからな。
実は今、お前からもらった攻撃も既に治ってたりするんだぜ・・・?」

もちろん虚勢だ、ブラフだ。

肩口に浴びた鉄骨の余韻は今でも体に響いているし、打ちつけた背中も滅法痛い。

とはいえ実際、仮面の男から貰った頑丈さが無ければやはり、オレは今頃死んでいたかもしれない。

全く、腹立たしい事この上ない。

現在のこの状況を、間接的にでも作り上げたあの仮面の男に感謝する事があろうとは。

「そういやァ、鎧が欲しい理由を聞いてなかったなァ。聞かせろよ、お前は何故、この勝負を受けた・・・?」

何故か?それはーーーーーーー

「ミツキの役に立ちたい、それだけだっての」

放つ言葉は虚空に消えて、だけどどこまでも本音だった。





どうも!キズミ ズミです!!

相変わらずのストーリーの進まなさですね!!助けてください。

そういえば、前話、前前話くらいから登場した作品独自の固有名詞、アレちゃんと読者さんに伝わるかな?と不安になりました。

毎回サラッと説明しただけで後は当然の様に使ってますからね。

てことで、簡単にそこら辺の固有名詞まとめておさらいしていきます。

作品を読む上で念頭に置いといて貰えれば光栄です。


『ランドソール』

ミキオ含むクラスまるまる転移させられた世界。

地球ではまずあり得ない魔法という概念や一個人としては強大すぎる身体能力を持った人間や魔物がいる。

『天稟』(テンピン)

ごく稀に発現する個人のオリジナル能力。

種類は千差万別で、魔物にも発現するケースがある。

なお、先天的にしか天稟は現れない。(ただし冥護人は例外とする)

『冥護人』 (ミョウゴビト)

ミキオたち、異世界転移者の異称。

国にもよるが、基本的に良い印象を持たれてない。







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