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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜

キズミ ズミ

二章 4話 『武具の聖地、その裏側』




「ミツキ・・・ッッ!!」

狂気をむき出しにしたチンピラは真っ直ぐ駆けて、そのナイフをミツキに突き立てた。

ーーーーーーかに思えた。

「ガボェ・・・・・・ッ!!?」

ミツキに到達する3歩ほど前で、チンピラはその矮躯を半分、壁に埋めた。

「ウハハ、まァさか、帰ってきて早々子分をぶん殴るとは思いもしなかったぜ」

今しがた、突然チンピラとミツキの間に割って入って、チンピラを壁に埋めた張本人。

歳のほどはそれこそ、オレとそう変わらないくらい若く見える。

しかし、明らかにチンピラと違うのはその気迫と圧力だ。

その男には、一見して気圧される程の存在感を伺わせた。

「ア、アニキ!?帰ってきてたんですか、ぅへへ」

チンピラは男の顔を見ると殴られた事も忘れた様子で男に頭を下げた。

「なぁ、ハチゴォ・・・、オレ様ァお前らのアニキになってやってから、口を酸っぱくして言ってる事があったよァ。なんだったか、覚えてるか・・・?」

「う、うっす!!スラムの人間じゃねぇヤツには手をださねぇ、です!!」

「あぁ、じゃあさっさと消えろコラァ!!」

「うっす!!」

男に一喝されるとチンピラは逃げるかのように路地裏から姿を消した。

「・・・・・・子分が、すまねぇ事をしたな。あんたらも早くこんなドブ臭ぇトコから出て行ってくれや」

そう言って、オレらを一瞥すると男は踵を返し、歩いて行った。

「ヴァルドさんですか?スラム街のボスの」

男の背中に話しかけるのは、ミツキだ。

あれだけ男の気迫を眼前で受けておいて、尚も男に問いかけられる豪胆さは、やはりオレには無い。

「・・・あぁ、確かにオレ様がヴァルドだが」

「このスラム街に、鉄工場から投棄されるゴミ山は有りますか?」

「・・・・・・ッ!!」

ミツキの質問に、男、ヴァルドはまぶたをピクリと上げた。

「あんたらの目的は、そのゴミ山か・・・?」

「はい、正確には、不法投棄された武具一式ですが」

「・・・・・・」

ヴァルドはしばしミツキを見つめると再び歩みを開始した。

「ついてきな、案内してやる」

手を僅かに上げて、オレたちを促す。

「・・・行くよぉ、ミキオ」

「お、おう」

ヴァルドの異様な求心力に当てられて、少し茫然自失となっていたオレだが、ミツキに呼ばれてやっと我に返った。

ーーーーーーーーーーーーーー

スラム街の薄暗く、狭い道をくぐるように通って、15分後、ピタリと歩みを止めたヴァルドが指差した先には高さ5メートルはある小山があった。

「着いたぜ、アレがお前らの探している、不法投棄された武具たちだ」

小山をよく注視して見る。

よく見るとまだ目新しいようなキラキラとした光沢を放つ鉄製の鎧が幾重にも積み重なって出来た小山だった。

「おお!鎧がたくさん!でも何でスラムにあんな小山になる程捨てられてんだ?」

素朴な疑問が、口をついて出た。

「コルドバには沢山の製鉄所がある。それだったら完成段階で不備が見つかり、売れなくなった鎧は一定数有る筈」

「普通、そんな鎧は粗悪品として何処かで安く売られてるか再び溶かされて新しい鎧に生まれ変わるかのどっちか」

「前者の可能性が有り得ないのはリサーチ済み、後者は正直確証が無かったけれど、コルドバの治安の良さから鑑みてスラムに投棄、というか横流ししているんじゃ無いかって思ったんだぁ」

滔々と、ミツキは自らの推察を語った。

するとミツキが言い終わるとヴァルドは相好を崩し、大きく笑った。

「ウハハハハハハ!!お前、スゲェなぁ!そうだよその通り!オレ様らメルメタルを含んだ高級鎧、その不良品を頂き、他の街に転売する事で成り立ってる!!」

「転売した金がありァスラムの奴らは街の人間を襲う事もねぇし襲う事が無けりゃァ街もバカ高い金出してわざわざスラムを撤去する事もねぇんだよ!!」

「ギブアンドテイクだ。それがこの街の不文律なんだよ」

・・・成る程、確かに、奇妙な共生関係だと思った。

しかし、つまりは小山に有る鎧はスラムの資金源、という事になる。

そんな大事な物を、簡単に渡してくれるだろうか。

「・・・あーっと、ンでお前らの目的は何だったか」

ヴァルドは逆立てたオレンジ髪をガリガリとかくと細く、息を吐いた。

ーーーーー直後、あり得ない事が起きる。

ヴァルドの手のひらから、鉄骨が生えた。

本当に、生えた、と言って相違ないその光景にオレはどこか関連性を見出していた。

想起されるのは、指から伸びる鎖の事だった。

ズゥン、と重い音を上げて鉄骨を地面に突き立てるヴァルドの瞳は、ギラリと輝く。

「10秒やる。こっから消えやがれ」

「ここまで案内してやったのはお前らがスラム街を馬鹿みてぇにほっつき歩いて変にクソみてぇな野郎に絡まれんのを防いでやるっつーオレの優しさだ」

「それすら分かんねェ様なら」

パチンと、ヴァルドは指を弾く。

と、それが合図だったかの様に、小山の裏、朽ちた木の上、ボロボロの壁の中から、あらゆる所からヒトが姿を現した。

「ネズミのエサにでもなっちまうか・・・?」

ギラリと、鋭い眼光を放つヴァルドの顔は、不敵な笑みを浮かべていた。








どうも!!キズミ ズミです!!

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