理想の彼女は清楚系美少女なんだが

ウィング

第8話 初のデートがこれなのか?

「や、やあお待たせ。格好変じゃないかな? ティーシャツに短パンでキャップなんだけど、こんなのと隣は嫌かな?」
「全然大丈夫です! では行きましょうか、まずは喫茶店へ」
「すぐ近くのか?」


陽葵は微笑みながらはいと言って、家を後にした。
喫茶店へ向かう途中、俺には疑問が浮かんだ。
昨日は確かにいい雰囲気になっていたが、陽葵は俺の事を本気で好きと思ったのだろうか。
一言も喋ることなく、喫茶店へ着いてしまった。
俺がドアを開けて入ると。


「いらっしゃいませー。二名様でよろしいですか? ではあちらの席へどうぞー」


淡々としている店員に呆気を取られながらも向かい合う感じに席についた。


「喫茶店はちょっと寄っただけですので。本当の用事は別にあって、お墓参りに行きたいのです。彼氏できたら墓に見せろって言われてたので……」
「墓参りか……って彼氏なら何人もいただろ?」
「あれは本当の彼氏じゃありませんので。竜希さんの事を私は彼氏だと思っています。なのでお願いしたんですけど、無理ですか?」
「そういうことか、なら俺の用事にも付き合ってくれ」


俺の用事というのは、三年後に死ぬと余命宣告されている爺ちゃんへの面会だ。
三年という余命宣告出来るなら助ける方法見つけれないの? とは思ったが、無理らしい。
何故爺ちゃんが入院してるか俺は知らないし、母さん達も教えてくれない。
最近悩み事ばっかり増えてるなあ……。
少し話をし、一時くらいになったのでとりあえず俺の爺ちゃんのいる『川田病院』へ向かった。


「あの、その病院に行くのやめませんか? 私あの場所行きたくないんです」
「……どうして? 俺の用事だし、行きたくなければ外で待ってるっていう手もあるからさ」
「その病院には、私の爺さんがいるんです。ものすごく仲の悪い……」


俺と一緒だねっ! って言おうと思ったが、しんみりした雰囲気でそんなこと言ってくる陽葵に対し言えるわけがない。
てか、陽葵の目に涙が浮かんでるように見えるんだが!?
ここは話題を変えて……。


「あ、あのさ、なんかゲームとか趣味とか教えあいしないか? つ、付き合ってるんだし!」
「そうですね……。趣味は子の前見てもらった通り、アニメ系の物を集めたりすること。いわゆるオタクです。竜希さんは中二病ですよね」
「ちょっ、卒業したんだよ!? ねぇ、なんでそんなにも死ねって見る目で見てくるの!?」


うぅ……なんだよ、卒業したのに!


「気にしないでください、竜希さんを見ていたわけじゃないので。後ろにいるあの人です」


そう言われ、後ろを振り返ると、男の人が電信棒に身を潜めながらこっちを見ていた。
いや、バレバレ何ですけど……。
その男に対し陽葵は。


「あの人は私のお父さんです。今日父と墓参りに行かされそうだったので、竜希さんと行くと嘘をついたらストーカーされました」
「そうだったのか、だから今日は敬語なのか?」


俺の質問に陽葵は顔を縦に振った。
墓参りに彼氏と行くなんて聞いたことないもんな、そらそんな理由あるわな。
……ん、いや待てよ?
なら彼氏を合わせる的な件はどうなったんだ?
素直に聞いてみると、デマですと言われてしまった。
肩を落とし、とぼとぼ歩く俺を慰めようと陽葵は話題出す。


「あの、電話番号教えてもらえませんか? あると何かと便利だと思うので。ついでにメアドも教えていただけると……」


俺の顔が明るくなったのを自分でも感じとれた。
なぜなら、俺はずっと聞きたかったからだ。
メアドに電話番号を教えた俺は、病院の前にいた。

          

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