異能学園の最強生

ペンどら

第1話




世界は非科学的な力、異能に目覚めた。
火を操る者、物を自由自在に動かす者、武器を生み出す者など色々現れた。
しかし異能に目覚めたのは人間だけではなく、動物もまた然り。
ある程度自我を持ち、人間の言語を操るモノも現れた。
そして何処からか現れる謎の生物、通称『魔物』が世界各地に現れ、多くの犠牲者が出る。
政府は直ぐ様対魔物討伐機関『神の代行者』を設立し対処にあたった。



ーーー


『グランベルト異能学園』

異能者を集め対魔物の人員を育てる学校で、卒業すれば人類の希望である神の代行者に就職出来る場所なのだ。

異能とは基本一人一つまで持っているが極稀に二つ以上持っている者が居る。

学園の異能者は魔物相手に訓練と社会に出て困らないように座学を学んでいる。
それは一般の学校よりも上で、ランキングにすると常に上位三番以内に入っている程だ。


「で、此処がそのグランベルト学園か」

俺、神城龍馬は今日からグランベルト学園に転入する事になり只今門の前で立っているところだ。
門に近づくと、

『生徒手帳を見せてください』

と言われたが、俺は今日から転入するので生徒手帳なんか持っている筈がない。

「其処の貴方、其処で何をしているの」

すると奥から三十代位の女性が歩み依ってくる。

「俺は今日から此処に転入する事になってっる神城龍馬だ」

女性は俺の言葉遣いにムッとしたが直ぐに携帯を取り出し連絡をしている。

「……はい……はい、分かりました。確認が取れたわ、私に着いてきて」

門が開き中に入れてもらうとそう言われたので大人しく着いていく。

校舎の中に入ると、

「やあ、神城龍馬君初めまして、ボクはここの学園長をしているジョセフ・ドミニカだよ」
「初めまして、神城龍馬だ、敬語は尊敬できる者にしか話さないからまだ話さないぞ」

部屋になっており、少年が居た。
少年が名を名乗ったので俺も名乗り返すと同時に一応付け加えとく。

「あれ?驚かないの?」
「転移系の魔道具は何度も見たからな、今更驚かん」
「んー、驚かし我意のない子だ。それに何で魔道具だと分かったんだい?」

ドミニカが尋ねると

「俺の目は魔眼だからだ」
「成る程」

ドミニカ頷き、ゴソゴソと引き出しの中を漁る。
引き出しの中から出てきたのは

「はい、これが生徒手帳だよ。それに自分の魔力を流せば登録されるからとっととやっちゃって」

生徒手帳を受け取り魔力を流すと若干だが淡く光る。

「さて、次に君の適正ランクを決めるために魔物と戦ってもらうよ」
「何処でだ?」
「此処の闘技場さ。闘技場には魔物の魔石を使った疑似的に再現された魔物と戦えるんだ」
「ならこの魔石でやってくれ」

俺は上着の中から取り出した魔石をドミニカに渡すと、ドミニカがうっすらと冷や汗をかくのが見てとれる。

「どうした?」
「龍馬君…………この魔石は…何の魔物の魔石だい?」

ドミニカは引き吊った顔で此方に尋ねてくるのでこう答える。

「炎龍だ」
「!?龍馬君、それは本当かい?それがもし本当なら君はSランクという事になるよ」
「学園長!そんな訳がないでしょう!きっと何処からか盗んだに違いありません!」

何故か女性にいちゃもんをつけられるが俺は特に反応はしない。
誰にどう思われようが実害さえなければ大抵はどうでもいいからだ。

「貴方も本当の事を言いなさい!」

少々五月蝿いので聴覚を遮断する。
すると女性は拳を振り上げ、今にも俺に殴りかかってきそうなので少し異能を使う。

「《シャックス》」

すると女性の拳は空をきる。
目の前に居るのにだ。

「目が!?どうして!!?どういう事なの!!!?」

女性は叫びながらフラフラともたつき、転ぶ。
その様子を見ていたドミニカは真剣な顔でこう聞いてきて。

「それが君の異能かい?」
「一部だがな」
「どういった能力か聞いても?」
「只旦に目と口が使えなくなる能力だ」

ドミニカは「それで一部か………」と心の中で溜め息を吐く。

「まあこの娘の事はいいか」

パンパンと手を叩くと女性は何処かに消える。

「それじゃあステータスを見してもらって良いかな?一応規則なんでね」
「おう。《ステータスオープン》」


ーーー

名前:神城龍馬
天職:  の 皇
異能:幻    典
保有スキル
S37こさ6-;,)€ま2d);1:%や"

ーーー


「なっ?!」

殆ど見えないのだ。分かるのは名前だけで、天職と異能はギリギリ何かが書かれているが、スキルに到ってはどういうのかさえ分からない。
解析でステータスの文字が見れないのは幾つかの条件がある。
一つ目は異能やスキルによって隠している。
二つ目は自分よりも上位の存在だから見えない。
三つ目は神の加護を得ている。

一つ目の可能性は普通に有り得る。
誰しもが自身のステータスを見られたい訳ではないので、一般的な《隠蔽》や《偽装》のスキルを使って隠される事が多い。

二つ目の可能性も有り得る。
炎龍はS級に認定される程の魔物なのだ。
それを倒す者が強いのは考えられる。
しかし自分だって炎龍ならば一人で倒せれるのでこれは無いだろう。

三つ目の可能性は実際には分からない。
本人から自己申告が無い限り他者が加護を持っているなんて分からないのだ。

(可能性は一つ目かな………仕方がない《解析者の眼》)

ドミニカは他者のステータスを見る事ができるスキル、《解析者の眼》を使うが

『覗き見をする不届き者には腐敗の罰を与えよう』
「ッッッ!」

瞬間、ドミニカは解析を解きその場から転移の魔道具を使って離れようとするが動くことが出来ない。何故なら手足が黒く染まりボロボロと崩れ、髪の毛が落ち、鼓動が小さくなっていくからだ。

「はぁー、あんた覗き見をしたのか」

龍馬は溜め息を吐き、ドミニカに近づくと

「《マルバス》解除、《サブノック》」

すると腐敗は止まり、徐々にだが見るからに元の容姿に戻っていく。

「今度から勝手に覗くなよ」
「ハァ……ハァ……ハァ……分かったよ」

そう言うと龍馬は部屋を出ようとする。

「待ってくれ!!何故ステータスを隠すのだ!」

その問いに龍馬は

「隠しているんじゃない、見えないだけだ」
「なら…加護かい?」
「半分正解だが、違うぞ」

と言い、部屋を出ていく。
その去り際の姿を見ていると、どこか諦めたかの様な感じが伝わってくる。

「キミは、一体何者なんだ」

その言葉だけがポツンと出る。






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